「ウエスタンとしてのバランスが…」マグニフィセント・セブン ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
ウエスタンとしてのバランスが…
勧善懲悪な正統派なウエスタンよりも、私利私欲が渦巻く人間臭いマカロニ・ウエスタンの方が私は好きだ。では正統派ウエスタンの名作として名高い「荒野の七人」を「マグニフィセント・セブン」はどのように料理したか?
結果は「荒野の七人」にマカロニ・ウエスタンのスパイスをふりかけたといったところ。何て魅力的な設定!と思ってしまいそうだが、これが意外と馴染まない。もちろん、CGに頼らない生身のアクションに血沸き、肉踊るが、7人の主要キャラクターに人間臭さが感じられないのだ。
いや、人間臭さはあるものの7人バランスがイマイチと言うのが正しいだろう。全員が正義感を持って弱き村人を守るのであれば、正統派チームプレー物として楽しめたはずだ。全員が腹黒さを持って用心棒を引き受けるのなら、誰が生き残るのかというマカロニ風のサスペンスに拍車がかかったはずだ。しかし、チームプレー物のようにやっておきながら、ラストにある人物がチラっと腹黒さを見せても、どうも盛り上がらないのだ。
この腹黒さがドス黒いのなら、まだマカロニ風で良いのだが、どちらかと言えば、大義名分があり、わざわざ仲間に隠しておく必要もないレベルのもの。むしろ、その事実が中盤に語られれば、チームの結束が強まるトピックに使えたと思えるが故に、仕上がりが悔やまれる。せめてイーサン・ホークが演じたグッドナイトにもっと腹黒さがあれば、もう少しマカロニ風な雰囲気が生まれたのになぁ…。
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