「タイトルなし(ネタバレ)」LION ライオン 25年目のただいま yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
インドに暮らす5歳の少年サルー、兄とはぐれ、気づかないまま回送電車に乗りこむ
彼を乗せた電車は扉が開くこともないまま、2〜3日走り、1万キロ離れた場所にサルーを連れて行ってしまう
そこは言葉も通じない場所、5歳の少年が覚えていた家のある地名はどこにも存在しない
そして、彼は迷子になったまま、オーストラリアへ養子に出される
大人になったサルーは、Google Earthを使い、朧げな記憶を頼りに、時間をかけて家を見つけ出す
あの日言えなかった「ただいま」を言うために
きっと自分を探している母に会うために
はぐれたまま別れた兄に会うために
公開前にアンビリバボーで見ていたので、話は知っていたけれど、映画を観るのは初めて
こんなことが事実として起きたことに改めて驚く
インドの迷子の多さにも
そして、25年後に家族のもとにたどり着けたことにも
迷子になり、遥か彼方にいく不幸に見舞われながらも、おかしな物言いだけれど、サルーは強運の持ち主でもあった
たどり着いたカルカッタは治安も良いとは言えない都市で、
保護されるまでの月日、彼が犯罪に巻き込まれる可能性もあり、
巻き込まれずともそのまま餓死する可能性だってあっただろう
でも、サルーは生き延びた
そして、保護され、施設に送られる
ここでもサルーは、強運を発揮したかのように、オーストラリアへの養子縁組に選ばれる
しかも、愛情深く優しい義父母に引き取られ、彼らの愛情を受けながら成長する
忘れたことのない故郷の家族を思うサルーは、友人たちの言葉で、移動距離の測定、Google Earthを使った故郷探しを思いつく
時間はかかったものの、朧げな記憶の中の道を幾度も辿り、幾度も迷いながら、ついに見つけ出す
そして、遠慮して言えなかった義父母に実母探しを告げても、彼らはむしろ喜んでくれる
そして向かった故郷
記憶の中の道、あの日から夢の中で何度も帰った道を辿り、ついに母に再会する
その歳月の中で起きた出来事
そのどの過程も奇跡のような話に思える
だからこそ、サルーが強運の持ち主だったと思わずにはいられない
ただ、兄のグドゥ、それだけは胸がとても痛い