「夢遊病患者の冒険」ひるね姫 知らないワタシの物語 フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
夢遊病患者の冒険
夢と現実を行き来しながら爺ちゃんに会いに行く話
鑑賞後の率直な感想は「あれ?昼寝でもしてたかな?」
実際、鑑賞中は一睡もしていないのだが、物語についていけなかった。
説明が無さすぎるし、何が起きてるのかわからない。何で?どうして?の連続。
大体の筋は理解したつもりだが、納得も共感も出来ない作品だった。
この物語を完全に理解できるのは監督だけなのではないだろうか・・・
予告編を見る限りではファンタジー風なのだが、細々したところで現実じみていて何とも中途半な印象ばかりが残る。
個人的には夢と現実が繋がっていて夢を守ることで~的な展開、もしくは新海監督の「雲の向こう、約束の場所」のような、少女の夢に何らかのエネルギーが流れ込んでしまい~みたいな物語なのかと思ったがまったく違っていた。
本作では夢と現実が繋がっているとされているがいまいちしっくりこない、偶然だったり、他力だったりで夢と現実が親密につながっている様には思えなかった。
これ、夢見る意味あるのか?と何度も思ったし、話がややこしくなっているもののやってる事は意外と単純だし、なんだか全体的に地に足がついてない。
夢と現実が繋がっていると言うのは、モチーフが現実の人や物だからなのだが、実際の出来事と連動するの理由は不明だし。
結局の所、なんでいつも眠いのかが最後までわからなかった。それになぜモリオと夢が共有できたのか、鬼ってなんだったの?とかバイクの自由意志の芽生えとか色々説明不十分な気がする。
夢の中ではかなり大暴れするが、現実では寝っぱなしで移動したり、ビルから落ちそうになったり、一言で言うと「夢遊病患者の危ない旅」なのだ。
冷静に考えるとおかしなことばかりなので、正に白昼夢を見る感覚で鑑賞するべきだったのかも知れない。
一応つじつまが全てあうのだと思うが、自分の乏しい理解力では納得できない点ばかりで、作品を楽しめなかった。
高畑充希の声もはじめの方こそなかなかいいじゃないかと思っていたのだが、段々声の演技力の足りなさが耳につく。
馴れてないのはわかるし、本業じゃないので仕方がないのだが、緊張感や悲しみの感情があまり伝わってこない。
他の俳優業の方々もそれぞれ頑張っていたよは思うが、いかんせん馴染めなかった。
岡山県の方言とか訛りは地元ではないので判断できないが、悪くなかったとは思うけれど。
主人公のキャラクターの生活感もちょっと不自然だと感じた。
寝坊した割りにしっかり朝食作ったり玄関先でラインしたり、学校抜け出す友人に平気で石投げたり、父親達と徹夜で麻雀したり。
「なんでこんなに眠いんじゃろ」ってそれ夜更かししてるからだろ!
魔法のタブレットもなんか凄い力が有るかと思いきや制御プログラムのマスターデータが入ってるだけだし、オリンピックの件も意味ありげだが大して重要じゃないし。
鬼とのバトルはそこそこ見ごたえあったが、羽はえて飛んでったり落ちてきたり、結局なにがしたかったのかわからないし、いつのまにか夢から覚めるし、物語から置いてきぼりをくらった。
食事のシーンを美味しく見せたいとか、迫力あるロボットバトルとか少女海賊とか、親子間の絆の再生とか、見せたいもの表現したいもの、伝えたい事とかいろいろやりたい事があったのだろうという意識はくみ取れる。
「天空の城 ラピュタ」や「ルパン三世 カリオストロの城」の雰囲気が全体的に漂っていたが、全部が大味になっていたように感じた。
春休み映画としての雰囲気は十分出ているが、ターゲットの観客層でこの物語を理解できる、共感、感動できる人が何人いるだろうか。
白昼夢はどこまで行っても夢でしかないし、地に足のつかない状態で感情を揺さぶることはできないと思う。
作画や動きに新しいものはないけど、アニメ映画好きが勉強のために見るぶんにはいい作品かも知れないが、決して一般人にお勧めできる作品ではないので、鑑賞予定の方は覚悟して視聴したほうがいいと思う。
劇中セリフより
「私にはまだ、時間がものすごくあるな」
老若男女、時間は同じだけ与えられている、考えかたしだいで長くも短くもなる。
昼でも惰眠をむさぼるような生活なしないようにしようと思った