ヒッチコック/トリュフォーのレビュー・感想・評価
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一流の映画監督は色々考えて映画撮ってんだなぁー。
フランソワ・トリュフォーが1966年に著した、ヒッチコックへのインタビューを収録した名著『ヒッチコック/トリュフォー』をもとに、実際のトリュフォーとヒッチコックのインタビューの音声と、現代を代表する映画監督10人のインタビューを交えながら、ヒッチコックの映画術について探究していくドキュメンタリー。
出演は
マーティン・スコセッシ…『タクシードライバー』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
デヴィッド・フィンチャー…『セブン』『ゴーン・ガール』
黒澤清…『キュア』『贖罪』
ウェス・アンダーソン…『ムーンライズ・キングダム』『グランド・ブダペスト・ホテル』
リチャード・リンクレイター…『スクール・オブ・ロック』『6才のボクが、大人になるまで。』
などといった大物監督たち。
現代の映画界において、最も偉大な監督の1人であるスコセッシまで出演しているのはすごい。
そして、
フランソワ・トリュフォー…『大人は判ってくれない』『華氏451』
アルフレッド・ヒッチコック…『めまい』『サイコ』
実は私トリュフォーの映画もヒッチコックの映画も観たことがない!
昔の深夜放送で『サイコ』を観たことがあるような気がするが、はっきり言ってほとんど覚えていない!
そんな人間がこの映画を観ても、「映画監督ってすごいなー」というあさい感想しか出てこなかった💦
やっぱりある程度ヒッチコックの作品を鑑賞してからでないと、インタビューの内容を理解することはできないです。
とはいえ、実際のヒッチコック作品の映像を流しながらインタビューで解説してくれるので、最低限の理解は出来る。
今の時代からしてみるとわりと当たり前のように感じる演出方法だが、それを生み出したということがどれだけ凄いことなのか、著名な映画監督たちの語り口から伝わってきた。
驚いたのは、ヒッチコックの映画制作のスピード。
全盛期は1年に1本のペースで映画を公開していたんですね!
今の時代では考えられない!創作意欲とアイデアの量が本当に凄い。
つくづく天才だったんだなぁ、と実感させられる。
インタビューを受けている10人の監督たちも、ヒッチコックに負けず劣らずな偉大な方々。
特にスコセッシやフィンチャーが出てきてくれたのは嬉しい。
監督たちがヒッチコックの作劇方法や、フレームがどうだのアングルがこうだの、この映画の演出が素晴らしいだのと、熱っぽく語っている様はただの映画オタクのようで微笑ましいが、それと同時にやはり素人とは目の付け所や観察能力がまるで違うのだということに驚かされる。
名を残すような偉大な監督は、一本の映画から学ぶことの量が段違いなのでしょうね…すごいなー。
映画史を学ぶ上で、ヒッチコックやトリュフォーは必須科目だと思います。
映画に詳しくなりたい人は観た方が良いかも。
一般ピープルにはちょっとおすすめは出来ないかもー。
まさかの映画化だけど、あらためて感心
25年前、学生の頃に読んだこの本を、まさか映画化するなんて、どうするのかと思ったら、そうそうたる名監督たちが、"私もコレで監督になりました!"というくらいの勢いで、嬉々としてインタビューに答えるという趣向が面白い。
マーティン・スコセッシ、デビッド・フィンチャー、ウェス・アンダーソン、リチャード・リンクレイター、黒澤清などが出てきて、ヒッチコックの映画術を解説するので、うなること間違いなし。もともと"映画の教科書"ともいわれる同書だけにビデオ教本みたい。映画専門学校で使えそう。
同書のエッセンスは今でも通用する"映画の絶対ルール"だと再認識させられる。
"たかが映画じゃないか"と言ったのはヒッチコック自身であるが、一方で"映画は観客のもの"と言い切る。新しい映像技術には貪欲で、商業ベースの3D上映を最初に行ったのはヒッチコックの「ダイヤルMを廻せ」(1954)だし。
映像のチカラをもっとも知っている人であり、トーキー以降の多くの映画が、映像ではなく会話(セリフ)で成り立っていることを憂い、"それは演劇であっても、映画ではない"と言う。
インタビューで、"(正しく作られた映画は)、インドの観客が驚くところで、日本の観客も驚くはずだ"と発言しており、この命題は、とてつもなく重い。
「ヒッチコックはここがすごいんだよ」
空間・時間・編集・ミザンセン・演出・音の有無など、たくさんの側面からヒッチコックの凄さを伝える映画。
知的でありながら、トリュフォーとの会見の録音や、黒沢清などの名監督のコメント、文字資料の引用などでバランスよくアレンジされている。
空間・時間を自由に操縦することが大事。空間表象とその場面の感情と結びつけたり、時間を省略したりもありうる。
編集でロングショットかクロースアップか選ぶのもサスペンスを作り出す効果の次第など。
ミザンセンに小道具の使用なども映画の夢世界と結びつくとか......彼の作品の多くはフェティシズム映画としても見られるようだ。
またヒッチコックの映画に出る俳優たちもよく彼と揉めたりするようだ。「汚名」のキスシーンは例で挙げられる。
いろんなところの凄さでヒッチコックの映画は無声でも分かるという。アロンハイムの追求した芸術映画とは、こういうもんだよなー昔の映画製作者や理論家はよくトーキーを批判するらしい。
最後映画が終わっても多分ヒッチコックの凄さはこれで全く語りきれないのだろう。映画が要チェック。
面白い。
ヒッチコック監督がどんなに凄いかをみんなで解説していく作品。
ヒッチコックってとても多くの映画作品を残しているんだなぁと感心しました。私はほとんど観ていないので反省。しかし、楽しみがとても多く残っているともいえる。パンフレットが売り切れているのが納得。
“ヒッチコックの何がすごいのか”を紹介している作品
初日に新宿へ観に行ってきました。
私は映画通でもなんでもないので難しい内容に感じましたが、最後まで興味を持って観られました。
ヒッチコックの映画を初めて見たのはつい先日で、作品は『サイコ』。
白黒映画にも関わらずなインパクトがありました。
本作『ヒッチコック/トリュフォー』の中でも、その興行的な大成功をヒッチコックはとても喜んだというエピソードとともに、『サイコ』は紹介されています。
ヒッチコックには“サスペンス映画の神様”と認められている監督、というイメージしかありませんでした。
だから、ヒット作を生み出しながらも芸術性は認められず、アカデミー賞を5回も逃し、60歳を超えるまで周囲の評価に悩んでいた…というエピソードはとても意外でした。
ヒットすると批評家たちにこんなの芸術じゃないと言われる、みたいな事情だったらしく、ヒッチコックは長い間あくまで大衆作家の位置付けだったようです。
世間のそういったヒッチコック評を変えなければと行動を起こしたのがトリュフォー。
50時間に及ぶヒッチコックへのインタビューで彼の映画手法に迫り、本にまとめて出版しました。
この本がきっかけとなり、ヒッチコックの評価が高まったそうです。
『ヒッチコック/トリュフォー』はこの本をもとにしたドキュメンタリーで、インタビューの実際の音声も取り上げられています。
さらにデヴィッド・フィンチャーや黒沢清といった有名監督へのヒッチコック・インタビューも織り交ぜられていて、映画に詳しくなくても“ヒッチコックの何がすごいのか”を知ることのできる内容でした。
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