「好き嫌いが分かれる作品」ひるね姫 知らないワタシの物語 S.SHINICHIROさんの映画レビュー(感想・評価)
好き嫌いが分かれる作品
社会派ファンタジー青春SFアクションというてんこ盛りの映画でした。
ネオフォビア克服というメッセージは明確で、モチーフを適切に描写していたと思います。また、アクションはさすが神山監督といったところです。エンドロールの演出も完璧でした。
評価が分かれるのは最終場面での演出でしょう。
主人公の見る夢と現実の境目が意図的に曖昧に描かれており、とくに最後の場面ではいつ夢から覚めていて、いつ夢の中にいるのかも定かではありません。そのため、劇中の出来事の時系列や真偽がともすればはっきりしないような印象になってしまうでしょう。
僕は、
①ネットにおける炎上を無理なく視覚的に表現させることができた
②鬼の正体がネオフォビアであるということを暗示的に示すにとどめることで、説教臭さを軽減させた
③この結果、ガチガチの社会派映画ととらえられることをある程度避けることができた
という点において、この演出は効果的だったと思います。
しかしまさにこの演出によって話の流れが追いにくくなってしまい、全体的な完成度が低いという印象に至ってしまう方もいらっしゃったのではと思います。かくいう僕も一度では理解しきれませんでした。わかりやすく観やすい映画とは言えないのではないかと思います。
感動的で大変おもしろい映画だと個人的には思いますが、好き嫌いがはっきり出そうな作品でした。
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