愚行録のレビュー・感想・評価
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妻夫木は幸せになれない役を敢えて連続して受けたのかな?
妻夫木と満島ひかりの演技に最後までグッと引き込まれてあっという間の2時間だった。 手の伏線がまさかの予想外の展開に。 サスペンスとしては相棒より断然見応えあると思うけど、客入りの違いはテレ東とテレ朝の違いかなw
観客の経験値に問いかける、"自分自身の愚かさ"
観客が試される作品である。ミステリーだから、一家惨殺事件の犯人とその動機に興味がそそられるかもしれないが、ほんとうのテーマは、登場人物たちの素行から見えてくる、"人間の愚かさ"だったりする。はたして客観視できるだろうか。 原作は直木賞候補にもなった、貫井徳郎の同名小説。イヤミス系(=読み終わったあと"イヤ"な気分になる"ミステリー")なので、好き嫌いは分かれるかもしれない。 日本社会特有のエピソードではあるが、おそらく観客の経験値がそのまま跳ね返ってくる。人生経験を積み重ねるほど、何かしら不都合なことに目をつむっているはずで、それが重くのしかかってくる。 実は、この原作の映画化は、監督によって百人百様になるはず。なぜなら原作はインタビュー形式に近い一人称で書かれており、場景の具体がない。主人公である田中の人物像も、読者の想像力によって自由に作ることができる。映像化の自由度が高いぶん、演出の実力が問われる。そこで長編デビューとなる、石川慶監督の名前を頭に刻まざるを得なくなる。 とにかくオープニングのカットを一瞥するだけで、この映画のルックを決定づける要素が、すべて詰め込まれている。エキストラひとりひとりにまで、演技をつけているであろう演出も面白い。オープニングの映像で一気に作品に引き込まれる。 映画はシリアスな空気感を充満させるために、カラーグレーディングで色彩調整をしている。全体の彩度を落としているだけでなく、小物や衣装、背景に移り込む構造物に至るまで、徹底的に無彩色・中間色(白・黒・グレー・ベージュ…)のものを揃えている。その中で、キーパーソンとなる夏原友希恵の服と、弁護士と大学生のクルマだけ赤色で際立たせている。 撮影監督としてタッグを組むポーランド出身のピオトル・ニエミイスキのテクニックも大きい。シネスコの画角を活かしきるカメラワークが印象的だ。水平パンニングが多用されているほか、水平直線を強調したフレーミングや、人物の左右相対ポジショニングなどもなされている。それによって画面スペースが左右に効果的に広がる。またカメラは長めに回され、その間に映る人物はずっと演技を継続させている。 また”雨”と”ガラス(窓)”も、この映画の特徴的な素材である。バスやクルマの窓、ビルの窓ごし、接見室のアクリル板など、多くの透明なフィルターを介して人物が出てくる。その目に見えない存在に雨粒がつくことで気付かせる。最初、フィルターを通して見る人物は、第三者の観察視点であるが、ズーミングとともにいつの間にか当事者視点に同化させられる。 主演の妻夫木聡は、異常キャラクターの役が少し多すぎるキライもあるが、"妻夫木主演に間違いなし"。その期待に今回も応えてくれる。共演の満島ひかりをはじめとするキャストの演技にも感服する。 (2017/2/18 /ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ)
「愚行」は誰でも持っているもの
誰も嘘はついてない。 でも、感じ方や考え方が微妙にずれている。 その結果、一人一人の発言も違って見えてくる。 妻夫木聡さん演じる田中は、一家殺人事件の真相を調べるために動き出します。 取材で、聞き取り調査をすればするほど、見えてくる真相が違うため、何が真実で何が偽りなのか分からなくなってしまいます。 また、記者である田中は、妹が育児放棄で逮捕されたことを受け、かなり精神的にも厳しい状況に…。 取材を続ける彼のバイタリティの強さは、妹を思うが故に発揮されている状態のようです。 秘密を隠し持っている妹と、一家殺人事件の真相が意外なところで繋がり、衝撃の結末を迎えた瞬間には驚きました。 毒にはなっても薬にはならない、ドロドロとした内容に、観終わった後に残るのはドロドロとした感情のみ。 誰も救われない結末が悲しいです…。
こうゆうタイプの話が好きなので楽しみにしてた作品です。期待値を越え...
こうゆうタイプの話が好きなので楽しみにしてた作品です。期待値を越え…は、しなかったけど、ヒリヒリする緊張感と良い意味での不自然さを最初から最後まで味わえました。この手の話はよくあるけど、説明しきらない感じが絶妙。 あと原作未読なので何とも言えないけど、各キャラの作り込みが絶妙で素晴らしい。湊かなえっぽいけど、もっと陰鬱で意地が悪い。小出恵介良かった。妻夫木と満島ひかりはさすがとしか言いようがない。 冒頭5分で感じる違和感、凄い。
映像表現が上手い
まずは冒頭のバスのシーン。映像表現に鷲づかみ。この先の展開に大きな期待を抱かせる。 妻夫木が事件の真相を求めて取材をするが、登場人物の個性がさほど強くはないため、現在と過去のシーンの幾度もの織り交ぜに若干の混乱をきたしてしまう。ここはしっかり整理をつけながら見ていく必要がある。とにかく仕掛けが多く目が離せない。正直もう一度見ないとわからない部分もあって、リピートしたら見えない気づきがたくさん出てきそう。 真実は何か、それぞれの人物の立場と思惑、性(さが)、身勝手さ、自己中・・・。人間誰もが持つ裏の部分が炙り出される。それを愚行と呼ぶのか・・・。ラストを迎え、全体像が見えたとき、人間の「愚行」が明らかになる。ぞっとするというより、ぞっとしない自分にぞっとする。 妻夫木の雰囲気も良いのですが、満島ひかりは彼女ならではの役どころ。語りのシーンは見事でしたね。そしてラストシーンも見事だった新人監督の力量もなかなかで今後も期待。
問題作。
終わらせ方がかなり独特。 本当に人間っておもしろいものだなと感じさせられる作品でした。また、とても怖かったです。 海外で学んできていきなりこんな作品が作れる監督は化け物ですね。 今後がすごく楽しみです! あと、満島ひかりさんが凄すぎます。 惚れました笑
貫井さんの作品は…
やっぱ叙述物だから、活字で読んで気付いた時の衝撃と、映像で驚かそうとするのでは、驚愕度が違うんだよなぁ〜。タイミング的に、活字だと最後にまとめてたたみ掛けることが出来るんだけど、映像だと途中でネタバレしちゃうんだよね。それはさておき、兄妹役は良かった。あの二人は『悪人』の時も良かったなぁ〜。
タイトルどおり
タイトルどおりの 人々の愚かな想いや行いをそれぞれの目線から映し出している。 主人公は初めのシーンから愚かだったので、あぁ愚行の映画が始まった、、と見入った。 未解決の一家殺人、主人公の記者が取材として関わりのある人達に話を聞いて行くが、皆恐ろしいほど自分の事しか考えていない愚か者。 あまりにも人物の奥底が醜すぎて、見ていて疲れてしまった。もともと人間不信な私はさらに人間嫌いになってしまいそう。立ち直れるかしら。 でも妻夫木聡さん、満島ひかりさんの好演が光ってました。このお二人が出てたから見に行こうと思いました。 満島ひかりさんは、終盤は恐ろしくゾクゾクするほどの演技。さすが。 登場人物すべて愚行だったけど、一番愚行は主人公と光子の曲がった兄妹愛だったんだろうか。 見終わって暗い気持ちになったので、明るい音楽聴きながら帰路につきました。
人は生まれながら平等でないという現実
原作未読で鑑賞。原作を読めば印象は変わるのだろうが、はしょったところも感じず、2時間の映画としてよくまとまっていると感じた。妻夫木聡、満島ひかりの安定感ある二人を軸に、過去を語る他のキャストの好演も光る。 この映画で描かれる生い立ちの条件、ヒエラルキー構造は、現代社会において悲しいかな厳然と存在する。現代に生きる我々は、そのヒエラルキーの中で勝ち上がっていくか、別の価値観でその構造から離れて生きていくしかない。そのヒエラルキーで勝ち残れなかった人間はこのような悲劇に至るのかもしれない。イヤミスの空気感を余すところなく描いた作品。
人間関係のドロドロ
久々に邦画で面白かった 満島ひかりさんうまくなったなー 原作は読んでないが、亡くなった子は、お兄ちゃんの❔ だから兄妹揃って愚行録なのかと
8:2位でマイナスだけど
29本目。 何となく描きたいのは分かる。 共感できない、敢えてさせないのが狙いなのかな? まぁ、どっちでもいいんだけど。 でもなぁ、女子大学生の割りに老けてるし、会計時にレシート渡さなかったり・・・細かい所がなぁ、スゲー気になる。 女弄んだ男を、あんないい奴って泣く男友達に一番共感できないし、それなりの奴がそれなりの芝居してる所に腹が立つ。
長編デビュー作とは思えない程の素晴らしい演出
出てくる登場人物の多くが、一見クズみたいなヤツだと嫌悪感しか感じないがちなところだが、この監督の演出にかかると、自分の内面の奥底にもどこかこれら登場人物と似た部分があるのではないかと振り返らせる気持ちの方が強くなり考えさせられてしまう。 映画は現代社会に潜む様々な問題に対する警告を含んでおり、見る人によって何を感じるかは観た人それぞれの観点で異なると思う。 自分から見た他人なんて、その人のほんの極一面であって、ましてや主観が入って自分の頭で捏造した人物像であり、その人の本質なんて決して捉えられていない。そんな他人像を平気でペラペラ、あたかも間違いないとばかり人に話す。この主観の捏造人物像があたりまえのように拡散、横行している、現代のネット社会へのある種の警告のようにも感じられた。 冒頭のバスのシーンの細かな演出から上手いなぁ〜っと感じる所が多々あったのですが、見終わったら、映画全編が素晴らしい演出で、これが監督の長編デビュー作品と知って本当にビックリしました。 妻夫木さんや満島さんの演技も素晴らしく、個人的には間違いなく心に刺さる傑作でした。
ゾクゾクと
王様のブランチで紹介してて面白そうだったので観に行きました!原作などもさっぱり知らずに。 満島ひかりさんのゾクゾクする演技がたまりませんでした。妻夫木さんもミュージアムといい、最近影を持つ男役もハマっておりまして。 結局、人は愚かな生き物で、自分でもそれが愚かと気付かずにすすむ毎日。映画の内容はやや極端だったかもしれないけど、共感できる部分も多数。 映像も、進行も飽きない感じで見入っちゃいました。 やはり、一番怖いのは人間ですよね、、
二回は見たくないなあ
初日に鑑賞。原作をつい最近、二度読んで人物相関等をしっかり頭に入れていました。その記憶で、映画では削られていた細かい部分も補いながら鑑賞したという感じです。 原作を未読の人も、満島さん妻夫木さんの演技で最後まで見られるでしょうけどもやはり読んでおいた方が良い! 最終頁での衝撃!や、登場人物のそれぞれの愚かな部分、そして殺された美人の妻、夏原という女がいかに策略家の悪女だったのか、原作を読むとよく分かります。 私は中村倫也さん目当てに見たのですが、夏原さんに心を奪われるきっかけとなった一瞬の表情はさすが!でした。 宮村さん役の臼田あさ美さんがとても良かったですね。 夏原さん役の松本若菜さんは初めて拝見しましたが、この役はあまり既成のイメ−ジがない有名でない女優さんの方がきっと合うと思ったので、とてもハマってたと思います。 皆さん演技は良かったけど、暗い話なので二回(もそれ以上も)は見たくないかな。
暗い。。
お話自体は、作りこんでいて それなりに面白いのですが・・ 途中で、おそらく・・というネタバレみたいなものもわかります。 主役の二人がすきなので、期待して見にいったのですが。 満島ひかりも妻夫木聡も、やはり上手いです。 期待過ぎたのかなぁ・・悪い話ではないのですが、暗い気持ちで 映画館を後にしました。
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