「古都から新都へ。」古都 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
古都から新都へ。
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自分にとっては大ファンだった山口百恵の引退記念作品としての
「古都」が一番印象深い。原作が名作なだけに幾度のドラマ化も
されてきた古都の後日談にあたる本作。30代の監督が現代化した
古都は千恵子と苗子のそれぞれの娘達の後継問題等を描いている。
京都といえば外国人観光客が多いことからそれを十分に配慮した
色彩や国際親交行事などの見せ場は多いが、ストーリーとしての
魅力には遠くやや勿体ない印象が残る。京都の伝統を守るための
課題は多く山積、それらを背負う次世代はさぞ大変だということ
はよく分かるのだが、どの家業も同じく苦しい時代を迎えている。
当の子供達が何も考えていないのではなく、考えすぎて前が見え
なくなっている部分が自分の若い頃と重なって見えてくる。子供
は親の持ち物ではないと自ら反抗した過去のあらゆる経験や失敗
を経てからでは原作や映画世代に自ずと感じ入る部分が出てくる。
松雪泰子の二役は美しく常に張り詰めた表情の千恵子は絶品だが、
娘を演じる橋本愛は懸命な役作りが前面に出てしまってやや残念。
(失くしてはならない、守らねばならない、それらを継ぐのは人間)
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