「ヒッチやトリュフォーに寄せる現代の映画監督たちの畏敬の念が垣間見える」ヒッチコック/トリュフォー ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒッチやトリュフォーに寄せる現代の映画監督たちの畏敬の念が垣間見える
映画ファンにとって必携の書とも言われる一冊、それが「映画術」。ヌーヴェルバーグを代表する映画監督であり評論家でもあるトリュフォーが自らヒッチコックのもとに乗り込み、彼の監督作について丹念に話を聞き、対談形式でまとめた画期的な書籍だ。
この分厚くて巨大な本を意欲的に紐解くのは我々にとって根気のいる作業。しかし世の中の高名な映画監督たちがいかにこの本と向き合い、愛し、自らの作家性を発露する上での知恵と技術の礎としてきたかを知れば、重い項を開くモチベーションが湧くというものだ。この映画「ヒッチコック/トリュフォー」はまさにそうした原動力となる一作。
ウェス・アンダーソンやデヴィッド・フィンチャー、黒沢清を始めとする個性を確立した監督たちがいかにしてこの一冊と出会い、衝撃を受けてきたのか。「本」について語ることで、間接的に彼らのヒッチコックやトリュフォーへの畏敬の念が浮かび上がる構図が面白い。
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