「.」ライト/オフ 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。D.F.サンドバーグ監督と“エスター(所属していた劇団"Theater Esther"に由来)”役のL.ロステン夫婦による3分にも満たない同名タイトルのショート・フィルムが評判になり、J.ワンが(共同)製作として長篇化した一作。この夫婦により公開されている他の短篇を観ると、サプライズとオン・オフと云ったデジタルっぽいギミックがお得意の様で、本作にも活かされている。80数分と短い乍らしっかり怖がらせてくれ、続篇の製作も決定している。アイデア一発ものかと思いきや、まずまずの良作。70/100点。
・原題"Lights Out"。物語に家族愛を絡ませ柱としたのは良いが、光による物理的な攻撃が有効だとか、地下室に幽閉された後霊体になったのか、他人の頭に入って云々等、舌足らずでよく判らない設定もあり、脚本がこなれていない印象を持った。テーマや雰囲気は『MAMA('13)』を、“ダイアナ”の造形や描写はハリウッド版『ザ・リング('02)』の“サマラ・モーガン”を想起した。
・チャラく見えるA.ディペルシア演じる“ブレット”は、判断や考え方が堅実で良識的であった。“ソフィー”のM.ベロが難しい役所乍ら、巧かった。ただ“マーティン”のG.ベイトマンが利発的にも可愛くも思えず、残念だった。因みに“ソフィー”と“マーティン”が観ていた映画はM.ダコスタ監督の『メイム叔母さん('58)』である。
・“レベッカ”のT.パーマーが“ダイアナ”と暗闇で初対面するシーンでは、“ダイアナ”のデザインや外観等を知らされずに撮影された。これは彼女の素のリアクションを撮る為、監督が意図的に行ったと云う。亦、“レベッカ”の部屋に貼られたポスターに書かれている"Släckt"とは、監督の母国(スウェーデン)語で、原題"Lights Out"の意味。
・“レベッカ”の実家──“ソフィー”宅のロケは、『呪い襲い殺す('14)』とその続篇"Ouija: Origin of Evil('16)"と同じ家が使用された。
・監督は、CGIや特殊効果を可能な限り使わない撮影法に拘った。本作の肝となる照明も出来るだけ本物の灯りを使ったので、シーンによっては蛍光灯や蝋燭のみでの撮影を行った。
・鑑賞日:2016年12月26日(月)