劇場公開日 2017年1月13日

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「美を追ってこそオンナ、悪魔であってこそオンナ」ネオン・デーモン しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0美を追ってこそオンナ、悪魔であってこそオンナ

2017年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

年を取れば衰える。おなかは出る。目は細くなる。肌は艶を失う。

だがこんなおっさんも、若いころは美に執着する。

それでいいじゃないか。外見を磨くことで、中身が磨かれることもある。美を追い求めることで、チャンスを得ることも多分にある。

もちろん、それぞれ価値観はあるが、それぞれの価値観において、「美」に執着しない女に魅力は感じないし、「美」を求めない男には関わりたくない。




「ネオン・デーモン」

ニコラス・ウィンディング・レフン。

「ドライヴ」で注目された彼だが、個人的には「ブロンソン」や「オンリー・ゴッド」に俄然肩入れする監督で、現在、監督で映画を観るなら、という視点では名前が挙がる。(ほかはビルヌーブ、シアンフランスといったところか)

レフンの映画は主人公にそれぞれ「美学」がある。

主人公には圧倒的な魅力があり、むしろレフンの作品は音楽や映像ではなく、登場人物の力に依存する。

本作の主人公、エル・ファニングは確かに美しい。だが最初のシーン以降、はっとするような映像はないし、会話のシーンになると、退屈なストーリーが露わになる。

確かに、映像、音楽ともに映画館で「体験」すべきものだが、それ以外のものは、はっきり言って演出力に問題がある。登場人物の配置もキャラ付けも定番すぎ。

やっていることも、日本のチープな、そうだな、園子温のようなもので、タイトルの「NMR」も園子温的なナルシシズムを感じる。

チープで、ナルシシズムたっぷり、という点では「ネオン・デーモン」というタイトルは確かにピッタリではある。だが、70年代、「ネオン」、「デーモン」、「サイケ」、「シンセ」はもろイタリアン・ホラーのテイストで、当時のプログレではさんざん扱われたものだ。

ラストの荒廃した風景に一人の女。

軽薄な美への追及を、否定する物ではなく、むしろ、それに果敢に立ち向かう、刹那な生き方をする女性の描き方に、ナルシシズムを感じるとともに、賛同したくなる気持ちは個人的に大いにある。

だが、あまりにも面白くない。

追記

最近の映画音楽で出ずっぱりなSIA。食傷気味ではあるが、そんな「女の闘い」にはやはり、SIAはよく似合う。

追記2

「ダーク・プレイス」でドッキドキだったクリスティーナ・ヘンドリックスの名前があって喜んだが、チョイ役。。。

しんざん