「彼女への愛とホプキンスのしゃべくりが止まらない」アウトバーン 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
彼女への愛とホプキンスのしゃべくりが止まらない
大病を患った恋人を救う為に、元凄腕の自動車泥棒が
危険な仕事に手を出すという、なんか今までに
1000本は作られたんじゃないかというプロットなのに、
若手実力派ニコラス・ホルトとフェリシティ・ジョーンズ主演、
アカデミー賞俳優アンソニー・ホプキンスとベン・
キングスレー共演という豪華布陣が作品以上の
謎を呼ぶアクション映画が登場。
英題『COLLIDE』は“(2つのものの)衝突”という
意味の単語だそうな。エンドクレジットでは
『アウトバーン 制作委員会』みたいな表示があった
気がするんだけど、途中で変えたのかしら。
(まあアウトバーンあんまり関係無いしね……)
どうも作品外のところで謎が多すぎるのだがそれはさておき、
作品自体の出来は、割と悪くない出来のアクション映画。
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狭い市街やドイツ名物アウトバーンを激走する
カーチェイスの迫力はなかなかのものだし、
照準スコープ付ショットガンなどのちょっと
見慣れない銃器が登場する銃撃戦も悪くない
(すいません、そんな銃に詳しくはないです)。
カーチェイスのスピード感やボリュームは並の
アクション映画以上だし、アクションが本格的に
始まってからはノンストップなので飽きもこない。
ニコラス・ホルトとフェリシティ・ジョーンズ、
旬な主演2人のバカップ……純愛ぶりも楽しそう。
愛する彼女を救う為なら危険な仕事もなんのその!
死に掛ける瞬間にまで彼女の幻を見る純情一直線。
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だがこの映画の魅力はロマンスとアクションだけではない。
豪華2大アカデミー賞俳優の怪演も忘れちゃいけない。
名優ベン・キングスレーのチャラ過ぎ&お薬
キメ過ぎ演技も楽しいのだが(ガンジー役で
アカデミー賞獲ったのに煩悩全開じゃねえか(笑))、
それを上回るというか派手なカーチェイスも
霞んでしまうほどの存在感を放つのが、
名優サー・アンソニー・ホプキンス。
個人的な意見だが、彼が登場するたび、
カーチェイスが始まるよりワクワクした(笑)。
彼がまあ喋る喋る!
「拷問が得意だった父を嫌悪してた」とか
「ウルフィ君、モーツァルトによろしく」とか
「小っちゃなブタさん逃げろや逃げろ」とか
茶目っ気と凄みが存分に利いた彼の喋りが楽しすぎる。
なんでマフィアの大ボスがわざわざガススタンド
くんだりまで主人公に会いに来るのさとツッコミたくは
なるのだが、ホプキンスが喋るから許す(←それでいいのか)。
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けどまあ、シナリオに大きな驚きがあるワケでもなし、
アクション演出も時々光る部分はあるのだけれど
(車内固定カメラとかターミネーター運転手とか)、
ド肝を抜く超ユニークな演出があるワケでもなし。
それに、あれだけホプキンスとキングスレーを大暴れ
させたのに、あの退場は寂しすぎやしないかねえ。
終盤の急激なパワーダウンも残念で、
序盤~中盤までのどストレートなロマンチックっぷり、
中盤~終盤までのどストレートなカーアクションと来たのに、
クライマックスらしいクライマックスも迎えずに
さらっと終わってしまうせいで観賞後の印象は恐ろしく薄い。
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とまあ、
俳優陣の魅力は伝わるしアクションも悪くないのだけど、
あんまり印象に残らない映画で終わっちゃった感じ。
けど他の方も書いてる通り、小難しいこと考えずに
ロマンチックでスカッとする映画を観たい方にもってこいか。
にしても、改めてこんな豪華キャストが集まった理由が謎……。
少なくとも僕に言えるのは、豪華キャストの全力演技
のお陰で判定+0.5~+1.0くらいは面白い出来になってます。
<2016.06.11鑑賞>