ショコラ 君がいて、僕がいるのレビュー・感想・評価
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ダイナミックかつ繊細。正反対な二人の俳優が魅せる
100年以上も前、それこそ映画の起源とも期を同じくして活躍した肌の色の異なるコンビの物語。ピエロにも「クラウン」と「オーギュスト」を始め様々なタイプがあるのも興味深ければ、当時の観客が無意識の内に持っていた生々しい差別意識にも触れることができる。かくも描写の難しいテーマをはらんではいるものの、その語り口は明瞭で、この時代、コペルニクス的発想で打って出た二人の個性にじっくりと寄り添う内容となっている。
ショコラとフティット。彼らは友情や成功という言葉では表現できない関係性で結ばれている。人気、性格、華やかさ、暮らしぶりと言った面で彼らはまさに正反対。それでもなお差別意識を超えて、言葉にはしなくても彼らにしか分かり合えない互いへの嫉妬やリスペクト、共闘意識がある。その心の内側の繊細な動きからダイナミックな身体表現までを織りなした二人の俳優が実に魅力的。ショービジネスの歴史にまた別の角度で光を当てた良作と言えよう。
中途半端…
サーカスで道化師として人気を博した黒人が舞台俳優を目指すものの、人種差別の壁を越えられず、無念の死を遂げるラスト。悲しい結末になってしまった。大した芸もなく、野蛮人の振る舞いで飯を食っていた田舎劇団からかつての売れっ子道化師ジョルジュに技を教わり、パリの劇団で一流道化師となったショコラ。しかし、白人の前で結局は笑い者になっている現実に我慢できなくなる。という気持ちはわかる。しかし、田舎劇団の恋人をあっさり捨て、酒やギャンブルに明け暮れ、相棒のジョルジュへの敬意もない。ジョルジュも素っ気ないし、給料も田舎劇団の時から、ショコラに明かさず、多く取っているし(ジョルジュのお陰なので仕方ない面もあるが)、最強のふたりをイメージしていただけに、二人の友情が感じられない。一番可愛そうなのは結婚した?マリーで、彼女の愛が報われない。期待していただけに残念だった。ジョルジュ役の俳優がチャップリンの孫とわかってびっくりした。
この邦題じゃ、チャーリー浜を思い出してしまう
ラストのリュミエール兄弟のフィルムだけでも儲けもの。これだけでも観る価値ありだと思った。フランスでもしばらく忘れ去られていた芸人コンビ“フティットとショコラ”。ショコラ(オマール・シー)はアフリカからスペインの農場へと売られてきたが、脱走し、フランス北部のサーカス小屋“デルヴォー座”にたどり着き、サルと一緒にコンビを組み怖い人食い人種として人前に立っていた。そこへ、落ち目の道化師ジョルジュ・フティット彼を見て、前代未聞のコンビを組んでやろうと決意するのだった・・・
とんとん拍子に人気を博し、パリの大きなサーカス団に引き抜かれる。そこでも上昇志向の二人は大人気。やがて一座の看板スターとなっていくのだ。
ギャンブル好きで女好きのショコラ。当時としては珍しい車を乗り回し、優雅に過ごす一方で借金苦に喘いでいた。デルヴォーで付き合っていたカミーユのことも忘れ去り、奔放で破滅型の性格は暗い影を落とす。横山やすしかっ!身分証がないために逮捕されたり、そこで政治犯のハイチ人と知り合い、演劇の世界に活路を見出そうとする。演じたい演目は「オセロー」。白と黒?芸人?
ある意味堅実だったフティットに対して、波乱万丈の人生だったショコラ。その大前提には彼が黒人であり、差別の目で見られていたことにあった。まるでドツキ漫才のように、フティットには尻を蹴られる役目なのだが、世の中の流れや観客の目を気にしていたフティットの真の心までは読めなかったのか、自由黒人としてプライドはないかと自問自答するようになったのだと思う。
女に興味はないことや、ゲイに迫られるシーンからも、フティットには特殊な感情が渦巻いていたのだろう。しかし、それよりもショコラを最高の芸人に仕立て上げることに人生を注いだ形となり、真の意味で“愛していた”のだろう・・・ラストシーンよりも本人の映像を見ることでそれが実感できました。
フティットを演じたジェームズ・ティエロがチャップリンの実孫であることも知り、チャップリンの無声映画に通ずると感じたのも、このせいだったのかな・・・ちなみにチャーリー浜の“チャーリー”はチャップリンからではなく“チャーリーズ・エンジェル”からちなんだ名だそうだ。あー、どっこいさ。
鑑賞記録用
小娘みたいな泣き言はよして
映画「ショコラ 君がいて、僕がいる」(ロシュディ・ゼム監督)から。
人種差別が当然の時代、白人と黒人で芸人コンビを組み、
「小麦粉とチョコレートはうまく混ざらない」と言いつつも、
「黒人が白人に思いきり蹴られる」ネタで、大衆の人気を得る。
しかし「真の芸術とは、風穴を開けることだ、人々の範となる」と、
人種差別的なネタからの脱却を図り、奴隷に近い黒人たちにとって、
希望の星となり、独り演劇の道へ進もうとする。
演じるのは「シャイクスピア」の中から、黒人主役の「オセロー」で、
「俺以上にリアルに、演じられるものはいるか?」と豪語して、
スタートするのだが、結果は散々で自信喪失。
そんな状況下、ギャンブルやアルコールに溺れていく彼に、
「演劇とは、リスクの伴う芸術」となだめながらも、
「『俺こそ真のオセローだ』と自分で言い出したのよ。
小娘みたいな泣き言はよして」と、突き放すシーンが印象に残った。
プライドを傷つけられた彼が「失礼だぞ」と大きな声で言い返しても、
「じゃあ、しっかりして」と切り返す場面は、
何気ない会話なのかもしれないが、こういう彼女がいたからこそ、
立ち直っていけたのではないか、とメモをした。
「中途半端なプライド」ってジャマなんだよなぁ。
芸人の絆の物語
お笑いのツボを考えさせてくれる
ティエレさんかっこ良かったーー!それに尽きると言うとどうかと思うが...
タイトルはショコラだけど
相方のフイティトが声をかけて コンビになったのだから
もう少しフイティトの気持ちが察せれるくらいはスポットを当てて欲しかったな
ゲイバーみたいなところに居るシーンがあったけど、彼はゲイだったのかな?
実はショコラを愛していたのかな?
と思ってしまう…
実話なので、再起してハッピーエンドにならないところなど かなり辛い終わりかたであり
それでも実際の二人の動きをエンディングで見せてもらえて
笑えて
泣いて終わりにならない作品でした
今も変わらない。
観たい映画が終わってしまい、代わりに観たのがこの作品。
チラッと作品紹介を読んで想像はできた。20世紀初頭の頃が舞台。ほう、なるほど。
ところが想像以上にズッシリきてしまった。
無意識にいちいち主人公ふたりに感情移入してしまうものだから、正直辛かった。
けれど、いくらショコラの気持ちになったとしても、絶対に実際の何億分の一にも及んでいない。これっぽっちも。単なる想像でしかない。
当然である。自分はそんな体験をしたことがないし、その類いの屈辱や怒りを感じたことがないのだから。想像もできない。現代日本で普通に生活していれば、ほとんどの人達も同じことだろう。
だがしかし。
それで流してしまってはいけない。
あらゆる差別は今の時代でもまったく変わっていない。
ちっとも過去の話なんかではないのだ。
そしてこのキャスト以外、あの重さが出なかったかも。きっと。
「差別」を重くなく知ることができる映画
私は2年間程 アフリカで暮らしたことがありますが、肌の色で嫌な思いをしたことはないし、信仰する宗教がその土地にないものだからといって酷い目にあったこともありません。
逆も然り。そういった、自分から人を遠ざけるようなことは、心がけてしていないつもりです。
私はこれまで40年近くの生活の中で、何かの「違い」によって、人生に挫けてしまう程の体験がありません。
ですから、主人公ショコラの本当の痛みには寄り添うことはできないんだと思いました。
だからと言って、この映画に白けたりしません。
何らかの違いを「理解できない」ということはあるかもしれませんが、無視はしない。
「知る」こと「知っておく」ことはとても大切なんじゃないかなと思います。
映画は2時間たっぷりと様々な要素が詰まっており、楽しむことができます。
ただ、詰め込みすぎて、一つひとつが薄い印象も受けますが。
『ショコラ』『聖の青春』『ブルーに生まれついて』を今年に入って鑑賞しましたが、どうしてこうした類い稀なる力を持った人たちは、自分の人生を大切にできないのだろうと、哀れに思ってしまいます。
その時そのときの一瞬が輝けばそれでいいのだろうか。
どの映画にも共通して周りで支えてくれている人たちがいる。
その人たちの「置いてきぼり感」に共鳴し、私はとても感情移入しました。
この映画の場合では、フティットです。
彼の心情描写が極端に少ない分、彼の気持ちをたくさん想像することができました。
(彼がまさか、あのチャップリンの孫だったとは!)
元気をもらえる映画だと思っていたのですが、そうではない誤算があり、意表を突いた映画に出会えました。
微笑ましいけど
2人が出会って、売れて、そこまでかなり順調で、もしかしたらこのまま行くのか?と思いましたが、人種の問題が絡んできました。
白人にとって黒人は笑いながらいたぶられるような存在という言葉はかなり考えさせられた。
現代ではありえないことだけど、そんな風潮に歯止めをかけようとしたのは勇気が出た。
オマール・シーはさすがの安定感。
表情で全てを語る。
とても社会派でした
コンビで成功するのは実に難しい。楽しいサーカスやコメディ描写とド直...
う~ん期待してただけに・・・
フランス史上初の黒人芸人ショコラと、彼を支えた相方フティットの愛と涙に満ちた感動の実話と聞けば興味をそそられる。ポスターに描かれた寄り添う二人を目視しただけで花の都パリの文化や歴史観にときめく。きっと面白いに違いないと!が、その実直すぎるストーリー展開は映画としての魅了や輝きにかけている。20世紀初頭の芸人ネタは現在のそれとは異なり小学生レベルです。本編の半分近くはその面白くもない二人の芸を見なければならず退屈で笑えなかった。題材が良いだけに残念な結果です。ショコラの相方役を演じたジェームス・ティエルはチャールズ・チャップリンの実孫。本編で道化師を演じた彼が楽屋でその化粧を拭き落とすシーンがある。その表情、仕草が名作『ライムライト』のチャプリンと重なり、ドキッとしました。
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