「まさかの映画化だけど、あらためて感心」ヒッチコック/トリュフォー Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
まさかの映画化だけど、あらためて感心
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25年前、学生の頃に読んだこの本を、まさか映画化するなんて、どうするのかと思ったら、そうそうたる名監督たちが、"私もコレで監督になりました!"というくらいの勢いで、嬉々としてインタビューに答えるという趣向が面白い。
マーティン・スコセッシ、デビッド・フィンチャー、ウェス・アンダーソン、リチャード・リンクレイター、黒澤清などが出てきて、ヒッチコックの映画術を解説するので、うなること間違いなし。もともと"映画の教科書"ともいわれる同書だけにビデオ教本みたい。映画専門学校で使えそう。
同書のエッセンスは今でも通用する"映画の絶対ルール"だと再認識させられる。
"たかが映画じゃないか"と言ったのはヒッチコック自身であるが、一方で"映画は観客のもの"と言い切る。新しい映像技術には貪欲で、商業ベースの3D上映を最初に行ったのはヒッチコックの「ダイヤルMを廻せ」(1954)だし。
映像のチカラをもっとも知っている人であり、トーキー以降の多くの映画が、映像ではなく会話(セリフ)で成り立っていることを憂い、"それは演劇であっても、映画ではない"と言う。
インタビューで、"(正しく作られた映画は)、インドの観客が驚くところで、日本の観客も驚くはずだ"と発言しており、この命題は、とてつもなく重い。
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