母の残像のレビュー・感想・評価
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【ある家族の”高名なる戦場写真家”であった妻、母を突然失った悲しみと戸惑いを家族それぞれがどのような思いを抱くに至るかを詩的かつサスペンスフル、且つアーティスティックに描いた作品。】
■交通事故で亡くなった高名なる戦争写真家の母・イザベル(イザベル・ユペール)の回顧展が行われることになり、長男のジョナ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、弟のコンラッドと父のジーン(ガブリエル・バーン)が暮らす実家へ戻った。
久しぶりに集まった3人はそれぞれイザベルへの思いを語りながら、死を受け入れようとする。
◆感想
・私事で恐縮であるが、ヨアキム・トリアー監督の「テルマ」と「私は最悪。」をとても面白く鑑賞した。で、この監督の前作を観たいと思っていたのだが、漸く実現できた。僥倖である。
・今作は、高名なる戦争写真家の母・イザベルの、突然の交通事故死に戸惑う夫ジーンや名を成した長男ジョナや、いまだ母への思慕があるコンラッドの姿を描き出している。
ー 妻が存命中から浮気をしていたジーンや、その事実を知っていたからこそ、父への反発への気持ちが抑えきれないコンラッド。
そして、新たなる命を授かった社会的には成功した若き教授長男ジョナの姿が描かれる。(彼の子供の名前は亡き母の名を継いでいる。-
<作品の世界観は、とても面白く鑑賞したのだが、今作は所謂、鑑賞側に解釈を委ねる映画なのであろう。
イザベルの死が事故死なのか、自死なのかは明らかにされないし(只、映像を観ると事故死であろう。)、それに対する家族の対応の描き方も微妙ではある。
だが、私にとっては今作は面白かった。
何故ならば、解釈を委ねられる映画は好きなので、自分で色々と解釈して観たからである。
更に言えば、若きジェシー・アイゼンバーグの姿と、全然変わらない(というか若返っている??)イザベル・ユペールの圧倒的な存在感が際立つ作品だからである。>
母の真相
物語が流れる時間軸の変動に何ら違和感もなく母親の死の真相がメインであるように話が進みながらも、家族それぞれの現在地を母親の生前を含めて描かれており、随所に映される監督の遊び心なのかセンスが垣間見れる映像にラース・フォン・トリアーの血筋を感じられたり。
そこまで冷め切ったようにも見えない残された家族が再生しようとする物語か、現実の生活に対応する努力と非現実にも取れる戦場での自分、二つの世界でバランスが保てないような母親と理解しながらの葛藤がある父親、残された三人が母親をどう遺そうとしていたのか、何を期待して何が裏切りのように捉えてしまうのか?
不幸には思えない家族にこれから幸せな道筋も想像はできない、普通に生活しながらも闇が薄らと見え隠れしている父、長男、特に次男!?
コンラッド(デヴィン・ドルイド)はゲームもやるが、詩を書くことで...
コンラッド(デヴィン・ドルイド)はゲームもやるが、詩を書くことでクラスの女の子になんとか告白したいという雰囲気。父もコンラッドのことが心配でいつも尾行する。母の死について、残された家族がそれぞれ思い悩むことを静かに描いていた。
不在がちの母だったが
高名な報道写真家の母親(イザベル・ユペール)が、帰国して仕事を辞めた途端に交通事故死してしまう。
残されたのは夫と息子二人だった。
この三人は不在がちではあったが、妻と母親という要を失い、家族再生ができるのか。
残像が過ぎる
タイトルのまま!
日本語タイトルが、直球!
久々に直球過ぎる程、母の残像が過ぎる!
母の呪いと言っても良い気がしている程。
キャストが贅沢だった。
弟のコンラッド役のデビン・ドルイドが最高に良かった。
特に担任にキレるところとか。
やりすぎだけど気持ち凄い分かる。。。
お父さん、それはマジで勘弁してくれよと声に出そうでした。
そしてコンラッドが思いを寄せる同級生の女子が、海外ドラマ『ナースジャッキー』のフィオナで個人的にテンション上がりました。
逃避
母親が恋しく甘ったれな次男、真実を知っていたけれど秘密を知り抱えこみ落ち込む長男、真実を知っていて秘密にも薄々感付いていた父親の3人の不協和音と現実逃避の話。
人は寂しく弱いものだけど、だからと言ってみんながみんなは少し言い訳がましいかな。
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