「純度の高いスリラー。」グリーンルーム バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
純度の高いスリラー。
『ブルー・リベンジ』の監督の新作で、イェルチン最期の主演作。作品単体にとって過度の期待は迷惑だろうが、さすがに期待値を上げて観た。
結論として言えるのは、『ブルー・リベンジ』にあったジャンル物を新たな視点で描き、人間の深層を問い直す哲学性や、そこはかとないユーモアはさほど感じられない。じゃあどんな映画かというと、純粋に危機そのものを描いたバイオレンススリラーである。
「なんでこんなことに?」とか「一体どんな人間たちがこんなことを?」とか、そういう疑問は意味をなさない。とにかく狂った危険の中に放り込まれたらどうするよ?という即物的な恐怖がエキサイティングに描かれる。
『ブルー・リベンジ』とは真逆に、『グリーン・ルーム』はジャンル映画をより純化させる試みなのではないか。目指しているのは深みではなく、ドーパミンを分泌させるショックと興奮。好き嫌いが別れること間違いなしのドラッギーな映画である。
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