「出会いが全て」サバイバルファミリー クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
出会いが全て
矢口監督だから結構笑えるのかな、と少し期待していたがそうでもなく、割と淡々と観てしまった。意外と長い間電気無しで頑張ったが、目を瞑らないといけない設定も多々あって、ファンタジーとして観るしかないかな。
良かった点は、撮影大変だった事が分かる事。
高速道路とか本物だとしたら、あのホコテン高速は封鎖とか大変だろうなとか、荒んだ街並みもかなり散らかっていたり車はあちこちに放置されたりで、これも大変だろうなと、苦労が滲んでいるのが分かる。
ホコテンの高速は逆に楽しそう。
苦言を呈する点は、あんまりサバイバルじゃない事。
3ヶ月以上も自転車&徒歩で定宿も無ければ電気も風呂も無いのに、4人ともそんなに薄汚く無い。女性陣の化粧は仕方ないとしても、特に男、もっとヒゲとか伸び放題なはずなのに、いつもヒゲキレイ。髪の毛も。多分、小日向さんとか忙しいから他の撮影とかも挟んでいて、そちらでの経過を重視する故に身形も整っているのだろうが、話の中でどれだけ汚い顔にしていてもそれだけは気になって仕方なかった。
小日向さん、ヒゲ生やしている役とか他で観てるので余計にそう思う。
何かと気合入ってない感じが否めない作品ではあるが、(自分が)久々に見た大地康雄との出会いは良かった。
電気無くても車なくても水も食料も無くても、人は誰かと会って話す事が出来る。この大地康雄との出会いは人としての素晴らしさを凝縮している。4人が食料にありつけたとか目先の事以上に、大地に会って余計に実父の柄本明が心配になるとか、家族での役割分担で大地の家事をやるとか、1人と会うだけでこれだけの変化、しかも良い変化が起こる事が、普段当たり前にあるインフラよりも素晴らしい事を物語っている。
故に、大地との別れは少しグッときたが、あっさり去っていく4人の姿に「演出!」と叫んでしまった。
ラスト、あの写真が送られて来たなら、大地にも会いに行けよ、若しくは呼べよ、とまた叫ぶ自分。
逞しくなった家族には好感。
これから観る人、これはリアリティではなく、
地球滅亡して移住先を探す、スペースファンタジーならぬカントリーファンタジーだと思って観て欲しい。