「心地よさは皆無。」愚行録 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
心地よさは皆無。
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原作を読んでいないので、終盤に待ち受ける三度の衝撃(真実)に
のけ反った一人である。いや~気持ち悪い。最近ではこの設定を
イヤミスというらしいが、確かによく仕掛けられている。思えば
あのシーン…あ~そういうことなのかと後で振り返れば面白いが、
しかし愚行というからには辟易するまで人間の愚かさを浮き彫り
にしていく展開なので、場面そのものにも心地よさは皆無である。
まず冒頭でグイと掴まれる。映画ファンならすぐ「あ!」と思う
あの名場面がなぜここで…?というあたりから不穏な空気が流出。
主人公の記者・田中の聞き込みに観客の全神経が集中する。また
並行して描かれる田中の妹の告白。これが何を意味しているのか。
なぜこの妹は育児放棄で勾留されているの?という謎もサラッと
解明してしまう衝撃まで、暗くどんよりとグレーがかった色合い
の映像が心まで憂鬱にさせる。あ~早く真犯人が知りたい!誰?
こいつか?なんて思わせる田中の取材が続くけど、誰一人として
善人がいないという…酷い状況。確かに他人を貶めて楽しもうと
いう人間は昔からいるものだが、こうして語らせるとより愚かさ
を間近に感じられ(自らをも振り返り)嫌な側面を見せつけられる。
そして後半に入り突然物事をひっくり返すような場面に出くわす。
総てが判明した後の気持ち悪さときたら特筆もので衝撃を受ける。
(騙される脇役俳優一人一人も選び抜かれた感のあるキャスト陣)
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