アスファルトのレビュー・感想・評価
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寂れた団地が素晴らしい
凄く得した気分!!
こんなフランス映画があったんだ。
3つの話が接点も無いのに同期している。
観た後、凄く気分が良くなる映画はザラにはありません。
偶然の出会い、そして・・
パリの片隅のさえない団地で偶然出会う3組のカップルを描いています。カップルと言ってもいわゆる男女の出会いは1組だけです。
登場人物はNASAの宇宙飛行士以外は皆どこか孤独です。人生そのものも決して順風満帆ではありません。
そんな人々に訪れる出会い、別れ、人生の転換期・・・そういったものを優しく静かに描いています。
決して難しいテーマではなく、劇場内では時折笑いが起こっていて、もし誰かと一緒に鑑賞していたら、「ねえねえ、あの○○のシーン、おかしくなかった?」と言いたかったなと思いました。
アッサリだけど人間賛歌
粋でコクのある小品、といった趣きの映画でした。
脱力ギャグの中で、人と人との心の交流をものすごくサラっと描いていて、なんとも心地よいです。
登場人物たちは基本的にみな孤独です。そんな人たちが互いに出会っていき、相手を思いやる態度を取ったり取られたりしていくうちに少しずつ頑なな守りが解けていく。そこで生じるのはあくまでも些細な変化。そして、関係は長続きするとは限らないけど、ここで描かれた瞬間こそが彼らにとってかけがえのない体験になっているんだろうな、と思わせてくれました。
特に印象に残ったのは、中年女優が少年に促されて、オーディション用のビデオを撮るシーンです。過去に生きていた彼女が、少年の指導(?)を受けて、徐々に過去の仮面を脱いでいき、素直な表情になっていく姿に心打たれました。この少年との交流が彼女を今を生きる女性に変えたのだと思います。
この作品もそうですが、少ないセリフで観客に解釈を委ねる造りはフランス映画の共通の特性なのでしょうか?これが結構面白いです。観客に主体的な想像力を求めるので、楽しみつつ集中して観るため、充実した気持ちになりました。
あと、イザベル・ユペールがとても美しかった。
パリの団地での群像劇
パリ郊外の古びた団地が舞台です。
グランドホテル形式の群像劇で様々な人間模様が見られますが、全て問題を抱えている人々ばかりです。
NASAの宇宙飛行士と中東出身のお母さんのくだりが一番いいストーリーに感じました。
人間の愛おしさをテーマに抱えていると思えるが、正直このクラスの作品はいくらでもあるのでは。
普通かな。
暗闇の向こうから差すのは、希望。
お金を出してフランス映画を見るのは
生まれて初めて。
予告を見て、なんだかスルーできなかった。
結果、
やっぱり難しい(^^;;
でも、フランス映画の中では
わかりやすい感じなのかな?
とにかく淡々と進む。
舞台が同じショートショートの小説を
ちょっとずつ、同時に読んでいくような感じ。
車椅子の男性が
病院の自動販売機で
人目をはばかって
スナックを買っているシーン。
コインを投入して
さあ落ちてこい、、、
と、途中で引っかかる。
劇場ではクスクス笑い声が漏れていたが
なぜか、心が滲んだ。
最近、ふとした事で
イライラしたり落ち込んだり。
そんな自分だったから
人間の絶望なんで
他人から見たら滑稽なのかもしれない。
アラブのオバァちゃんが
よかった^_^
息子を思う気持ちは
万国共通なんです。
夜空に瞬く星は
暗闇の向こうには
希望があるということ。
宇宙飛行士の一言が
心に差し込んできた。
全編通して聞こえてくる。
軋むような、
悲鳴のような音。
ラストで正体は明かされるけれど
何を意味してるのだろう?
傑出した作品ではないけれど、好感が持てる小品
フランス・パリ郊外の古びた団地。
壁はボロボロで落書きだらけ、エレベーターも何度となく停まるというありさま。
そんな団地で起こる、ちょっと心地よい三篇の物語・・・
というハナシで、ひとつめは2階に住む頑固な中年男(ギュスタヴ・ケルヴェン)のハナシ。
ボロエレベーターの交換工事をしようと資金を募るが、件の男は「自分は2階に住んでいるのでエレベーターなんて使わない。だから金は出したくない」とゴネる。
「エレベーターは使わないこと」が交換条件として、その意見は取り入れられる。
しかし、すぐ後、男は自宅でのエアロバイク運動をしている最中に脳梗塞(か何か)により倒れ、車椅子生活を余儀なくされてしまう。
人目を憚り、夜間にエレベーターを使って団地を抜け出し、近くの病院の自動販売機でスナック菓子を購入していたところ、夜勤の女性看護士(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)と出逢う。
男は、撮影中に事故を起こした写真家だと取り繕ってしまう・・・
ふたつめは、中層階に住む少年(ジュール・ベンシェトリ)と中年女優(イザベル・ユペール)のエピソード。
少年は、母親と二人暮らしだが、母親は働きに出かけていて、いつも不在。
ある日、同じ階に越してきたのは小柄な中年女性。
無愛想な彼女であったが、しばらくして、彼女が女優だということを知る。
30年近く前に彼女が主演したモノクロ映画を一緒に観た少年は、意外といい女優だなと交換を抱く。
そして、いまはもううらぶれた彼女であったが、過去の主演作が再度舞台にかかるということで、オーディションに挑もうとするのだが・・・
みっつめは、最上階に住むアルジェリア人の老婦人(タサディット・マンディ)のエピソード。
彼女は成人した息子と同居しているが、その息子は刑務所に収監されてしまった。
そんなとき、なにかの手違いで団地の屋上に不時着帰還した米国人宇宙飛行士(マイケル・ピット)は、迎えが来るまで彼女とどう叙せざるを得ない羽目になる・・・
そんな三つのエピソードは、特に物語が交差することもなく、それぞれで進んでいきます。
全体的は、灰色の空と団地の壁。
別に、明るくもなく、突き抜けることもなく、すっきりともしないのだけれど、へんに押しつけがましいこともなく、言っちゃ悪いが淡々と進む物語は、不思議に気持ちよい。
まぁ、少しばかりの隠し事はあるけれど、誰も悪意を持っていないあたりが心地よいのかもしれない。
三つのエピソードに唯一共通する「どこかしらから聞こえてくる、泣き声のような軋み音」の正体が、団地のゴミ捨て場の鉄製のドアの蝶番だった、というオチも、ヘンに捻っておらず好感が持てました。
本年、先に公開された日本映画『団地』よりも、ヘンな気負いやヒネリがない分、個人的は上とします。
痛々しいほど滑稽な三組の男女。
「ティエリー・トグルドーの憂鬱」に続いてフランス映画の鑑賞。正直、僕にはあわない。どちらも。
時代に取り残された大物女優気取りが、素人のイケメンに演技指導をされて一人悦に入っている様は、滑稽でしかない。他の二組の男女も、いたるところ滑稽であるさまは同じ。あざとさしか感じない。
観てよかった
ゆっくりゆっくり、気持ちが暖かくなる映画でした。観たあともぬくもりに包まれるような余韻があって、穏やかで幸せな気持ちに。淡々としているけれど、今思うと奥深い内容に感じます。予告もあらすじもノーチェックで観たから、ダイレクトに沁みました。
望外の喜びをもたらす映画
フランスの団地。かの国では「バンリュー」と、マイナスイメージを伴った言葉で呼ばれる都市郊外の集合住宅が物語の舞台。
殺風景で荒み切った背景ばかりの映画である。そこに登場する人々の生活もまた生彩を欠いている。
だが、彼らの生活に暖かさや彩りが生まれる瞬間を、画面の色彩設計ではっきりと映像にしている。
例えば登場人物の衣服の色を背景の補色を選択したり、バレリア・ブルーニ・テデスキ演じる看護師がピンクのカーディガンを脱ぐと素敵なワンピースを着ていたりという、色彩の演出が、単調な背景に倦むことから観客を遠ざける。
宇宙飛行士とアラブ系女性、人生下り坂の女優と少年、エレベーターをこそこそと利用する車いすの男と看護師。彼らのそれぞれのエピソードがブラック・ユーモアを少しずつ重ねていく。決してその人物たちに感情移入をしようとはしない前半は、むしろ彼らを皮肉たっぷりに冷たく見つめている。
意地悪な視線に変化が起きるのは、各々が相手の為に何かをするところからである。宇宙飛行士が、台所の水漏れを修理しようとする。少年が、演出家に見せるための女優の演技をビデオに撮る。車いすの男が、看護師に見せて欲しいと頼まれた世界中の写真を、自宅の窓から見える空とTVの中の風景をポラロイドで撮影する。
その全ての試みは実を結ぶことがなかったり、当事者以外には意味のない行為だったりする。特に、車いすの「偽写真家」がフィルムの入っていないオモチャみたいな古いカメラで、看護師に向かってシャッターを切り続けるシーンは虚しさの極みである。
ところが、彼らの空しい試みを見るときに観客はこの映画との幸福な出会いをもっとも強く感じる。小ばかにしていたはずの存在の中に愛おしさを感じる、その自らの視線の変化に戸惑う喜びを。
淡々と進むのに面白い
「イザベル・ユペール可愛い!」と思うのね。イザベル・ユペール好きだから。それで観てるとヴァレリア・ブルーニ・テデスキも可愛いというか、綺麗というかで良いんだよね。
話は、すごく淡々としてるし、有りがちといえば有りがちなんだよね。でも、観ちゃう。そこが凄い。
冷たいアスファルトが、じんわりと熱を帯びる幸福
3種類の小さな出会いの物語だ。本来出会うはずのない者同士が、些細なきっかけで出会う。そしてほんのわずか人生に変化を齎して去っていく。そんなさりげない街角のメルヘン。
寒々しい打ちっぱなしの集合住宅(映画では「団地」と訳していたかな?)に住む、決して裕福には見えない人々の暮らしの中に、ある日突然「他人」が介入してくる。それは、夜勤のナースだったり、今ではすっかり忘れ去られた女優だったり、宇宙から落ちてきた(笑)アメリカ人だったりする。それぞれ、出会うはずのない者同士なのだけれど、なぜか通じ合うところがあり、お互いの人生にささやかな影響を及ぼし合いながらひとときの時間を共有する。その温かさが、冷たいイメージの「アスファルト」の団地にじわじわと熱を与え、気が付くとほっこりと心温まっていることに気が付く。これは現代の街を舞台にしたファンタジーかもしれない。現実はこううまくはいかないかもしれない。けれども、映画を観ている間、その魔法を信じられたのは幸福な体験だった。
映画館でも、時折クスクスっと笑いがこぼれ、温かい時間だった。特に、アラブ系のおばあちゃんとアメリカ人宇宙飛行士の、成立しているようで成立しない会話の微笑ましさには何度も笑いがこぼれた。夜勤のナースについた嘘をきっかけに生きる活力を見出す男も健気で愛おしかったし、年の離れた女優と学生の交流も年齢や立場を超えた関係性に見入った。フランス映画がいつもいつも気難しくて気だるい映画ばかり撮っているわけではないと、改めてフランス映画を愛したくなる作品だった。
予想以上にずっとずっと良かった!
フランス映画については、いつも「70%理解できればオッケー」という低め設定なのですが(笑)、そんな期待値を超えたとても素敵な作品でした。
同じ団地に住む人たちに起こるちょっとしたハプニング。
登場する男女3組の中では、Isabelle HuppertとJules Benchetrit(監督の実の息子さん)のシーンが好き。玄関越し?の会話とか、ああいう男女の関係というのはやっぱりフランス映画という感じで素敵だ。
Samuel Benchetrit監督、名前覚えづらいですが、、、これからの作品も期待しています。
優しさが溢れている
エレベーターのオチは笑えるし何とも皮肉で哀愁が漂い切なさも。
宇宙飛行士とお母さんとの遣り取りが微笑ましく別れは観ていて辛いが滑稽でもあり面白い。
若者と中年の女性との関係は恋愛とも友情とも取れて素敵な関係だった。
謝罪してエレベーターの代金を払えば良いのに夜中にコソコソ外出する哀れな姿。
しかし愛に目覚めてしまい素晴らしい出逢いを経験し必死に会いに行く姿は可愛い。
優しくないとこんな映画は撮れないなぁ。
素晴らしい
この、裏打ちの"笑劇"で醸し出されるのは、途方に暮れるも切なくも暖かい幸せの情感。
誰かが言ってた「ジムジャームッシュの詩情とアキカウスマキの哀愁」。。
もちろん#イザベルユペール の"背景"もボトムになるけど、三様の個室劇が"爽やかな曇り空"に帰結する。素晴らしい。
つまり、前夜のまどろみが枯渇した身には、シミジミとありがたや…な日曜の午前☺︎。。。そして、カウリスマキ好きな人にとっても(^^)。
#シネマカリテ
#裏打ちの笑劇
#爽やかな曇り空
#トランティニャンのお孫さん
軽妙
虚栄心を持った冴えない中年男性と孤独な中年女性看護師、母子家庭の少年と落ちぶれた女優、不時着した宇宙飛行士と服役中の息子を持つ母親の3組がある団地を舞台にそれぞれ交流する群像劇。
みんなそれぞれキズや寂しさを抱えているけれど、素直に心を通わせたら救われる。大きな盛り上がりはなく少し突飛だけれど、そんな日常の延長を描いたホッコリさせてくれる優しい作品。
良い後味
郊外の団地で巻き起こるシュールでコミカルな哀愁劇。
映画のなかに暴力描写は全くなく、3組の男女のコミカルなやり取りに映画館は終始笑いにつつまれる。
キャスティングも見事!
予告編の期待に十分応える面白さ。
映画館を出る時に、ちょっぴり幸せな気分に浸れる映画でした。
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