シュガー・ブルース 家族で砂糖をやめたわけのレビュー・感想・評価
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興味深い精製砂糖の危険性
30歳間近の映画監督アンドレア・ツルコヴァーは、3人目の子供を妊娠していた。
このとき妊娠糖尿病を患っていた彼女は、上のふたりが先天性の小耳症ということもあり、3人目の妊娠に不安を抱いていた。
自分の母親も妊娠中に甘いものばかり、それも砂糖ばかりを摂取していたこともあり、砂糖の危険性について調べてみることにしたところ、かなり危険度が高いことがわかってきた。
そして、調査を進めるうちに、砂糖製造業界に裏があることも知るようになっていく・・・
というハナシで、精製砂糖の危険性がわかりやすく訴えられたドキュメンタリーとなっている。
この映画を観たのがきっかけで、その後、少々ネットなどで調べてみると、砂糖には、原材料を煮詰めてつくる含蜜糖と、蜜成分を分離したものをさらに精製する精製糖に分類され、この映画では精製糖の危険性を謳っている。
含蜜糖も精製糖もあまり聞きなれない言葉だけれど、含蜜糖の代表は黒砂糖で、精製糖の代表は(というか、ほとんどの砂糖はこれにあたる)上白糖やグラニュー糖。
精製の過程で様々な触媒を使って、糖成分(甘味成分)だけを取り出していくのが、精製糖。
精製糖は、精製の過程で原材料が持っているミネラルなどの成分が減って糖成分が残るわけだけれど、それにより、糖成分は化学的には単純構造で(いわば)薬品成分に近く、過剰摂取をすると人体に影響が大きくなってしまう。
そして、それらの精製糖は、加工食材に多く含まれており、知らず知らずのうちに、過剰摂取してしまっている、とこの映画では警鐘を鳴らしている。
ふーむ、そうなのかぁ。
ということで、映画を観た後に近所のスーパーに立ち寄ったところ、たしかに、成分の中にかなり「砂糖」の文字が見受けられる。
よく食べる食パンなんかだと、小麦粉の次に書かれているのが「砂糖」。
お、ちょっとびっくり。
さらに、砂糖コーナーの棚に並んでいる砂糖の袋をひっくり返してみると、製品名はさまざま。
「砂糖」だったり、「上白糖」だった、「三温糖」だったり。
これらは、すべて「精製糖」。
いつも使っているのはテンサイ糖というやつだったが、これも「砂糖」。
結構、精製されているわけですなぁ。
ちなみに、黒砂糖と表記されていた商品は、ごくわずか。
氷砂糖にいたっては、原材料が「砂糖」だった。
おっと、映画からどんどん離れて行ってしまうが、それだけちょっと衝撃があったということ。
そして、映画は、ひょんなことから、砂糖業界の裏事情まで知ることになる。
例えば、医学者を使って砂糖の安全性をアピールしていたり、アフリカにおいては砂糖の原材料サトウキビを生産するために土地を買い占めて、先住民を追い出していたりとか。
まぁ、そのあたりは、他の製品だったりなんだかだったりの常套手段なので、それほと驚いたりはしないが、やっぱりな、って感じがする。
切り口が独自
ジャンクフード食べ過ぎ検証とか、エコ生活実践したレポートとか、何かの裏側的な映画はよくあるが、この映画は、おそらく、このタイトルに引かれた人の期待とちょっと違う方面のことを知らせてくれる。
家族についての被害とか生活といった裾のことよりも、諸悪の根源へ向かって挑んでいく様子を描いたというか・・・
映像のセンスはチェコらしいと感じるし、一般人が、砂糖産業にストレートに立ち向かっていくところなど、清々しく感じられる。
テーマ的に、とにかく暗くてうんざりするような映画はありがちだが、この映画は、敵は大きいけれど、みんなで力を合わせて、よりよくしていこう!という前向きさが他と違う。
それにしても、問題は根深いよなぁと思った。
全ては説明していないので、ある程度、砂糖と体の問題について興味のある人の方が楽しめるかも。
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