「永井豪イズムと鮮血に塗れた美しい作品」皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ よねさんの映画レビュー(感想・評価)
永井豪イズムと鮮血に塗れた美しい作品
爆弾テロが相次ぐローマ。腕時計を盗んで追われていたゴロツキのエンツォは逃げ場がなくなって飛び込んだ川で川底に沈んでいたドラム缶を蹴破って放射性廃棄物を全身に浴びてしまい、驚異的な治癒能力と怪力を手に入れてしまう。階下に住む友人の娘アレッシアを近所のチンピラのボス、ジンガロから救ったエンツォは、エンツォこそが『鋼鉄ジーグ』であり世界を救う為に現れたのだと確信するアレッシアとぎこちない共同生活を始めるが・・・から始まる永井豪原作の『鋼鉄ジーグ』にインスパイアされたイタリア映画。
身につけてしまった能力をロクなことに使えないクズ中年のエンツォと、昔TV番組に出演したことがあることだけが誇りのカラオケ大好きサイコパス、ジンガロが繰り広げる忖度のかけらもないラテン汁滴るバイオレンスは確かに永井豪イズム。素っ頓狂なまでに純粋な少女アレッシアと行動を共にするうちに、彼女の言葉と『鋼鉄ジーグ』のDVDに触発されたエンツォが決意する行動が観ているこっちが恥ずかしくなるくらいにベタなヒロイズムに充ちていて血塗れなのに途方もなく美しいです。
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