「レフン監督らしい残酷な話」ネオン・デーモン pippo9さんの映画レビュー(感想・評価)
レフン監督らしい残酷な話
最初にレフン監督の新作はモデル業界の話だと知った時は「何故!?」と思ったのですが、映画を観てレフン監督が撮ったことが納得できました。
この監督は常に残酷な世界に生きる人々の映画を撮っており、これまでの映画は主人公が男性で、残酷な世界の価値基準は権力や金、肉体的な強さであったのに対し、今回は「美」という女性にとって最も残酷な価値基準における話であり、なるほどレフン監督と相性の良い題材なのだなと思いました。
映画の冒頭の首から血を流すエル・ファニング演じるジェシーは、「自然の美」とは生まれつき備わっているものでそれ以上でもそれ以下でもない、という身もふたもない残酷さ、を象徴している様に思える。
「自然な美」の象徴であるジェシーに対して、ジェナ・マローン演じるルビーはメイク係であり、そのままでは美しくはない「人工的な美」の象徴である。
「美」が絶対的な価値基準であるモデル業界における強者であるジェシーの前に多くの女性が敗北していく。
重要なのは主人公が内面を見せる瞬間はラストのプールのシーンのみで、それまでは主人公の持っている「外見上の美」のみがストーリーを進めているということ。そしてそのストーリーに説得力を持たせる映像の美しさも見事でした。
これまでのレフン作品とはまた一味違った残酷な世界をビジュアル的に見せてくれてると思います。
音楽も最高で鑑賞後、サントラをヘビロテで聴いてます笑
残念だったのは、ジェシーがモデルとしてのし上がっていくところと、ラストの残酷描写をもっと見たかったですね。
ラストの吐き出された目玉を見ているアビー・リーの唖然とした表情は最高に爆笑できました笑
あとキアヌ・リーブスはどのシーンも笑えました笑