天使のいる図書館のレビュー・感想・評価
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【”中河与一著「天の夕顔」を読んでみようよ。”恋愛は非合理的だから、良いのである。今作は、ロボットみたいな動きが可笑しい、合理的なレファレンス係には向かない可愛い司書さんの成長物語である。】
ー いやあ、今作は全く知らなかったなあ。今を時めく小芝風花さん主演で、横浜流星さんも重要だが飄々としたキャラで出演している。 そして、小芝風花さん演じるかなーり変わった、ロボットみたいな動きが可笑しい、合理的なレファレンス係には向かない可愛い司書さんのキャラクターが良いのである。- ■吉井さくら(小芝風花)は、奈良県葛城地域の図書館に新人司書として働いている。合理的な考え方をするロボットみたいな動きが何だか可愛いさくらは、同僚からその変人っぷりにより、不思議な目で見られていた。但し、同僚は彼女が嫌いではなく、個性だと思っている。 ある日、図書館で老婦人・芦高礼子(香川京子)から古い写真を見せられると、一発でその場所を当てて案内する。その後も礼子は違う写真を持ってきて、一緒に映っている男性を探しているというのであった。 ◆感想 ・公開年から推察すると、今作は小芝風花さんがスターダムに駆けあがる前の作品なのかもしれない。だが、今作での彼女の可愛らしい個性的な演技を観ると、現在のポジションを築いた事が良く分かる。 コメディエンヌとしてのセンスが良いのである。 ・ストーリー展開はシンプルでありながら、ナカナカに面白い。 何よりも、中河与一著「天の夕顔」が、芦高礼子の想い人であり、探し人のきっかけとなる展開が良いのである。 ご存じの通り、中河与一著「天の夕顔」は、学生(多分、京都大学生)が、人妻への仄かな恋を20数年抱くストイックな恋物語であり、日本の浪漫主義文学の名作である。 私は、この僅か100頁に満たない薄い本を持って、アルプスに登った際に高い頂を仰ぎ見ながら読んだモノである。 ・今作では序盤から吉井さくらさんのクスクス可笑しい姿が描かれる。レファレンス係に”泣ける本は?”と聞かれれば、「処刑 拷問 残虐」の本を持って来るし・・。 吉井さくらさんは、一生懸命なのだが。 そして、彼女は呟く。”私は、自分が嫌い。” <今作は、そんな合理的な考え方をする若き女性新人司書が、老齢の婦人の恋の想い出を探す過程の中で、少しだけ非合理的な恋の大切さや意味を学び、老齢の婦人の孫(横浜流星)と恋の予感を感じさせて終わる、趣が佳き作品である。>
気持ちのいい作品
老女アシタカレイコの「思い」に仕掛けた大どんでん返しが見事な作品。 神の実在は証明されていないから「いない」と考える主人公吉井サクラ。 神と奇跡の関係は誰もが感じてしまうこと。 だからこそ、突然田中があのすすき野にやってくるのだろう。 彼のそこまでの描写を描かないことで、奇跡感が増す。 だからあのシーンには「なぜ?」や「そんなわけない」などという言葉は不要だ。 タイトルに込められた意味も、神=天使の実在を匂わせている。 サクラは図書館に落ちていた白い羽根を拾って、それをゴミとしてゴミ箱に捨てた。神はいつもそこにいるというメッセージがそこにあるのだろう。それを捨ててもなお神がサクラに語り掛けない瞬間などないのだろう。それをどう処理するのかは、結局のところ本人の選択でしかない。 2度登場した羽根は、奇跡ではなく「実在」の証明を象徴するものだ。 サクラはレイコの行きたい場所のひとつがどうしてもわからず、方々探し回った末にようやくその場所を発見する。 意気揚々とレイコを待つサクラ。しかし彼女はとうとう現れなかった。この瞬間ようやくレイコとカフカの関係がわかった。レイコがサクラに呟いた「来年…」の意味が頭にリフレンした。 同時に見えてきた様々なものだったが、レイコの写真に写る男性は、レイコの旦那だと思い込まされていた。まんまと作品に騙されるのだ。 頭のいいサクラの考えることは鋭くもあるが恐ろしく方向がズレていて、古い新聞記事を探すための伏線に気づくあたりは鋭すぎて、見ていても何をしているのかわからない。 しかしレイコの写真に写る男性を見ていたことでその人物が誰なのかわかり、同時にレイコがなぜ図書館を訪問していたのかを察知する。 このサクラを動かす原動力となった動機こそが、祖母の死と自分自身の感情への不信だ。 そしてレイコと祖母がどうしても一致してしまう。 祖母の死と悲しみ しかし出てこない涙 感情に対する不信 特に他人の感情に対する共感は一切できず、「他人の主観だから理解できない」ことに分類することを決めている。 司書でありながら小説には全く興味はない。 そんなサクラはレイコの写真の場所を特定することこそがレファレンスサービスであると信じて疑わない。 しかしレイコとその場所に出かけるのを繰り返しながら、祖母との会話をしている感覚になるのだろう。 どうしても受け入れられないフィクションに対しレイコは言う。「小説は事実でないから面白い」「あなたは現実を物語に浸す必要がないほど幸せなのね」 そして「私は恨まれているの」という謎の言葉。 そうして祖母と対話しているかのように、レイコの気持ちに寄り添い始めながら、人の思い、特に叶わなかった事とその苦しみや願いなどを共感していく。 この作品は、 主人公サクラの偏った思考と言動に、彼女の過去と自分への嫌悪を再考察させることで成長に導く物語だ。 サクラの母が祖母の浴衣を持ってきても無関心だったのに、レイコの「浴衣の着付け」という言葉に反応して喜ぶのは、彼女の変化の表れだ。 特に田中がサクラに言ったセリフは、彼女を大きく揺さぶった。 「君は確かに知識が豊富だ。知識は想像力を開く扉だ。しかし余計な知識は想像力に蓋をするだけだ。それではまるで機械と同じだ。君がしているのは機械以下だ」 茫然自失 落ちるところまで落ちた そしてレイコからすべてを聞いた。 そしてまた新しく体験するのは、 奇跡の起きたすすき野で「死なないで」と泣いたこと。悲しみと涙の意味の理解。 レイコが死んだあと、一人で出かけた秋祭りに流した涙。偲ぶという意味の理解。 読み始めた小説も「恋愛」ものだけは理解できない。 人は皆、経験することでしかわからないことがたくさんある。 やがて再訪問したカフカは、サクラをデートに誘う。 また新しい経験が、この日常の奇跡が訪れたサインが「天使の羽」によって象徴される。 面白く胸が熱くなるいい作品だと思った。 余談だが、小芝風花ちゃんはなぜ左利きの演技をしたのだろう? うどんの食べ方は明らかに変だし、自転車の乗り降りも右利きだった。
知識とは想像力の扉を開けるための道具。
『知識とは想像力の扉を開けるための道具。想像力に蓋をするような知識は無い方がまし。そんなの機械だ』
知り合いの司書の方は子供の頃、図書館の児童書を全て読んだとの事。
そして、今年になって、小説を出版した。彼女の蓄積した知識が想像力を掻き立て、芸術作品を産んだのである。しかし、出来た作品は児童書とはほど遠いカミュの『異邦人』の様な作品だった。
『今日、ママンが死んだ』
彼女は『ティファニーで朝食』の『ホリー・ゴライトリー』を『ルラメー』とあえて呼ぶ事がある。ルラメーのアフリカの話と、猫に名前が無い事と、ルラメーは結局♥
図書館の司書さんに言いたい。
司馬遼󠄁太郎先生の小説で日本史は勉強出来ないよ。日本の近現代史だったら「カムイ伝」って我が日本史の恩師はのたまわっていた。僕に異論はない。
彼女のこのレファレンスサービスは、空想科学的に解釈すれば、過剰労働であり、個人的利益供与に当たり、公務員としては法律に抵触する行為である。
『ベルリン・天使の詩』は泣けるけど、その前に眠くなる。
ずれ子ちゃん、いい話ではある。
さくらのキャラが独特すぎる。ズレズレのズレ子ちゃんもここまで来たら病気である。どうやって就職できたのか、ここまで青春時代をどう過ごしてきたのか謎に満ちている。がしかしお話である。 しかし老婦人との出会いから、なかなかストーリーは劇的展開に。 なかなか面白かったです。 なんか忘れたけど森本レオがなんか性的スキャンダルあったよね。森本レオの見方があれから変わってしまい。なかなかイメージって俳優には命とりである。悪役なら、逆に泊がついちゃうかもだけど。
今日は出張レファレンスサービスに参りました
映画「天使のいる図書館」(ウエダアツシ監督)から。
本好きの私は、どうしても図書館ネタの本に弱い。
だから、監督はこの作品で何を伝えたかったのだろう、
そんなことよりも、図書館サービスなどが気になってしまう。
今回は、レファレンス・サービス。
「あの~、泣ける本が読みたいんですけど・・」と言われ、
「1番泣ける確率の高い本です」と言い、
「残虐・拷問・処刑 西洋拷問器具辞典」を探すのはギャグだけど、
やはり、図書館司書の醍醐味は、レファレンス。
主任らしき司書さんが、何度となくアドバイスをする。
「相手が何を求めているのか、それをわかってあげるのが
レファレンス・サービスだと思うよ、私はね」
「どんな方がどんな気持ちで読むのか、
それに寄り添えば、その方に合う方がわかる気がするんです。
私たちの1番の喜びは、利用者の方と本をつなげることですから」
「レファレンスをするときには、
その一冊が利用者の人生を変えるかもしれないということを
きちんと考えて、本を選んでください」・・
うんうん、いいこと言うなぁ・・とメモが増えた。
ただ選んだのは「出張レファレンス・サービス」
高齢者が増え、町の中央図書館にも足が運べなくなった時は、
また近くの公園まで車で運ぶ「移動図書車」復活かな・・と
漠然と考えていたから「出張」は新鮮だった。
これって、どこか実施している図書館あるのかなぁ、気になる。
こんな子いるかな・・・
天使とはてっきり小芝風花ちゃんのことかと思って観たらロボット口調で屁理屈ばかりの変なキャラでした。上品で優しい香川京子さんに感化されてそのキャラが多少ましになるのだろうとすぐに察しがついたのですが半分当たり位、ホレストガンプのワンシーンのように羽が天井から舞い落ちてきて天使は本物が図書館の天井に居たのだとわかりました。
子供向けかと思えば「恋愛とは性欲を美しく言い換えただけ」と過激なセリフ、文科省選定なのに良いのでしょうか、お役所もずいぶん丸くなったものです。もともと葛城観光振興シネマプロジェクト”によって製作された作品で、奈良に実在する図書館を舞台に頭でっかちな新米司書が人間的成長というかフィクションの効用に目覚めていくお話。観光名所と言うより神社めぐりの様相は土地柄でしょう。
サイドストーリーの国語の先生と教え子の道ならぬ恋物語は淡い思い出だけで止めておき再会シーンは不要、天国で逢っているでしょうの方がロマンティックだし観客の想像に委ねるべきでしょう、そもそも本の良さを礼賛するなら事細かに具現化するのは野暮と言うもの。特に森本レオさんは優しそうな仮面の裏にセクハラ・スキャンダルがある人なので興醒めでした。
まあ、べたな少女の成長物語では今の子には受け入れがたいと思ったのか妙なひねりを加えて喜劇仕立てにしています、つくり過ぎのような気もしますが風花ちゃんの天然ぽいキャラとまじっていい味出していました。
信じるものが神様。
何か。ほんわかした気持ちになりました。 小芝風花の話し方が機械的でITの様。数字には強いけど人の気持ちを汲み取ることができなくて相手から指摘されてしまう。老婦と出会って色んなことを感じ始める。神様はいないと思っていたが父から信じる心の中に神様はいると。 屈託のない小芝風花の演技がよかった。 最後は白い羽が舞い降りてきて…天使がいるの?と思わせる演出だった。
天使はいる
クセの強い司書・吉井さんの微妙な変化、とても丁寧に描かれる。観終わると、少し変わった吉井さんに「おっ」となり、同時に自分自身の吉井さんというキャラの見え方も少し変わったように感じた。本読も。 作中に溢れる町や人の温かい雰囲気がとても良い。 GYAO!にて
にこにこのニコラス・ケイジ
ストーリーよりも主人公吉井さくらのキャラが面白い。まるでコンピュータのような喋り方と豊富な知識。図書館司書であるにもかかわらず、小説は「主観によるもの」として全く読まないし、好きな本が地図帳、辞書、図鑑だという変わり者。序盤はとにかく笑えるし、脚本の上手さが際立っていた。 父親が神社の宮司という設定も珍しくていいのですが、これを吉本新喜劇の内場勝則が演じているのに、ここで笑いが取れないのが残念。奈良県が舞台なんだし、もっと新喜劇色を出しても問題ない。 老婦人の芦高礼子(香川京子)の半世紀前の淡い恋心を巡り、徐々に人の心を知るようになっていくメガネっ子吉井さくら。見る側からすれば恋などしなくていいから、一家に一台、手元に置いておきたくなる存在だ・・・
天の夕顔
ブッとんだ性格の美少女で、まるで深夜アニメのヒロインみたいな主人公。身内に対してとかプライベートを聞かれた時の返しはわりと普通なんだけれど、知識を求められる会話となると途端にロボットみたいな喋り方になる。融通の利かない昔のコンピュータのようで誤作動はしないが相手にあわせての正しい回答が出来ない。人に寄り添うレファレンスサービスの業務で成長していくというのが一つの軸。あとからわかるが森本レオは実は重要な役どころ。 主人公と対照的に気持ちのこもったゆったりした話し方をする香川京子のセリフが心地良い。 善人しか出てこないけど、いやらしいところがなくて笑いも適度に散りばめている。 ヴェンダースファンのニヤけ顔の弟は「うちの姉ちゃんちょっと頭おかしいねん。」は笑った。「瀬戸内寂聴読んで開き直った」とか全職員の前で語る司書長?のひろみさんおもろかった、名言多いし。 ストーリーもよかった。
Siriみたいな女性の物語
ある意味ちょっと変わった図書館勤務の主人公の物語。あまり相手の感情を読み取れない。 例えてしまえばSiriの様な女性である。知識はあるものの、活用方法イマイチで的はずれな回答もしばしば。 またSiriの様な言葉遣いをする為、主人公の設定参考は間違いなくSiriだろう。 図書館を訪れた香川京子扮するおばあちゃんとの交流をきっかけに、心を感じていく主人公の姿。取り巻く過去のストーリーも素晴らしい。 一番いい味出していたのは主人公の上司のひろみさんですね。 知恵袋的存在だし、お金を出せば殆ど解決するこの世の中に一石を投じれる存在感。 最後はほっこりとした気分になりました。 自分の知識だけが全てじゃない。活用するからこそ価値が生まれる。 Siriもこの様に進化すればいいんですがね。笑 低予算でもここまで完成された映画。日本らしい「心」がある映画。 いい映画を拾った気分です。
町おこし映画
奈良県中部の4市1町が製作した町おこし映画。しかし図書館がテーマなのに4市とも図書館はお寒い内容で、一番マシなのが広陵町の図書館とは情けない、客寄せには熱心でも文化には金を出さないという姿勢の表れだろう。映画の内容はどうでもいい内容で本嫌いの図書館司書なんて設定から間違っている、それに小芝風花の滑舌が悪く台詞が分からなかった。まあ森本レオと香川京子のギャラにほとんど消えた映画かな。
近くで見られる方なら、是非‼︎
奈良出身の私。 ならば観てみよう。 ということで あまり期待せずに 鑑賞した結果、 これが想像以上に良かった。 さくらの実家の 食卓に山積みされている 奈良名物の柿の葉寿司。 奈良以外の方、 わかるかなぁ(^^;; 確かに サバ<シャケ やもんなぁ(^^;; 奇抜なストーリー展開もなく ノホホンと進む。 こういう映画は 登場人物のキャラが立ってないと 得てして、退屈になる。 そういう意味では キャラがとても魅力的だった。 小芝風花演じるさくら。 はじめは、 「なんで標準語と関西弁を 使い分けてるんやろう?」 と不思議だったが 人付き合いの苦手なさくらが 仕方なく仕事をするときの 言わば防御壁のようなもの、 なのかなと理解。 もしかしたら、 大きめのメガネもそうかもね。 余談だが ドリカムの「眼鏡越しの空」を思い出した。 職場での機械口調。 から一転しての 弟と会話するときの ナチュラルな関西弁。 その、ギャップ萌えに、ヤラレた(^^;; 地味カワイイ^_^ さくらの絶妙な「地味カワ」具合に 最後まで飽きることなく観れた。 弟もナイスキャラ^_^ 姉との性格対比も良くできてて クスッと笑えるシーンが 多々あった。 森本レオと香川京子の 重鎮二方のセリフも 心に刺さった。 「その言葉だけで一生過ごせる」 「知識は好奇心の扉を開く鍵。 知識が好奇心を蓋してしまってはいけない」 上映劇場が少ないので 近くで見られる方は この言葉の真意を ぜひ劇場で観てほしい。
ほんわかした(*^◯^*)
登場人物一人一人のキャラクター、性格がそれぞれ個性的で素敵でした。話の内容も笑いあり、涙ありで面白かったです。ロケ地になっている葛城はとても素敵な土地で、ぜひ行ってみたいなぁと思いました。今度実際に行ってみようとおもいます。素敵な作品でした!
思わぬ良い映画
奈良の図書館を舞台にした映画です。小芝風花主演でそれなりに期待はありましたが期待以上でした。上映場が少ないので残念ですが是非、見て頂きたい映画です。こういう映画は脇がしっかりしていますね!香川京子、森本レオですか。先輩司書も味があります。
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