LION ライオン 25年目のただいまのレビュー・感想・評価
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力作です!インドだからこその
良くも悪くもインドを堪能できる映画。今まで観たインドを舞台とした映画では一番泣けたかも。全体を通してテーマがシリアスで負の部分が訴えるものが大きく、ハッピーな気分で見終わるインド映画とはちょっと違い、込み上げる涙で見終えたのでした。エンディングで流れるインド語の歌とドキュメンタリーフィルム(写真)で泣ける、最後に明かされるタイトルの意味、心憎いラストだった!
最後にわかるタイトルの意味
心の旅
♪あーだから今夜だけは~♪で始まる「心の旅」という歌がある。チューリップというバンドが歌っていた。何故か映画の途中でその歌を思い出した。
映画のタイトルや作品紹介からだと、ありがちなロードムービーのような、あるいはGoogleアースをはじめとしたIT技術の紹介みたいな映画かと先入観を抱く人もいるかもしれない。
しかし、さにあらず。作品を観ていくと、抱いていた先入観とのギャップが新しい感動を呼ぶ。これは、厳しい環境の中でも失われなかった愛の物語なのだ。
テーマはさらに人類の歴史にまで及ぶ。無自覚に産み出されるインドの子供たち。様々な理由で孤児となる彼らは時に幼児性愛の対象として人身売買され、多くは救われずに死んでゆく。インドだけではない。世界中のどこでも、同じことが起きている。今我々は子供を生むべきなのか。
人類のすべての不幸をその細い肩に背負って涙を流すニコル・キッドマンの演技は本当に素晴らしい。
主演のデヴ・パテルは「奇蹟がくれた数式」で天才数学者のラマヌジャンという難しい役を見事に演じていたが、本作品でも微妙な立場で育った子供の感情を上手く表情にしていて、幸福に秘められた悲しみの心に、感情移入せずにはいられない。
ルーニー・マーラは「ドラゴンタトゥーの女」が印象的だが、「キャロル」では名女優のケイト・ブランシェットに見劣りしない堂々とした演技に魅了された。この作品では悩む主人公に寄り添う、思慮深くて愛情に溢れる女性を好演。
現実の空間の移動も勿論旅に違いないが、心の中での移動も旅だ。そして、生まれてきてから今までの時間の経過も、やはり旅なのだ。言い古された決まり文句ではあるが、さもない日常を生きる我々には、人が皆旅人であり人生は旅そのものだという言葉に心を揺さぶられるものがある。
見ている最中に涙を流すことはないが、見終わってから思い出すひとつひとつのシーンに、言い知れぬ感動を覚える。この映画を観たことをいつまでも大切にしたいと思わせるような、味わい深い見事な作品である。
とても良かった
サルーの子ども時代がとにかく可愛い!「お兄ちゃんと一緒に仕事に行く」と言い張るあどけない5歳児。すごい国だなぁ。1980年代に…
インドには行ったことがない。憧れと恐怖を感じている彼の国に映像の中で見入ってしまった。貧しい農村と混沌とした都会。石を積む仕事っていったいなんだろう?
実話を元にしていると言う事が、なんとも心にこびりつき、最後までしこりのように残った。
自傷行為をしてしまう同じくインドから来た養子の弟がかわいそうでならなかった。
今、紛争の絶えない世界のあちらこちらで、悲惨な子ども時代を過ごしている子ども達は、実際数え切れない程いるのだろう。
あのオーストラリアの夫妻のような、計り知れない広い心と深い愛情を私も持ちたい。
なんて思った。
同時代のこと
幼いころ包まれていた温かな愛情を探して
前半ドキドキ、後半感動
これが実話ベースとは恐れ入りました、特に前半は実話であることをスッカリ忘れてしまうぐらい、事実は小説よりも・・・な展開にハラハラドキドキさせられました、そして最後は思いっ切り感動させてもらいましたよ、いやぁ~素晴らしい作品でしたね。
正直これが実話じゃなかったとしたら、そううまくいくかな?と、若干懐疑的な気持ちも働いたと思うのですが、ご本人が登場したラストの映像がとても説得力があって、ホント心持っていかれたなぁ。
古き良き時代もいいですが、時代の進化も捨てたもんじゃないですね、Google Earth万歳です、予告編はGoogleの宣伝臭たっぷりで鼻につきましたけど、見てみるとそんなことどうでもいいと思わされるぐらい、感動が詰まった映画でホント素晴らしかったと思いました!
しかし改めてインドは広いんだなと、まずそんなところから驚かされてしまいましたね。
多様な言語に多様な人種が暮らす国、ひとたび迷子になったらホント一大事だ、貧富の格差も激しそう、今でも年間8万人が迷子になると言う事実も、まあそれぞれ事情が違うとは言え、あれを見ていると妙に納得。
まあとにかく、主人公サルーが迷子になり養子に出るまでを描いた前半だけでも見応えたっぷりでしたね、と言うかこんなに前半が長いとはビックリ、でも全然長さを感じさせず見る者を釘付けにするその脚本・演出力には恐れ入りました、サルー少年を演じたサニー・パワールの圧倒的な存在感・演技力もお見事の一言、危機回避能力の高さ、溢れ出る生命力も、彼の演技力から違和感なく見れましたよ、青年期を演じたデブ・パテルよりもむしろ印象に残りました。
それからニコール・キッドマンが演じた養母の無償の愛にも心打たれました。
終盤に語られた養子を迎える理由が何とも素晴らしすぎて、頭が下がる思いで一杯です、揺れるサルー青年の心を温かく包み込む、揺ぎ無い信念にも感動しました、ニコールもこんな役が嵌る歳になったんですねぇ。
それともう一人の養子がなかなか溶け込めずにいたのも、実話らしいリアル感だったなと・・・。
少々難点としては、ルーニー・マーラが演じたサルーの彼女の話が、何か微妙に中途半端だったようで、ちょっと勿体なかったかなと、せっかくルーニーを起用したから扱いを大きくしたのだろうけど、こんな中途半端ならもっと端折って他を掘り下げた方が映画的にはまだ良かったような気がしました、けど・・・ルーニーが出ていたから見たいと思ったのもまた事実ではあるんですけどね。
でもそれ以外は基本素晴らしい映画でした、揚げ菓子のシーンとか、本当にグッと来たなぁ、最後にタイトルのライオンの意味が分かる構成も心憎い演出で唸らされましたよ、ホント見て良かったと素直に思えた作品でした。
子役のサルーだけでも観る価値あり
感動に水を指す某ボッタクリ寄付団代
インドは日本みたいに子供を大切にしてないんだな。物乞いの子供が多いからなのか、汚いかっこで路傍に佇んでいてもほとんどの大人がスルー。
でも本当にいい夫婦に養子にしてもらって運が良かった。普通以上にいい人生を送れんじゃないかな?本当の家族と離れたこと以外は。
そしてラストに登場人物の本人の画像が出て、その中にサルーの実母と里親の母が抱き合ってる写真があった。二人共会いたくて仕方なかった様子。お互い感謝の気持ちなんだろうね。そんな感動的な写真が次々と見せられて、胸が熱くなっているところに、「子供たちに支援を」という、都内一等地高輪に凄い自社ビルを持ち、寄付金の25%を自分たちの利益にし、その会計も不明な某寄付団体、日本ユ偽フのメッセージが入ります。これは恐らく日本版だけに入っているものと思われます。 日本ユ偽フの名前を見た時はまさか!?という気持ちでした。 日本ユ偽フはこの映画を日本で公開するにあたり、寄付金を使って支援したようですが、あのメッセージを見させられたこっちは、金を払って 日本ユ偽フのPR映画を見させられたような気分になりました。何とも無粋な事をしてくれたもんです。 日本ユ偽フが嫌いな人は気をつけて下さい、本当に嫌な気分になりますよ。
そして、行方不明になる直前まで一緒にいたサルーのお兄ちゃんは、サルーが行方不明になった日に列車に轢かれて亡くなったそうです。責任を感じて線路の周りを必死に捜しているうちに事故になったんだろうな、かわいそうに。
泣けました
実話の映画化ということもあり、予告編の感じからしてもストーリーはほぼほぼ想像が付きます。それでも見てみたかった映画。
母を訪ねて・・・さっさとインドに渡りGoogleEarthを頼りに・・・という流れかと思いきや、それ以前でのドラマの比重が大きいことに驚かされました。子供の頃の物語、養父母の物語、それぞれを時間をかけて描くことで物語に深みを持たせています。そんな中、彼女との関わりと義兄の関わりは描きが足りず不完全燃焼。
映像は圧巻。インドの光や影、少年の視点、あまりに力強い映像描写に唸らされます。グイグイ引込まれて、その部分だけで大満足でした。後半は期待ほどの大きな波もなく予定通りの展開。後始末も簡単に進むので物足りない。それでもラストは涙。本人映像も涙。養父母の愛と実母の愛に育まれる幸せ。ライオンというタイトルの意味も最後にわかり胸いっぱいです。
有り触れた有り難さ
映画としては『スラムドッグ$ミリオネア』と『ルーム』のような印象を受けました。
あるいはそんな安易な発想で、実話を映画化したのだとしても、有り触れたことの有り難さを考えるには十分でした。
帰る家があって、家族がいて、教育を受けることができて、愛する人と愛し合うことができる。そんな当たり前の日常は、実はとても恵まれているのかも知れない。そう思いました。
ありきたりでどうでもいいような幸せを大事にしたいと思いました。
泣くまいとしていたのですが、実話映画お約束、最後の本人写真と映像で涙が出てしまいました。
遠い国の知らない人の話に共感できるワタシの心って美しい。単なる自己満足で、一粒の涙にはダイヤほどの価値もなく、泣いたところでインドの子供が救われるわけではありませんが、自己陶酔したい方は劇場へ。ハンカチと少しの想像力を持っていくと役に立つかも知れません。
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