「やられたらやり返す正義でいいのか。子供達にMCUが教える正義はこれなのか?」アベンジャーズ エンドゲーム まこさぽチャンネル(さぽしゃ)さんの映画レビュー(感想・評価)
やられたらやり返す正義でいいのか。子供達にMCUが教える正義はこれなのか?
まず長い年月をかけて、
このような世界を作り上げたMCUには最大の拍手と敬意を。
しかし「映画」として観るなら、気になるところがいくつかある。
・「シビル・ウォー」のヴィジランテ活動による社会からの批判問題はどうなったんだ?
・最初はセクシーな秘書だったブラック・ウィドウが
最終的にリーダー格になる。そんな女性の描き方は、DCと比較できないくらい上手い。
しかしキャリアアップした女性の最後が「死」というのは、
「テルマ&ルイーズ」から20年以上経っているのに、
女性が何かを求めると「死(幸せは得られない)」なのかという苦い思いがした。
アイアンマンもだけれど、自己犠牲が美しいという、キリスト教的な考え方を押し付けられるのにはうんざりだ(親父がやるとこも、アルマゲドン的だ)。
私は自己犠牲が美しいという考え方は、テロリストと変わらないと思っている。
・なぜ軍人ではなく、民間人が犠牲になる?
キャプテンは軍人だ。
そもそもキャプテンアメリカは、アメリカの星条旗を背負っている。
アメコミの歴史を振り返ってみても、キャプテンやスーパーマンは、その時のアメリカの正義が透ける。
そのキャプテンに武器を持たせることには、恐怖した。
また例え相手が最強だとしても、同じように大勢で、力で相手をねじ伏せることころは、アメリカが大軍で小国を制圧している風景が思い出されて、嫌な気持ちになった。
そもそも、やられたらやり返す。で、ヒーローがいいのだろうか。
「スパイダーマンホームカミング」の冒頭で、「kids got a future」と言ってるけど、MCUが最終的に子供達に教える正義はこれなのか。
その戦いには知恵も優しさもない。悲しみと怒りだけ。
「Avenge」
「revenge」
どちらも復讐、仕返しの意味だが、
前者には「正義による」復讐・報復の意味がある。
しかし正義は、
どちら側につくかで変わる。
こちらと同じ熱量が相手側にも存在することを無視した
アメリカに、9・11が起こったんじゃないか。
やられたらやり返すは負の連鎖を生む。
と、「ブラック・パンサー」でも言っていたじゃないか。
そこは、どうなった?
大勢のヒーローが登場し(ハワード・ザ・ダックまで!)、
3時間超える作品を楽しませるのは流石だと思います。
しかし、アメリカの正義がやばい方向に行ってることが見て取れて、ちょっと怖かったです。