劇場公開日 2017年7月14日

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「原作ファンがじっくり考察してみた」銀魂 ざるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0原作ファンがじっくり考察してみた

2017年7月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

アニメ化ちょっと前からの原作ファンで、もちろんアニメも大ファンでDVDもほぼ揃えている、銀魂は人生の教科書だと思っている者です。
同時に、福田作品のファンでもあり、元々小栗さんや菅田さん堂本さん吉沢さん岡田さんなどは大好きな役者さんでした。

※初日に劇場版を見て、夜からミツバ篇ドラマを三周して、翌日また劇場版を見に行った感想になります。

正直、原作&アニメの大ファンなので、実写化は大反対でした。それぞれの理想のキャラクター像があって、そんな完璧なもの三次元に存在するわけないじゃないですか。
でも、「髑髏城の七人」や「信長協奏曲」で、(銀さんじゃん…)と思った小栗さんが銀さんをやるということでまず惹かれ、その他キャストの皆様も豪華すぎて、ビジュアルが解禁されるたびにありがとうございますと合掌をして、まんまと実写映画のテンションに乗せられてしまいました。

もちろん、イメージ違うなぁと思ったキャストの方も居ますが、観ていくうちに、自然と納得させられてしまう芝居力があり、最終的にはみんな適役だったなと思います。

実写化するにあたって、アニメなどのテンションをそのまま三次元でやっても面白くならないと思うし、なるべくキャラ出したいし、尺の都合もあるし、なにより、あくまでこの一回で完結する"映画銀魂"であり、決して"紅桜篇実写化"ではありません。なので、ある程度の改変はやむを得ないことだと思います。

でもやっぱり、「あーそこはそうなっちゃったか…」「なにその設定」「なんでその台詞削ったの福田!?」と頭を抱えてしまうのは、原作ファンの必定で、初めて見たとき、興奮と同時に疑問やモヤモヤが残ってしまいました。

でも、パンフレットや各種インタビュー、特にビジュアルブックを読んで、福田監督なりに解釈して工夫してそうなったんだなーと分かると、むしろ色々考えて頂いてありがとうございますという気持ちになりました。
 個人的に、細かいセリフの違和感はあるものの、真選組の絡め方は、原作→映画新訳紅桜のときの改変よりも、好きでした。
(モヤモヤしている方はぜひビジュアルブック読んでみてください)

また、個人的に絶対欲しかった台詞や好きなシーンの台詞などがある程度まったくそのまま使われていたり、オリジナルのちょっとしたシーンで原作の別の部分の好きな台詞を引用していたのも、ありがたかったです。

ただ、空知んたま先生の、天才的なギャグとシリアス、そして感動のシーンの絶妙なバランス加減を表現するのはやはり三次元では難しいのかなと思いました。

原作にはない源外のシーンをはじめ、福田節のきいたギャグや変なテンポ、大げさなリアクションは少し余計だなと感じてしまう部分もあり、中だるみしたり、キャラクター像を壊しかねないことになっていました。

 でも、おそらく原作を知らないお客さんは、そういうところでめっちゃウケていたので、やっぱり一般の方に向けた映画という点においては必要な笑いのシーンだったのだと思います。
(もし紅桜篇をそのままやっていても、原作を知らない方はポカンだったと思うので)

なので、「昔ちょっと読んでアニメ見てたからキャラとか知ってるけど、あんまり細かく覚えてないや」くらいの人が一番楽しめる映画ではないかと思いました。

改めて、これだけのハチャメチャ設定でぶっとんでる作品の実写化は、福田監督にしかできなかったと思います。感謝。

でも同時に、やっぱり空知んたま先生の原作があってこその銀魂です。映画だけを観て、これが銀魂だ!と思って欲しくないです。

なので、原作を知らないで見た方、面白いなと思ったら是非、紅桜篇のところだけでもいいから、漫画を読んでほしいです。ちょっとでいいから、アニメも見てほしいです。映画の紅桜篇でもいいです。
そしたら、もっともっと楽しめるし、役者さん再現度たっけーーなオイと思えると思います。
福田作品好きなら好きだと思うんですよね…これを機に銀魂の輪が広がるといいな…
(単行本は11巻の第89訓から12巻の第97巻まで、アニメは第58話から第61話)

そして、見るか迷ってる原作ファンの方

確かにキャラクターのイメージが崩されたり、違和感のある場面もあると思います。でも、実写化するからには、キャラクターに役者さんのスパイスが加わっていないと意味がないとも思います。

皆さんそれぞれキャラクターに全力で向き合っていて(佐藤二朗さんを除く笑)、私はその中で、「わっこの人のこういう所めっちゃ〇〇みあるわ!三次元に〇〇がいる!」と何度も感動できたので、せっかくの実写化、見に行かないのももったいないです。

違うところばかり探すのは辛いだけなので、似ているところを見つけるようにすれば、きっと幸せなはずです。実際私は、最初少し違和感のあったキャラクターも、見ていくうちにこういう感じの作り方なんだと分かって慣れるともうそのキャラにしか見えなくなりました。

(個人的に、土方の配役には不満だったのですが、予告編など見てるうちにあれ?柳楽さんめっちゃ可愛くない?ってなって本編見て最終的には柳楽さん自身の大ファンになりました。
あと、新八が意味不明に可愛いですし、高杉はとてもエロいです。菅田さん堂本さんファンはとりあえず劇場に行きましょう。)

なので、銀魂を原作とした福田監督の盛大な二次創作だと思って、特別なお祭りだと思って、細かいところには目をつぶって広い心で観に行けば、きっと楽しめるのではないかと思います。

また、dTVでのドラマ版ミツバ篇は、劇場版よりも圧倒的に原作に忠実で、かなり完成度が高かったので、観て損はないです。特に、真選組はそっちの方がメインなので、真選組ファンの方は必見です。

とにかく、今思うことは、

福田監督、キャストの皆さん、スタッフの皆さん、そして空知んたま先生、みんなありがとうということです。

改めて、銀魂が好きになれました。

※最後に、漫画の実写化について思うこと

原作ものの実写化が流行っていますが、設定だけ借りたミステリーや少女漫画ならまだしも、やっぱり、熱烈な原作ファンのいる作品は商売になるからって、軽はずみに実写化するべきじゃないと思います。私のように、銀魂を生き甲斐にして、毎晩寝る前に土方のポスターを眺めて土方のことを考えながら眠る人もいます(キモい)。

簡単に、「原作ファン」と括られてしまわれるのが悲しいし、もちろん、作った方が自信を持って作品を世に送り出すのは当たり前のことなのですが、原作の世界観やキャラクターをぶち壊しておきながら「最高傑作」等と謳われたりするのは本当にいたたまれないと思います。

ファンの気持ちや意見を全て汲み取るのは不可能ですが、でも、何でもかんでも実写化するのは、その作品を大切に思っている人の心を踏み躙ることに繋がりかねないという事を、制作側は分かって欲しいです。

その上で、銀魂は、原作のことも大切にしていて、本当にありがたい実写化だったなと思ったので、これだけ感想を書かせていただきました。

ざる
とよぴさんのコメント
2017年7月17日

原作実写化についてのお話、全くもって同感です。

とよぴ
夜兎族命さんのコメント
2017年7月17日

同じく、アニメ1話放送前から原作追いかけている原作と空知先生のファンです。
私も同じ気持ちだったのでとても簡潔にまとめてくださっていて共感しました!

夜兎族命