ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来たのレビュー・感想・評価
全8件を表示
世界最高峰シェフの探求心と創造性に脱帽
デンマークで地場の食材にこだわりながら、世界の美食家たちに愛され、権威あるレストラン雑誌が選ぶ番付で4度世界一になっている人気店「ノーマ」。そのシェフたちが、東京に期間限定店をオープンする前、未知の食材を求めて日本全国を駆けめぐる。 創業者でメインシェフのレネのこだわりが、とにかくすごい。本店の人気料理でも、東京では出さない。あくまでも日本の食材で新レシピを開発する。それも、一般的な高級食材などではなく、生のエビに蟻を合わせたり、熟れていないイチゴを使ったり。日本に住む私たちでさえ、「こんなモノが絶品メニューの食材になるの!?」と驚かされる。 彼と働く若手シェフたちも、レネの高い要求に必死に応えようとする。人生のすべてを料理に賭け、私生活などないも同然。彼らの生きざまもドラマチックだ。 芸術品のように美麗に盛りつけられた一品はまさに目のご馳走。見るだけで味わえないのが本当に残念!
【超有名北欧レストランの異国、日本での果敢なる挑戦を描いたドキュメンタリー。ここには、モノ作りのプロフェッショナルの姿がある。】
■当時、4度も世界ベストレストラン50コンテストで一位を獲得したデンマークの”ノーマ” その店を率いるのは、妥協を一切許さない、カリスマシェフのレネ・レゼピ。 ◆感想 ・一カ月前から、レネ・レゼピは日本に右腕シェフ数名とやって来る。彼らが作った料理を”本店と同じだ。日本の食材を使え”と駄目出しし、彼らは北は北海道から、長野、果ては沖縄まで食材探しに出掛ける。 ー ”その土地の食材を使う。”レネ・レゼピの挑戦的な姿勢が伺える。ー ・彼は、自分の右腕シェフたちの個性もキチンと掴んでいる。組織マネージメント能力も、超一流シェフには必要な事が分かる。 <今作は、5週間の予定で開店した「ノーマ・アット・マンダリン・オリエンタル・東京」の開店一カ月前から、開店日までのレネ・レゼピや彼の右腕シェフたちが、日本の食材を使って、本店には無いメニューを捜索していく過程が非常に面白い作品である。>
怪物都市東京VS怪物レストランノーマ
ノーマ全メンバーによる東京出店までの挑戦と葛藤の話 北欧デンマークにある世界最高のレストラン「ノーマ」、以前ドキュメンタリ映画「ノーマ 世界を変える料理」を見ていたので興味が湧いた。 「ノーマ 世界を変える料理」は世界ベストレストランの王座を奪還するまでを描いているのに対して、本作は期間限定の東京出店の舞台裏を描いている。 どちらも、見たこともない食材や調理法などが拝めるし、オーナーシェフのレネ・レゼピとその仲間たちの料理に対する熱い姿勢が堪能できる作品だ。 冒頭はまさに開店直前のシーンから始まり、出店の経緯や食材選びなどで物語が進んでいく。 途中まではレネよりも東京先遣隊のメンバーの悪戦苦闘を主に作品を引っ張て行く。 リーダー的存在のラースが渋い髭のおっさんでめちゃくちゃかっこいい。 筋トレで鍛えた体、腕の入れ墨(文字の螺旋や風神雷神)全身から出る何とも言えない魅力が有る。 他のメンバーも個性的でそれぞれに強みや才能があり、料理への愛や探求心がにじみ出ていた。 ちょっと本題とそれるが外国のシェフは入れ墨が当たり前なのだろうか?ノーマのメンバーは結構入っている人が多かった。 「シェフ 3星フードトラック始めました」でも大抵のキッチンメンバーはタトゥーだらけだったし、意外とパンクな人が多いのだろうか。 前に何かで見て知ったのだが、江戸時代の飛脚が全身入れ墨だらけだったのは、服を着ない仕事だったから病む追えずファッションと心意気を入れ墨に託したんだそうな。 入れ墨にあまり良くないイメージを持っていたが、服の自由の無い人たちの苦肉の策、体が資本だという意思の表れだと思うとなんだか粋だしかっこいいかもと少し思った。 劇中メンバーの一人が、「キッチンはいい、次の料理の事だけを考えてればいいだけだから」と言っていた。 日常であれこれ考える時間より夢中で前の仕事に取り組むのが、無心でいられるのが好きなのだと。 以前見たヨガのドキュメンタリー映画「聖なる呼吸」で言っていた事を思い出した。 「ヨガは心の解放だ、体を隅々までコントロールするために余計なことを考える隙がなくなる、心と体が一つになり、日常で起こらない無心の状態を体験できる」 全然違う意味なのかも知れないが、ヨガもノーマの料理人も、達人の域に達すると無我の境地に至るのだなと思った。 ノーマの忙しさは無我の境地に達する環境だが、日々の作業は繰り返しになり単調になる、それは刺激の無い日々でもある。 レネはそんな日常を変える機会にと東京出店を企画した。自らの位置を常に困難な所に置く姿勢はただただ尊敬の一言だ。 日本と言えば鮮魚にかけて世界随一の技術を持っている、ノーマの料理人では到底かなわないほどの職人が至る所に居る。 そんな中でどう戦うのか、どうお客を楽しませるか、徐々に疲労し苦悩しながらも進化していくメンバーやレネの姿は凄く輝いていた。 色んな調理をしている中で、印象に残ったのは「果物を刺身のようにさばく」だ。これは東京に来てから発想した方法で、ノーマならではの発想だなと思った。 最期は東京店で提供された料理が説明されてエンドロール、美味しそうと思う以前にどんな味がするのか想像できない、しかし食べてみたくなる皿ばかりだった。 世界最高のレストランの裏側、働く人達の意見、レネの心の在り方などとても刺激的な映画体験だった。 しばらくは外食する時、自分で料理をする時など、食に触れる度にこの作品を思い出すだろう。 劇中セリフより 「レネの料理は食べた後、5分後でもインパクトが残るんだ」 食べた瞬間の感動は頻繁に体験するが、食べ終えてなお衝撃的な料理は食べたことがない。 ノーマでの食事は無理だろうが是非体験してみたい感覚だ。 今度、ちょっと高い店で食事してみようかなと思った。
なるほど、これが世界的なレストランか⁈
シェフの審美眼は天才レベル。それを具現化するスタッフの技量は世界屈指。そんな彼らが怒り怒られ、議論しながら完成に向けて苦闘する姿が面白かった。 素材の良さよりも、日本の文化や自然、歴史を料理に活かし切るという執念には脱帽です。 値段は知らないし、多分俺には手が出ないと思うけど、高価であっても納得するかな。 ただ個人的には、「アリ」はパス。
完璧な未完成
職人さんの集中力を見せてもらった。トップが他を圧倒する技能を持っていて、それに追随する形でコアメンバーが力の限りを尽くす。 自分の内側に深く潜り、アウトプットする過程は本当に苦しい。それが評価されるか、不安は絶えない。満足させられるだろうか、それ以前に自分はこの創造物に満足しているか、力は尽くしたか?まだできるか?削る部分は?なんて考え始めると迷いが生じる。それを、オーナーは見事に導いている。素晴らしい、いいと思う、さまざまな表現をつかって、成果を讃える。やってよかったか?という疑問を投げ、今回の経験をしっかり掴ませる。 トップのカリスマ性が、まるで物語に出てくる人物のように完璧だし、人間味があって美しい。
蟻子
相変わらずファックファック言いまくってて好感持てる。 今回はノーマ東京出張の初日オープンまでを描いたドキュメンタリー。 その土地の食材や文化にこだわる姿勢は相変わらず凄いが、日本人の細かさ律儀さに少しイラついてるレネ氏はご愛嬌。 今回は前回のドキュメンタリーと比べて料理をジックリ見せてくれたので、まさに飯テロ映画だった。 生きた蟻のソース、食べてみたい。 5
アリと生しじみ。興味深いです
世界ベストレストラン50で2009年~2016年まで連続してベスト5入りしていて、そのうち2010年、2011年、2012年、2014年の4回1位に輝いているレストラン「noma」のスタッフたちが、2015年1月に東京のマンダリン・オリエンタル・東京において「ノーマ・アット・マンダリン・オリエンタル・東京」を期間限定で出店するまでの日々を追ったドキュメンタリー。 いやぁ、そんな事があったとは知りませんでした。って言うか、nomaに行くような生活はしていないので、知らなくても当たり前なのかもしれませんが、こんな世界的レストランが東京に期間限定出店したのなら、ニュースになっても良さそうですが、ニュースを作る人達も、こう言う情報が引っかからない人達なんですね。いやはや。 今回、レネ達がコペンハーゲンの本店を閉めてまで日本にやってきたのは、コペンハーゲンでの日々の活動に刺激を感じなくなってきたので、新たな刺激を求めてやってきたという事らしいです。なんか、シェフというより、アーティストですね。 今回の取り組みは、レネ達nomaのスタッフには、言葉はもちろん、習慣、食物など勝手が違うことばかりで、メニュー作りに中々苦労していたことが描かれています。パンフレットやポスターにも使われていますが、アリですよアリ。イナゴは食べますが、アリは食べないよなぁ。でも、アリを使った料理は、nomaの本店でも出しているようです。 そして、今日は初日ということもあって、上映終了後にコラムニストの中村孝則さんのトークショー。中村さんは、世界ベストレストラン50の日本地域のチェアマンもやっているそうです。トークショーの中身的には、 ・世界ベストレストラン50は世界中のレストランのランキングであって、その時々のトレンドが見える。一方ミシュランは、レストランの評価なので、時の流行などにはとらわれず、そのレストラン自体の評価 ・世界ベストレストラン50は、世界を27の国と地域に分けていて、それぞれにチェアマンがいる。チェアマンが各地域の投票者40名を任命。投票者の34%がシェフ、33%がフードジャーナリスト、33%がフーディーズ(料理を食べ歩く美食家)と割合が決められている。 ・各投票者は10票持っていて、自国のレストランに6票、他国のレストラン4票投じる事になっている。投票可能なレストランは、18ヶ月以内に実際に行った事がある店で、その監査はかなり厳密に行われている。 ・毎年投票者の1/3を入れ換えている。そう言う投票者の入れ換えがあるので、ランキングが年によって入れ換わる。 ・世界ベストレストラン50で1位になると200万の予約が来る!それほどの予約が有るということは観光業にも影響があって、デンマークは、nomaがあることで11%観光客が増加した ・オーストラリアは、レストランによる観光客の増加を見て、国家事業としてレストランオーストラリアを推進。来年の世界ベストレストランのコンベンションはオーストラリアのシドニーで行われる。 ・映画の話に戻ると、レネ曰く「日本は色んな海岸線と山がある。そう言う所はスカンジナビアと似ている。」と言う事で、料理で海と山を表現しようとした。一皿目の海老にアリが使われているのは、そう言うこと。 ・(アリを使った料理について)アリが気持ち悪いと言う人は居ると思うが、そう言う意味ならば生の海老が気持ち悪いと言う人もいるだろう。その人の宗教感や食べ物に関する意識を変えようとも言うことでもある ・生の蜆はチャレンジング。食中毒の危険もあるので普通は出せない。だが、食べてみたが美味しかった。衝撃的。でもなぜか、後半はメニューから外れた。 ・ベストレストランに選ばれるのは、ガストロノミーレストランと言うジャンル。このジャンルは、食べ物だけでなく、サービス、店の雰囲気、カトラリー等も対象。店に行った客に、何か驚きがあるところが選ばれる。しかも、18ヶ月以内に行った事がある店が投票対象なので、店側も常に新しいことをする。これはある意味、店のコレクション化(ファッション化)を加速している ・nomaのレネが来たことによって、日本の良さが再発見されたのではないか ・いまオスレリア・レストラーナが注目。それと、ペルーのレストラン、セントラルも注目。レネも次は南米に行くらしい。 ・レストラン業界的には、中南米、アフリカがこれから注目。アフリカは、まだ1店舗しか世界ベストレストラン50入っておらず、これからが期待。 とかぐらいですかね。20分と短い時間でしたが、トークショーも意外に面白かったです。
全8件を表示