ネオン・デーモンのレビュー・感想・評価
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美を追ってこそオンナ、悪魔であってこそオンナ
年を取れば衰える。おなかは出る。目は細くなる。肌は艶を失う。
だがこんなおっさんも、若いころは美に執着する。
それでいいじゃないか。外見を磨くことで、中身が磨かれることもある。美を追い求めることで、チャンスを得ることも多分にある。
もちろん、それぞれ価値観はあるが、それぞれの価値観において、「美」に執着しない女に魅力は感じないし、「美」を求めない男には関わりたくない。
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「ネオン・デーモン」
ニコラス・ウィンディング・レフン。
「ドライヴ」で注目された彼だが、個人的には「ブロンソン」や「オンリー・ゴッド」に俄然肩入れする監督で、現在、監督で映画を観るなら、という視点では名前が挙がる。(ほかはビルヌーブ、シアンフランスといったところか)
レフンの映画は主人公にそれぞれ「美学」がある。
主人公には圧倒的な魅力があり、むしろレフンの作品は音楽や映像ではなく、登場人物の力に依存する。
本作の主人公、エル・ファニングは確かに美しい。だが最初のシーン以降、はっとするような映像はないし、会話のシーンになると、退屈なストーリーが露わになる。
確かに、映像、音楽ともに映画館で「体験」すべきものだが、それ以外のものは、はっきり言って演出力に問題がある。登場人物の配置もキャラ付けも定番すぎ。
やっていることも、日本のチープな、そうだな、園子温のようなもので、タイトルの「NMR」も園子温的なナルシシズムを感じる。
チープで、ナルシシズムたっぷり、という点では「ネオン・デーモン」というタイトルは確かにピッタリではある。だが、70年代、「ネオン」、「デーモン」、「サイケ」、「シンセ」はもろイタリアン・ホラーのテイストで、当時のプログレではさんざん扱われたものだ。
ラストの荒廃した風景に一人の女。
軽薄な美への追及を、否定する物ではなく、むしろ、それに果敢に立ち向かう、刹那な生き方をする女性の描き方に、ナルシシズムを感じるとともに、賛同したくなる気持ちは個人的に大いにある。
だが、あまりにも面白くない。
追記
最近の映画音楽で出ずっぱりなSIA。食傷気味ではあるが、そんな「女の闘い」にはやはり、SIAはよく似合う。
追記2
「ダーク・プレイス」でドッキドキだったクリスティーナ・ヘンドリックスの名前があって喜んだが、チョイ役。。。
表層だけでも面白いNWRのやりたい放題。
外見的な美しさに囚われた女性たちの悲劇、と捉えることもできるが、「人間なんて中身より見た目」という価値観に対して批判している様子もないところがこの映画の面白さであり、ニコラス・ウィンディング・レフンの特異さだろう。
エル・ファニング演じるピュアナチュラルビューティーも、エルになりたいギスギスした女たちも余計な理屈は一切考えない。美しくなり、チヤホヤされてたい。シンプルな行動原理がもはや潔く感じられ、疑義を呈するマトモな男の方がバカに見えるあべこべさも可笑しい。ベラ・ヒースコート、アビー・リー・カーショウと本来なら文句のつけようがない美女たちもレフンにによって巧みに輝きを奪われている。
映像はケレンがあり過ぎてダサく見える瞬間も少なくないが、この表層的な物語においては薄っぺらいビジュアルも必然に思えてくる。ヘンな監督が作ったヘンな映画を、存分に楽しませてもらった。
残酷な美の世界、映像と音楽が融合した表現を体感すべし
ネオン管やフラッシュライトで照らし出される幻惑的な映像世界と、シンセサイザー音楽のハイセンスな融合。これはまさに体験であり、映画館で体感すべき作品だ。
作り物、まがい物の美があふれるファッションモデルの世界で、エル・ファニング扮するジェシーの天然の美しさ、本物の揺るぎない価値が他を圧倒する。人間とは不平等な存在なのだ。下着ブランドのモデルを選ぶオーディションでの、観ている側まで胃が痛くなりそうな緊張感。選ばれるジェシーと、存在しないかのように扱われる他のモデルたち。その残酷さといったら! それにしても、エル・ファニングの変身ぶりは見事だ。
倒錯趣味も多彩で、デヴィッド・リンチ作品を思わせる猟奇的な描写もあり。ニコラス・ウィンディング・レフン監督、ますますメジャーになっていくだろうが、これからも鋭く尖った映画を作り続けてほしい。
【”自然の美と偽の美。そして悪意と嫉妬と崩壊。”ファッション業界で若き自然の美を誇る娘が脚光を浴びる中、他のモデル達との姿の対比をアーティスティックに描いたエロティックスタイリッシュスリラーである。】
■自然の美貌を持つ16歳のジェシー(エル・ファニング)は、トップモデルになる夢を叶えるため、ロスへとやってくる。彼女はすぐにデザイナーやカメラマンの心を掴むが、同時に整形して”美を手に入れた”先輩のモデルたちから激しい嫉妬を向けられ、常軌を逸した復讐にさらされていく。
◆感想
・今作を観て、想起したのは鬼才トム・フォードの「ノクターナル・アニマルズ」である。圧倒的なスタイリッシュ感溢れる不可思議な世界観にクラクラする作品であるからである。ギャスパーノエのトランスムービー感も少し、あるかな。
・今作は、起承転結を求める作品ではないと思う。観る側は、この妖しくも摩訶不思議な世界観を愉しめば良いのである。
<今作は、観る側が様々な考察をするも良いし、この映画の世界感に何も考えずに浸るも良いと思った作品である。>
危険な子
過去にレンタルで観ました💿
エル・ファニング演じるジェシーは、ファッションモデルを目指してロスにやってくるのですが…。
なんというか、私はものすごく陰鬱な気分になってしまいました😥
結末は結末ですし、ジェシーを手にかけたモデル仲間たちもあれでは…。
この映画は人間の負の部分に焦点を当てたのでしょうか。
見終わったあと、数日暗い気分になりましたね💧
モデル仲間さん達は、皆信じられないくらいきれいな方たちでしたが😅
暗い気分になりたい時は観るのもありかもです。
私は少々、引きずりました😥
美しい事が全て
まずキャスティングのまずさ、主人公がそこまで美人でも魅力的でもない。ルッキズムなんだかんだ言ってもそういう設定にしているのならそれこそ圧倒する何かがないと、他のモデル役の人と並んでも劣る。
画面が分かりづらく人物も分かりづらい。映像美をうたうが自意識過剰の自己満足で訴える物もない。ただグロテスクにして話題にしたかった程度。一貫性もなく時間の無駄。
あ、そーゆーオチなの?
「身も心も強くないとこの業界やっていけませんよ。」ってことですか
モデルが大変なのは分かるが才能に溢れた主人公を観た後だしなぁ…
映像は言わずもがな綺麗なんですが映画としては?というと、確かに映画的演出が多く、ストーリーの構成は分かるがそれらはあまりにも映画過ぎて
見せたいものは"映画的"からは外れたイメージ映像のような部分が多くを占めており
全体としてちぐはぐなものとなり一体感がなく無意味なものになっている
主人公と栄光と破滅をもっと素直に描いてくれれば映像と相まって
分かりやすく楽しめるものになったのでは。
「これが伝えたいこと、見せたいものだったんだ!」と言われればそれまでだが
執着のサスペンスだけじゃない
21歳でもう旬を過ぎてると言われるような業界で、なんとかもがき足掻いて生き残ろうとする女たち。
そこにふらりと飛び込んできた、未知数だらけの若い娘は文字通り生贄である。
あどけなさと色気のアンバランスさが危うい魅力を持つ限られた期間。
選ばれたものにとってはこの世の春だが、それは凋落への始まり。
すっかり調子こいていたら見事に生贄になってしまったわけで、贄は次々と宿り母体を移って行くのだろう。
美の執着に囚われたもの達は人間でさえない。
というのは観ていてその通りなのだが、この監督の描き方が特異だ。
目線が野生の獣だ。あ、死んだ、死んだね、モグ。おわれるから逃げる、恐怖の叫びもあげない。この人の死生観どうなってるのだろう。
好き嫌いは分かれそうだが、常人には無い感覚と思う。
絵はしびれるくらいかっこいい。キューブリックやリンチをも彷彿とする。
面白く観たが二度は観ないかも。
既視感
『ラストナイト・イン・ソーホー』や『サスペリア』っぽさを感じます。
スタイリッシュさ、ゴージャスでラグジュアリーな感じが、鼻に付いて不快でした(笑)
キアヌ・リーブスも脇役で出てます。
まあまあ、かな?
これ絶対監督男やろ。と思ったら
案の定男やった。全裸で撮影とか、下着だらけのオーディションとか、レズのレイプ未遂シーンとか、男の願望の具現化やんけ!とツッコミながら観てしまった。
とは言え、女同士の嫉妬とか格差とかの描き方が的確でエゲツないなと思った。そうやねん、女同士は表面上仲良くするために、イヤミに聞こえないようにイヤミ言うねん!ようわかってる!
3人の女たちの絶望感を理解させるためにジェシーがいかに特別なのかを描くのは必須だったとは思うけど、撮影とかランウェイでジェシーが輝くシーンがかなり冗長でさすがに長すぎ。エルファニングが可愛いのは一瞬でわかるから、あのへんを端折って90分ぐらいにまとめて欲しかった。
最後はエルファニング大優勝祭りで終わるかと思いきや、まさかのグリーンインフェルノ展開で大いに焦る。しかし身体が順応しなかった2人は流血して死亡。ジェシーを体内に取り込んだ1人だけが大優勝エンド。これはさすがに予想外で、中盤だらけた分のガッカリ感を大いに取り戻した。
説明が無いサイコアートは社会風刺できるのか
最初から現れる不安感を煽るような演出にブラックスワン(2010)的な痛い話かなと少し構えながら見始める。実際、精神的に不安を煽ったり、痛みを与える描写がちりばめられていた。それと同時に、暗闇の中のネオンや光の力強い表現が、その場面に必要だからだけでなく、ジュリーが一段と強くなるシーンを描くためにも使われており、それらを見る中でオンリー・ゴッド(2013)のように映像を絵画的に取るアート的な作品としての印象が心の中でできあがっていく。(視聴後確認すると、オンリー・ゴッドと同監督であるニコラス・ウィンディング・レフンが2016に作った作品であるとわかり納得がいった)物語は具体的な説明が乏しいままに進み、主人公と見られたジェシーの退場するシーンにはそうなるに至る決断の根拠の表現の乏しさもあり、感情移入はできなかった。ジュリーが物語から退場すると最初からほのめかしはあったレズビアンでサイコパスなルビーに主役は交代し、その後は化粧がこすぎる複数の女性の顔に対して誰が誰だが判断できず、『衣装係なルビーがきれいなジュリーを食べてファッション界に返り咲こうとして自殺した』のかなと思ったが、じゃあ最後に残ったのは誰だと思い、理解できていないまま視聴は終了となった。
美しいジュリーの退場後にルビーが彼女の血の入った風呂に入っているようであったり、目を食べている、というような所からは、『血の伯爵夫人』バートリ・エルジェーベトの所業や最近陰謀論として聞く、大富豪や権力者が美や若さへの欲望として若い人間の血を利用するという話を連想する。
見ていて一番綺麗なシーンはジュリーが金色を胸元に塗られているシーン。感情を明瞭に見せない表情が艶めかしくて良い。気になったのは日本で言う辨財天の鱗紋を上下逆にしたようなマークが何らかの意図を持って使われていたが、明確な答えが得られなかったこと。トリニティ、完全とかそういうニュアンスを読んだが、なんだろう。
キアヌ、謎のちょい役
煌びやかでスタイリッシュな映像に音楽。いいね、こういうの好き😙👍
ファッション界というキラキラした世界に渦巻く、女の嫉妬や妬み、イヤですねー、怖いですねー。つい、覗き見たくなっちゃう🤭
安宿で働く脇役になぜかキアヌをキャスティング。なに?そのちょい役?
すごい糞映画
まず個人的にエルファニングが全くかわいいと思えない。鼻とほうれい線がいつも気になる。
映画も長くて単調。せめて90分映画ならまだ耐えられるのに…
メイクも服も全然目を引くものではない。
つまらなくて目の保養にもならない糞映画でした。
美、嫉妬、恐怖。
ネットで知り合ったディーン(カール・グルスマン)に死体のモデルとなって写真を撮ってもらったジェシー(ファニング)。両親は亡くなっていた彼女は、これといった才能もなく、美しさだけで生きていくにはモデルしかないと、いきなりモデル事務所に駆け込んだ。知り合ったばかりのメイクアップ・アーティストのルビー(マローン)とも仲良くなり、トップモデルへの道を順調に進みだしたが、周りのモデルのサラ(アビー・リー)やジジ(ベラ・ヒースコート)から嫉妬されてしまった。
とにかくワンカットが長く、台詞も少ないため、モダンアートを楽しむ感覚で観ることができる。そうやってエル・ファニングの可愛さにうっとりするのも束の間、彼女にも恐怖が訪れる。サラによってガラスの破片で手を切られたり、モーテルの部屋にヤマネコが居座っていたり(これは意味あったのか?)、モーテルの管理人(リーヴス)に襲われそうになったりと・・・そうしてルビーが住む屋敷に匿ってもらうのだが、レズビアン指向のあるルビーに迫られたのを拒んでしまうジェシー。
終盤のプールの飛び込み板の上に乗ったジェシーのシーンから、彼女が美貌ゆえに自分が危険な女なんだと告白する。その後、ルビー、サラ、ジジによってジェシーは襲われ、プールに突き落とされ殺されてしまう(多分)。
ラストではジジが彼女の体の一部を食べたとして、目玉を吐き出すところでやっとホラーっぽくなっていた。シーン回しなんかがデヴィット・リンチぽい感じ。
「美」と「狂気」をアートチックに描いた作品
チネチッタの年末恒例のLIVE ZOUND上映にて初鑑賞。
非常に不思議な作品というのが率直な感想である。
というのも正直文字として感想を述べるとなると非常に難しさがある。という事は作品を十分に理解できてないという事実もあるのかもしれないが不思議と見ていて物足りなさや見応えのなさなどはない。
個人的には感性で楽しめたのかなと思っている。
予告の通りこの作品は「美」をテーマとした作品だ。主演のエルファニングはもちろん美しいのだが、この作品で彼女演じるジェシーは見た目だけではなく当初はピュアな内面からも美しさが溢れでいるわけだ。
それがこのファッション業界に染まり、欲望や周囲の妬み嫉妬が序盤の美しい描写から次第に狂気じみた作品と変わりその移りゆきが見ていて作品に引き込まれる。
「美」と「狂気」は本来異なる存在だが、「美」を追求し過ぎるが故に「狂気」化とするのはあり得る事である。その移りゆきをこの作品は非常にアートチックにそして魅力的に描かれていて興味深い作品であった。
LIVEZOUNDと凄くマッチしていたかはなんとも言えないが、大スクリーンで観れたのは、エルファニングのファンとしてはとても嬉しい限りである。
タイトルなし
想像通りの意味不明映像、グロい映像。ファッションモデルの嫉妬渦巻く世界観を独特の映像で見せているのだが、ストーリーも要らないつなぎあり、退屈。エル・ファニングは食べられちゃう。
この世界観にハマる
あまりにも美しすぎる世界観。
ホラー、恐怖を超え、うっとりしてしまう。
「映画」というくくりよりも、絵のようなひとつの「作品」として観るべき。
田舎物のエル演じるジェシーがファッション業界の闇へと吸い込まれていく、、、
ウェブサイトにも書いてあるように、危険な美を音楽そして、光とともに感じさせられる。
GAGAで扱ってる作品、好きなもの多い。
あまりにも、間接的な訴えが多かった中で、男の子のセリフ、内面が大切ってところ、あそこはそのまま言っていた部分に謎の違和感が。。
とにかく色、光の使い方がすごい。こだわりありすぎる作品だから好き嫌いが分かれそう。
映画館で観たかった。。絶対に圧倒される。そして、ある人にはトラウマと残るかもしれない。
自分の美を二回台詞としても肯定し、彼女自身が、山猫そのものだった。彼女に狂わされていく他のモデルたち、そして、優しさを持ちながらも裏ではヴァンパイアのよう鋭いレズのルビー。これ、名前にもこだわってる。ジェシーは、基本ありきたり田舎娘。対するルビー。女性は皆ナルシストな部分がある。
そして身近に存在する、嫉妬やそれに伴う復讐。危険な美とともに、ゆっくりと進んでいく物語。エルにとっても合った作品だと思う。余韻がすごい。血が出てくるぐらいで、ホラーではないと思う。。
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