「感動的なスポ根映画だがあと一歩足りない。」チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話 あいわたさんの映画レビュー(感想・評価)
感動的なスポ根映画だがあと一歩足りない。
最高のモチーフに最高のキャスト。こういうザ・主人公にはやはり広瀬すずがぴったり。やはり演技力は超一流だ。
実話を基にした典型的な青春スポ根ストーリーで泣ける要素がそこかしこに。中でも、彩乃部長と早乙女先生は最高だ。
一方、良い要素が多かったばかりに実に惜しかった。
都合の良すぎる雑な展開が残念。主人公の怪我はまだ許せるとしても、世界大会決勝での主人公へのセンター交代はナンセンス。
素人が僅か3年の努力で世界大会のセンターとは現実味がない。仮に実話だとしたら本当に凄い才能の持ち主だがそんな天才肌には共感しにくい。決勝でセンターが交代、動揺の走るチームと部長を『端』の主人公が支えて見事持ち直して優勝、その位がいいじゃない?
クライマックスのギャグ要素も興ざめ。序盤から中盤はアリだし、3年生メンバーの緊張を解す全国大会でのコント場面も秀逸だったが、決勝演技中の福井のギャグ場面要らないでしょ。ノーカットの予定だったもののダンスが仕上がらず急遽場面を替えたのかと勘ぐってしまう。折角ダンスが上手いのだからノーカットくらいの気合を見せてよ。柳ゆり菜の扱いの雑さとか、ひかりが顧問になったり孝介との甘いやりとりがある取って付けたようなエピローグには心底うんざりした。
就職した彩乃が矢代くんと思わぬところで再開する場面は秀逸なエピローグだったと思う。彩乃が夢を叶えたことを聞いて早乙女先生が泣くのはストーリーとしてありだけど、伏線がなくあまりにも唐突なラストだった。
決勝後のひかりと早乙女先生の2人の場面もシチュエーションを考えれば意味不明。優勝を確信したなら尚の事、その時を教え子と迎えようとするものでしょ。
感動的だが細かい場面が雑で完成度の低いとにかく惜しい作品だった。