劇場公開日 2017年1月21日

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「この邦題じゃ、チャーリー浜を思い出してしまう」ショコラ 君がいて、僕がいる kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0この邦題じゃ、チャーリー浜を思い出してしまう

2020年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ラストのリュミエール兄弟のフィルムだけでも儲けもの。これだけでも観る価値ありだと思った。フランスでもしばらく忘れ去られていた芸人コンビ“フティットとショコラ”。ショコラ(オマール・シー)はアフリカからスペインの農場へと売られてきたが、脱走し、フランス北部のサーカス小屋“デルヴォー座”にたどり着き、サルと一緒にコンビを組み怖い人食い人種として人前に立っていた。そこへ、落ち目の道化師ジョルジュ・フティット彼を見て、前代未聞のコンビを組んでやろうと決意するのだった・・・

 とんとん拍子に人気を博し、パリの大きなサーカス団に引き抜かれる。そこでも上昇志向の二人は大人気。やがて一座の看板スターとなっていくのだ。

 ギャンブル好きで女好きのショコラ。当時としては珍しい車を乗り回し、優雅に過ごす一方で借金苦に喘いでいた。デルヴォーで付き合っていたカミーユのことも忘れ去り、奔放で破滅型の性格は暗い影を落とす。横山やすしかっ!身分証がないために逮捕されたり、そこで政治犯のハイチ人と知り合い、演劇の世界に活路を見出そうとする。演じたい演目は「オセロー」。白と黒?芸人?

 ある意味堅実だったフティットに対して、波乱万丈の人生だったショコラ。その大前提には彼が黒人であり、差別の目で見られていたことにあった。まるでドツキ漫才のように、フティットには尻を蹴られる役目なのだが、世の中の流れや観客の目を気にしていたフティットの真の心までは読めなかったのか、自由黒人としてプライドはないかと自問自答するようになったのだと思う。

 女に興味はないことや、ゲイに迫られるシーンからも、フティットには特殊な感情が渦巻いていたのだろう。しかし、それよりもショコラを最高の芸人に仕立て上げることに人生を注いだ形となり、真の意味で“愛していた”のだろう・・・ラストシーンよりも本人の映像を見ることでそれが実感できました。

 フティットを演じたジェームズ・ティエロがチャップリンの実孫であることも知り、チャップリンの無声映画に通ずると感じたのも、このせいだったのかな・・・ちなみにチャーリー浜の“チャーリー”はチャップリンからではなく“チャーリーズ・エンジェル”からちなんだ名だそうだ。あー、どっこいさ。

kossy