忍びの国のレビュー・感想・評価
全88件中、1~20件目を表示
過去の遺物ではなく、現代にも通じる存在として忍者を描く
和田竜原作らしい史実と娯楽性が融合した作品に仕上がっている。その映像化を手がける中村義洋監督の手腕も安定感があり、冒頭から一筋縄ではいかない忍者戦をダイナミックに俯瞰したり、物語がコミカルとシリアスの間を行き来する流れを淀みないものとしている。そもそも本作には時代劇を担うヒーローにふさわしい強靭な精神の持ち主など誰一人いない。誰もが自分なりのやり方で飄々と世の中を生き抜こうと考えている者ばかり。
そんな彼らが一連の戦を通して、混沌の時代の中で根無し草のように生きるのか、あるいはそんな中でも自分なりに生きる道を模索するのかの決断を迫られる。この一瞬の心模様に、現代人の扮装をした人々が投影されるくだりが面白い。中村監督が、決して忍者たちを過去の遺物として扱わず、現代人にも通じる存在として映し出している様にハッとさせられたし、鑑賞後には、己もケモノの様に生きてはいないかと、我が身を振り返りたくなった。
これはこれは!
すごい!面白かった!
アイドルの忍者映画ね〜と軽い気持ちでアマプラにて鑑賞。わりとポップな雰囲気だったのに、開始早々バサッとあっけなく大野智に殺される満島真之介。「えっ…ちょっ、えーっ??」「そんな簡単に殺すか普通…嘘やん…」呆然とする私。
満島真之介は、目がキラキラしていて非常に生命力を感じる顔立ちで、大勢の忍者たちが居ても程よく目立ちます。それが無惨に殺され、血まみれで息絶えるアップのシーンでは、目が光を失い、命が消えていく感じがよく出ていて、序盤だけしか登場しないのに印象に残るところが、良い配役だなと感じました。
人の命を何とも思わない、忍びの国のはじまり、はじまり。
ブラタモリで知ったのですが、伊賀忍者というのは元々土地の奪い合いから生まれたそうです。
昔は琵琶湖は伊賀市付近、三重県にありました。地殻変動で少しずつ北へ移動し、現在の滋賀県に移ったと記憶しています。
大昔の琵琶湖の周りは、山が険しく平地が極端に少なかった為、人々は田畑を作ることの出来る、より良い土地を求めました。山の上の方は水を引くのが難しく、下過ぎると水害の不安があるので、人気なのは山のへりの、絶妙な高さにある土地でした。そこで百姓たちは隣近所にこっそり忍び込み、他人の暮らしぶりを偵察します。◯◯さんの家は今年は豊作だったとか、△△さんは病気でもうすぐ亡くなるから土地が空くだろうとか、情報を仕入れたり、噂を流したりして、貴重な土地を奪い合うのです。農家の家の周りには、高い土壁のようなもの(土塁)が作られ、外部からの侵入を防ぐようになっています。侵入する時は、この壁に鎖鎌などを引っかけてよじ登ります(忍者の武器は農具を改良したものが多い)。こういう地域間闘争が500年も続き、武装農民となり、修験道が盛んだったこともあって、やがて忍者へと発展していったそうです。
これを知った時は心底ゾッとしました。
本当に普通の人達が、己の利益の為にお互いの腹を探り合うことから始まったのですから。ゲリラ戦を展開し、織田軍がかなり制圧に手こずった話も放送されていました。
小山ゆうの「あずみ」を読んだ時は、衝撃的でした。忍びの世界はとことん、暗い。そういう暗さを、「NINJA!」と喜んでくれる海外勢はどれだけ知っているだろうか。お、教えたい…ウズウズ。良いリアクションしてくれそう。
無門役の大野智が、毒を塗った手裏剣をよける練習をしている子どもを見て「さらわれて来たんだ、可哀想に」とぽつりと言うシーンがあります。ここで「あれっ?無門は可哀想と感じる人間らしい心があるのか?」と鑑賞者に少し引っ掛かりを残して、話は先へ進みます。
鈴木亮平と大野くんの決闘シーン(川)は、それはもう迫力がありました!素晴らしかった…!これは必見です!大野くんて、あんな顔するんですね。普段とのギャップが凄いのよ。これはファンでなくてもイチコロですよ。
このシーンがあまりにも良過ぎて、翌日ここだけ3回くらい見ました。巻き戻したり、早送りしたり、止めて再生して、また止めてを繰り返し…そんでまたボロっボロ泣き。なんなんでしょうね、すごく感動するんです、このシーン。
無門が、織田信雄に「首は預けておく」と言って去ろうとした際、他の忍者たちから反発を受けるシーンがあります。「何か文句あるのか」と静かに一言だけで周囲を黙らせるところは、痺れましたね〜〜。男に生まれたら一度は言ってみたいセリフです。命の取り合いをする群れで、頂点に君臨する男しか吐けない。
最後、お国役の石原さとみが死んでしまうシーンは凄く良かったです。吹き矢に倒れ、息も絶え絶えのお国から、あなたの本当の名を教えて欲しいと乞われて、無門は名は無いと、分からないのだと涙を流しながら答えます。無門も幼い頃さらわれて来たということが、ここで初めて明かされます。お国が、「可哀想に…可哀想に…」と何度も言いながら、無門を哀れんで亡くなります。人間を人間たらしめているものは憐憫の情であると、作品を通して言いたいんだなと強く伝わって来るシーンです。無門がお国にベタ惚れだったことは痛いほど分かっているので、見ていてここはかなりキツい。心がえぐられるようです。
お国は、あちらの国の人。ちゃんと人間らしい心を持っている人。タイトルは「忍びの国」なので、彼女の名前が「お国」なのは決して偶然ではなく、そういう意味合いがあるのだろうと勝手に思っています。
忍者という題材は色が強いので、方向性が大体決まってきちゃうことが多いですが、これだけ軽さと重さ両方満足させてくれる映画はめったにありません。「忍術」って、扱い方間違えると危険ですからね笑 アクションシーンでキャラクターたちが時々カメラ目線になるのも、すごく可愛いし新鮮。そして登場する男たちが皆んなカッコよかったです!女優さん達も皆さんハマってて良かった。武将たちの訓練された整然とした戦い方と、忍者たちの得体の知れない不気味さの対比も面白かったし、スピリットがお互い真逆(一応、表向きは)なので、それも興味深いです。
ちなみに、北畠の茶入れ、小茄子をググったら本当にありました。映画よりツヤっとしている感じ。実物見てみたいわ〜。
「伊賀」という響きは、何とも心乱れる魅力がありますね。漫画が原作との事、ぜひ読んでみたいです。
川じゃ!
伊賀の者たちは全て金で動くというとんでもない人たち。“虎狼の輩”などとも揶揄されるほどの人でなし。中でも凄腕の忍びの無門(大野智)は領主たちの小競り合いにさえ、金をもらわなければ動かないのだ。それというのも、安芸の国からさらってきたお国(石原さとみ)を夫婦にするべく金を稼がなければならないという理由からだ。小競り合いのちいさな戦すら「死んでしまうかもしれないからな」という姿は反戦の心理さえ垣間見える。
時は戦国、織田信長の勢いは止まらず、伊賀の国の周りはすでに織田勢に降っていて、いつでも織田軍が攻めてくるような状況下。隣の伊勢国は北畠家が支配していたが、信長が次男信雄を強引に婿入りさせ、伊勢国も実質支配下に置いた。無門が下山平兵衛(鈴木亮平)の弟を“川”という戦いで殺したことにより、平兵衛は忍びの国に疑問を抱き伊勢の信雄(知念侑李)の軍に逃げ延びる。その伊勢国へ忍び込んだ無門は信雄の首を取ることもできたが、それをせずに牢屋にて北畠の姫から信雄を討つよう頼まれ、姫は自害・・・
冒頭から意外な展開の連続。どうしてそのような行動に出るのかと疑問も多いのですが、これは時代劇を見慣れていることで、封建制度の中、主君と家臣の忠義を中心にとらえているからかもしれません。その意味では、小領主の集まった国ではあるけど、忍びの掟以外は自由すぎる社会に生きている忍びたちの行動が不可思議にも感じるのでしょう。特に織田軍が攻めてくるというときに、国を守ろうという意識のない者ばかりが増え、最初に防衛に立った忍びはわずか半数。防衛で戦ったところで誰が金を払うんだ?という感覚です(笑)。いわば国を持たない傭兵軍団みたいな集団であり、忍びの国はあくまでも訓練所のような・・・
最もウケるところは、織田軍に城を作らせて、その築城のバイト代を稼いだ後、完成したら忍びたちが焼き払うというくだり。こうした面白い展開もある中で、なんでもかんでも“術”を使って相手をだますという流れは、ただ単に混乱を招くだけなので、多用しないようが良かったのでは・・・
【2017年映画館にて】
忍者もの映画は面白い、今後もこのジャンル作って欲しいと思わされた。
中村義洋 監督による2017年製作(125分/G)の日本映画
配給:東宝、劇場公開日:2017年7月1日
好奇心が刺激される伊賀の忍者ものということもあり、面白いジャンと思いながら見ていた。原作及び脚本の和田竜さんには今後も注目したい。
主演の大野智が、ひたすらお金だけで動くというわかりやすいキャラでもあり、とても良かった。一流の忍者として動きがもの凄く早く、戦いにおいても圧倒的に強いわけだが、その映像を支えていたVFX技術も、違和感を感じさせなかった。妻の言うがままということも、妻役石原ひとみの類稀な美しさもあって、説得力が満点であった。
描かれていた第一次天正伊賀の乱は、織田軍の負け戦で、史実としてもとても興味を覚えた。天正7年(1579年)9月16日、信雄は信長に相談せず独断で8,000の兵を率いて伊賀国に3方から侵攻したが、伊賀郷士衆は各地で抗戦し信雄軍を伊勢国に敗走させた。伊賀衆の夜襲や松明を用いた撹乱作戦や地形を活かした奇襲などで、2~3日で信雄軍は多くの兵を失い 伊勢へ敗走したらしい。
史実そのものが、とても興味深い。
監督中村義洋、原作和田竜、脚本和田竜、企画平野隆、プロデュース平野隆、エグゼクティブプロデューサー藤島ジュリーK.、プロデューサー辻本珠子、 原藤一輝、 下田淳行、 藤井和史、アソシエイトプロデューサー小野原正大、 大楠正吾、撮影相馬大輔、照明佐藤浩太、
Bキャメラ川島周、録音松本昇和、音響効果伊藤瑞樹、美術清水剛、装飾秋田谷宣博、衣装デザイン黒澤和子、衣装大塚満、ヘアメイク田中マリ子、かつら濱中尋吉、編集上野聡一
音楽高見優、主題歌嵐、音楽プロデューサー杉田寿宏、ナレーション山崎努、スクリプター小林加苗、VFXスーパーバイザー村上優悦、VFXプロデューサー鹿角剛、スタントコーディネーター吉田浩之、スタントコーディネーター補鈴村正樹、殺陣・所作久世浩、特機・Cキャメラ奥田悟、助監督佐和田惠、キャスティング舟本佳子ラインプロデューサー鈴木嘉弘、プロダクション統括及川義幸、制作担当村松大輔、 狭間聡司。
出演
無門大野智、お国石原さとみ、下山平兵衛鈴木亮平、織田信雄知念侑李、長野左京亮マキタスポーツ、北畠凛平祐奈、下山次郎兵衛満島真之介、下山甲斐でんでん、音羽の半六きたろう、百地三太夫立川談春、北畠具教國村隼、日置大膳伊勢谷友介。
❇️後半お国さんの結末は笑えない💢コメディーテイストが⁉️
忍びの国
🇯🇵1576年伊賀(三重県)
第一次天正伊賀の乱を基にしたストーリー
完成した織田の城を焼き払い、小馬鹿な振る舞いをした事で、織田軍の怒りを買った伊賀国の農民。
伊賀人達は忍術を命を賭けて修行しながら暮らしていた。その中でも腕利の男無門(大野さん)が主人公。
とにかく金で動く伊賀国の民。
信長の国取りに支持された信雄では金以外では人を動かす才能が欠けていたが、織田軍の家臣大膳が側近になり、織田軍は伊賀国と戦う。
織田軍はシリアス路線vs伊賀国はコミカルテイストで進む絶妙なエンタメ戦国ストーリー
❇️後半お国さんの結末は笑えない💢
★彡伊賀忍者の割切った現金主義が面白かったのに何故伊賀側のコメディー路線からシリアスなオチにしたのか?解りかねる!
◉74D点。
★彡かなりエンタメよりですが、これはこれで楽し過ぎた。期待していない分、良かった感アップ⤴️
しかしお国さんの件はいくら主人公を成長した姿を魅せたくても納得いかへんな?
知らんけど…
🥷🌿🌲🪵🪨🌫️🏞️💮🆒
🟢感想。
1️⃣金にしか興味ない伊賀民衆に笑える。⭕️
★彡金が全てで、わかりやすく笑えます。
2️⃣主人公は夫婦になりたい美女(さとみさん)
だけの為に、仕方なく戦う体たらくが⭕️
★彡戦闘術に長けているギャップが良い。
3️⃣伊賀忍者が金で動く事を誇張したエンタメ作。★彡やや誇張し過ぎで人間ではないと言ってしまう伊賀勢の民がロボットの様で寂しいなあ😢
4️⃣織田信雄の心の闇やその家臣たちの人望のない感じなど良かった⭕️
★彡以外に歴史の勉強にもなる📖
🈲ネタバレ保管記憶用
ワイは伊賀に売られてきた名もない忍者で、金のためならなんでもやってきたんよ。
忍術や毒も飲む修行をしてきたんやけど、最近は一目惚れしてさらってきた女の為、人殺しも引き受けてきたんねんな。
織田軍がワイの伊勢を奪いに来たんやけど、ワイはおくにの願いと金の為、1万人の織田軍と戦って、とりあえず村の仲間を金で動かし織田信雄軍を勝ち取った。
せやけど、伊賀お偉い輩が俺たちを利用して自分の富を得ていた事を知るし、俺が貰った国宝級の壺を金をちらつかせ奪いにきたんねんな。
ワイの命を救おうとしてくれたおくには、金に狂った民衆達に毒矢で殺されてしまったんよ。
ほんといけずなやな。
頭にきたワイは国宝を壊して、この腐った伊賀国から出ていく事にした。
2年後織田信長軍勢が4倍の兵力で伊賀は簡単にやられてしもうた。
ワイは織田の勢力に混ざって、名もなき息子を育てた。
★彡コメディー路線の伊賀側であるのなら、お国を殺さなくても良かったと思います。
タイトルなし(ネタバレ)
カメラがブレすぎて最初のアクション全然見えない。凄さが分からない。
ファンタジーみたいな忍術ではなく、本当の忍者がやっていたような忍術だったのが良かった。
最後の対決は凄かった。相当練習したんだろうなぁ。
お国のシーンでは忍びの非情さに悔し涙が。
ネズミと一緒に歩いているシーンはほのぼのする。
無門のキャラが思ってたキャラと大分違って、クズだなぁ~(でも忍ってこんなもんか)と思ったけど、ラストが良かったので、良かった。
忍者の真の姿
DVDで鑑賞。
原作は未読。
主人公の無門は伊賀最強の凄腕忍者である。なのに完全に奥さんの尻に敷かれているところが面白い。まぁ、あれだけ美人だとしょうがない気もする。普段は飄飄としていても戦いになると縦横無尽の活躍で敵を圧倒。そのギャップが良かった。
小が大に立ち向かう様は痛快無比。あらゆる知略と戦法を駆使し、無謀とも言える戦に臨むが、そこは一筋縄でいかない忍びたち、欲の塊故に危機を迎えるところにハラハラした。
団結の理由が彼ららしさ全開で、ゲスいヤツらだなと思いながらも微笑ましく、愛おしさを感じる。ここまで正直に欲を出されると、かわいく思えて来てしまうのなんでだろう。
忍者の真の姿とはなんとも人でなしで情が無い。身内だろうがなんだろうが、欲望のためなら平気で騙し利用する。忍者の性質は連綿と受け継がれると云う大膳の言葉にゾッとした。
[以降の鑑賞記録]
2024/09/08:Netflix
※修正(2024/09/08)
思ってた展開と少し違った
大野くんのキャラに合わせたような忍者の設定。
石原さとみとの絡みが予想外。
全体としてどこが見所なのかわかりにくい作品だが、全体的に楽しめる。
伊勢谷友介の演技は好きだな。
アクション面白い!
無門の無敵ぶりが 笑
人でなしの伊賀忍者。最後の最後までそれだった
無門は、お国によって人間の心を取り戻した.....になるのかな
平兵衛は色々言っていたけれど
弟を殺されても何も思わぬ父親、弟を殺した無門、自分を操った父親への怒りで父親を見殺したり、無門へ切りかかったり、人間の心を持ってるのだろう事は窺えるが、共感できないし、女子供までも全て斬り殺す織田軍に着いた時点で終わってるだろう。
また、お姫様(平祐奈)の無門へ信雄を殺してくれと決死の覚悟で頼んでいたことを知っているし、弟が死んでも誰も気にしない事で織田軍についたが、平兵衛も信雄も大膳も、お姫様が死んだ事を誰も気にしてない
何処が違うのだろう。
何も違わない。= 虎狼の輩
虎狼の輩は散った
時代は変われど、血は流れ着く
みんなまとめて 虎狼の輩?
んー、、、やっぱりストーリー性はないな 笑
大野くん好きだし石原さとみ好き!
鈴木くんも良かった♡
アクションは面白かったし、気楽に見れたから☆2つで!
己の欲望のみに生き、他人の心など歯牙にもかけぬ
映画「忍びの国」(中村義洋監督)から。
原作は「のぼうの城」「村上海賊の娘」の著者・和田竜さん。
彼が伝えたかったことは、作品ラストに凝縮されていた。
「最強VS弱小」の戦いが終わり、2年後の会話。
「滅びたな、忍びの国も・・」勝った織田信長軍が呟く。
「いや違う。斯様(かよう)なことで、この者どもの息の根は止められぬ。
虎狼の族(ころうのやから)は、天下に散ったのだ」
「天下に散った?」「虎狼の族の血は、いずれ天下を覆い尽くす。
我らが子、そして孫、さらにその孫のどこかで、
その血は必ず忍び入ってくる。
己の欲望のみに生き、他人の心など歯牙にもかけぬ、
その人でなしの血はいずれこの天下の・・・隅々にまで行きわたる」
それが現代の日本人だと、現代の映像とダブらせて警鐘を鳴らしている。
他人の気持ちなど考えず、自分中心の行き方をする人たちが増え、
日本人の大切な、思いやりや和の心がなくなる時、
日本という国は滅びてしまう、と言いたげだった。
それを防ぐのは、私達大人の役割かもしれないなぁ。
素晴らしい傑作
ジャニーズアイドルの映画は基本的に見ない派だが、どうにも周りの評判が良い事と原作が好きだったので、あまり期待せずレンタルしてみたが、どうにもこうにも傑作過ぎて感動を超え胸がふるえる。
あまりの衝撃にアマゾンで特典映像もりだくさんのブルーレイを購入。特典映では監督の様々な意図が語られ本当に素晴らしい映画だと再認識。
中村監督は小説の映画化の名手でお気に入りの監督だが今作ではその力量を120%発揮されている。原作に負ける映画作品が多い中、伊坂幸太郎の『ゴールデンスランパー』など原作に負けない映画化の名手が8年の時をかけ映画化した作品が失敗するはずなかったのだ。
少し暗く残酷な原作を子供から大人まで楽しめるポップなコメディタッチでテンポよいエンターテイメント作品に仕上げつつも、原作の持つメッセージを観客にきっちり届ける中村監督の力量に感服する。
特典映像を観てやはりと思ったが、セリフやシーンの無駄をかなり抑えて仕上げている。
演者の表情だけで充分伝わるシーンでのセリフは少ない。
ゆえに残念ながらセリフでしか物語を理解出来ない人(私の妹)も多い現代社会、そういった人達には理解出来ないシーンがある。
川の決闘の後に唐突に無門が人でなしじゃなくなった意味がわからないと妹は言うが、妹の様な、所謂その場に流れている空気を読めない人種には、あの川の決闘での無門の心理の変化が理解出来ないのはしょうがないのか。
決闘でへいべいが死ぬ前の心情を説明する台詞もあったようだが二人の戦闘シーンでの表情の変化で充分観客に伝わるとカットされたようだ。
ゆえに『人として死ねる』と言う短いセリフが非常に心に響き突き刺さるのだろう
死ぬ直前のお国の『かわいそうに、、』のたった一言のセリフに込められた様々な感情やそのシーンの持つ意味が妹のような人種には、あまり理解できずにいたように思われる
やはり演者の余計なセリフのない、演技での表現を重視した場面運びのテンポの良さと作品の持つ雰囲気を考えると監督の素晴らしいバランス感覚を感じる
子供にも楽しめるエンターテイメント作品を狙って撮られている為、時代劇らしからぬ斬新な映像やセリフまわしの場面がたくさん楽しめる。あえての狙いで作られた色々な斬新な演出が理解出来る特典映像が見れる初回限定盤の特典映像は本当に見応えがあった
古典的時代劇で長編の原作を二時間にまとめる事を失敗し、セリフやストーリーを詰め込み過ぎ、演者の感情表現や観客の気持ちを掴むところをほったらかしの観客置いてけぼりの○○原とは色々な面で180度違う。
原作からかなり引き算をして斬新な演出をもって、あの原作をここまでのポップなエンターテイメント作品として世に送り出した監督に脱帽。
そして主役の大野智のアイドルを超えた怪演とも言える名演もこの作品を見応えある傑作に昇華させている
それまでは死んでいた目をしていた人でなしの無門が川の決闘後に目に光を取り戻し、人間として感情を爆発させるあたりは見事だ。
あそこまで目や表情だけで感情を表現できる俳優はなかなかいない。セリフがあっても感情が乗っていない役者も多くいる中ただのアイドルとは思えない演技に震えた。
その他演者も大変素晴らしいり
映画館で見なかった事を激しく後悔した作品は久しぶりだ。
期待した割に・・・
映画館に行くほどの意欲が湧かなかったのですが、レビューを見るとそこそこ高い評価だったので、少し期待してDVDを借りて観ました。
アクションが凄く、出演している俳優陣の演技も悪くなかったのですが、何となく冷めた感じ観てしまいました。
主役であるはずの無門(大野 智)に正直魅力を感じませんでした。生きるため(石原さとみ演じる奥さんのため)にお金を稼ぎ、お金のためには平気で人を殺したりしているはずなのに、そこに対する執着心が感じられなかった。
また、終始淡々としていた無門が、最後の方で感情をあらわにするシーンでは、(大野くん自体の演技は悪くなかったのですが)唐突感がハンパなくて、置いて行かれるような感情になりました。
映画という短い時間とは言え、登場人物はもっと丁寧に描いて欲しかったです。
何より、大野くんの普段の空気感が映画に出てしまっていて、生きることが難しかった時代のこの話しには合わないと思いました。
凄い娯楽活劇になれる映画
<他映画レビューサイトでの自身の記載を加筆修正しています>
まず、無門(大野智)と平兵衛(鈴木亮平)の最後の死闘は、日本映画史に残る殺陣です。ぜひ息を呑んで刮目して観てください。
これほど凄い殺陣で魅せられるのなら、下手に安っぽいCGは止めて(Mad Max: Fury Roadの様に)、シリアスなアクションをもっと堪能したいと思わせる映画です。いや、木人くん(変わり身の術)は愛い(うい)奴で、近う寄れ。
主演の大野智は、VS嵐の「クリフクライム」でも分るとおり、撮影時30代後半にも関わらず、恐ろしいほどの身体能力と体術の持ち主です。
デビュー前の10代の頃、京都で激しいアクション舞台を一日何公演もしていたのが活きています。
仲が良い同期のV6岡田准一(截拳道やカリ師範並みの実力者)の影響で、截拳道も習っている筈。
ジャニーズ・嵐のアイドル映画と思って食わず嫌いして観ないのは損です。
最後の死闘を際立たせるためか、日置大膳(伊勢谷友介)の家臣・足軽たちとの闘いの場面を、変にダンス・コメディっぽくしてしまったのは、本当に勿体無い。
あと尺の関係でカットしたのか、人間ドラマ・描写が少し単純で端折り過ぎです。(評価を▲0.5点落としたのはそのため)
カットされたと噂される各所のアクションシーンを加え、モノクロ映画にしてシリアス度を高めて娯楽性を際立たせれば、現在では貴重な、本当に凄い娯楽活劇になると思います。
3Dやら4DX、iMAXでない、邦画活劇ならではの醍醐味は映画館でないと味わえません。ぜひTOHOさん、ご検討お願いします。
初見ではわかりにくい映画化も
原作小説を購入したものの登場人物が多く時代小説に慣れないため挫折。漫画化された作品を読んでから映画を見ました。俳優大野智のファンとして予習してから見に行きました。
見に行った後の感想は頭がモヤモヤして、正直「中村監督、やっちまったな」と勝手に自分で落ち込みました。
一緒に見に行った夫の反応はつまらなかったという雰囲気。
私自身も、正直面白かったと言えなかった。
俳優の演技は素晴らしく特に無門の最後の叫びは話の流れを知っていながら、考えるより感じるより先に涙があふれてしまうほど、かつてないほど真に迫ってきました。
ただ映画としては、場面がよくわからないままコロコロ変わっていき、感情が取り残されたまま話が進んでいった気がしました。
説明不足な面が多いんだと思いました。
監督のインタビューを見ると「役者の表情・演技力だけで説明できるので、状況説明な台詞や場面をカットした」とあったためそういう演出だったんでしょうが、もうちょっと背景を描いて欲しいと思いました。
初めて見たときの感想がこの通りだったので、この映画について批判的な感想について理解できる自分もいます。
ただ、その後すぐに2度目を見に行くと感想がガラリと変わりました。
話の展開がもう頭に入っているので、今度は違和感もなく映画の世界観に入り込めました。
そうなると、台詞の意味や登場人物の変化、気持がビシビシ伝わってきて更に泣ける箇所が増えてきました。
アクションシーンもこちらが息を止めて見てしまうほど迫力と緊張感があって圧倒されました。
伊勢谷友介さんの台詞回しにはカリスマ性を感じましたし、石原さとみさんの表情(目の動きなど)だけで感情を伝える演技も良かったです(演技力ある女優さんだとこの映画で思いました)
偉大なる父を持つ信雄がそのコンプレックスを爆発させるシーンも人間的甘さを知念さんがうまく出していましたし、大殿のカリスマ性を少ないシーンで表現した國村隼さんもすごかったです。
台詞回しが独特でついつい目を引いてしまうでんでんさん、いかにも狡がしそうな親分をその存在感で出していた立川談春さん。
平祐奈さんも少ないシーンでしたが、姫としての気高さ強さをしっかり表現されて注目の女優さんになりました。
鈴木亮平さんはアクションも相変わらず素晴らしく、そして強い復讐心と悲哀を表現し話を引っ張っていって下さいました。
大野智演じる無門は台詞回しが現代的だったり、醸し出す雰囲気が時代劇チックではないので見る人によっては演じていないように写るかもしれません。
しかし、無門はこの作品では無敵で浮いている存在で良いのです。
その辺りを絶妙に演じていると思いました。
なにより、スイッチが入ったときの表情が本当に恐ろしく、普段の飄々さと忍者としての恐ろしさの対比が際立っていました。
声のトーン、感情のない目などなど説明台詞がなくても伝わってきました。
なにより、平兵衛との戦いからお国との最後のシーンは佇まいを見ているだけでも押し寄せる感情にただただ圧倒されていきました。
実際は声色・目の演技・仕草・表情その他様々な部分で無門の心の動きを表していましたね。
(この辺りは語彙力が追いつきません)
それぞれの登場人物に見せ場があるからか話の展開が散漫になり、途中で面白くないと思ってしまうと、この映画の良さに気づかないまま見終わってしまう作品だとは思います。
でも、もしちょっとでも気になったら2度目を見に行って欲しい。
2回以上見に行くことを勧めてしまう映画でした。
(映画としては初見で面白さが伝わらなければ良くないとは思いますけどね)
演出の善し悪しはよくわかりませんが、各俳優さんの良さをすごく感じた良い映画でした。
リピートせずにはいられない
日頃映画を観てもレビューを書こうとは思わないけど、この作品についてはどうしても語りたい。
ときに「エンターテイメント性が高い」という表現はちらかってる印象の作品に使われることがあると思うが、本作に関しては、確かに高いエンターテイメント性がありながら原作の筋もしっかり保持されている。
エンターテイメントな部分を取り上げると、予告CMで流れる主役のアクションはごく1部で、本編はあんなものではない。
リズムにのったアクションがあれば、息もさせない動体視力を試されるようなスピード感の殺陣は圧巻で、いままでにないのではないか。
さらに、下忍たちのアクロバットやパルクールはショーでも見ているような爽快感を与え、それが作品に馴染んでいるところが不思議。
セリフやナレーションでは多くを語らず、役者の表情や小道具・背景などで登場人物それぞれの生い立ちや人生も考えさせる深さがある。
前半でコミカルに描かれている夫婦関係はクライマックスでは胸をうつ愛を魅せつけられる。
主役のみならずキャスト全てがハマっていて、観るものを簡単に作品の世界へ入り込ませる。
これまでにない忍者映画、アクション映画、ヒューマニズムをぜひ劇場で観ることをおすすめしたい。
そして、画面の隅々まで見逃さないでほしい。
セットやエキストラのひとりひとりまでが忍者や武士の実態を描いているので見逃すと勿体ない。
そのすべてを見ようと思うと、何度もリピートすることになるけれども。
必ず映画のひとつの時代の幕開けを目撃すると思う。
全88件中、1~20件目を表示