劇場公開日 2017年5月20日

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「永井豪先生の合体ロボットと勧善懲悪の輸出によって生まれた」皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0永井豪先生の合体ロボットと勧善懲悪の輸出によって生まれた

2017年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

2015年のイタリア映画だ。しかもイタリアのアカデミー賞に相当する、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の最多7部門(16部門ノミネート)を受賞したという大ヒット作品である。最近、イタリア映画といえば、昨年(2016年)の作品賞「おとなの事情」(2016)も公開中だが、こちらも素晴らしい。

"鋼鉄ジーグ"とは、日本のアニメ作品タイトル(1975)。本作はその"鋼鉄ジーグ"をモチーフにしたアクション映画になっている。イタリアではアニメが1979年に放送されて人気になり、イタリアにおける知名度は高いそうだ。

"鋼鉄ジーグ"の原作は「デビルマン」、「マジンガーZ」、「キューティー・ハニー」の永井 豪先生。永井先生のロボット漫画シリーズのひとつであるが、TVアニメが原作で、漫画の連載は共作者の安田達矢氏(キャラクター発案)によって作られた。

ちょうど時期的には「ゲッターロボ」、「UFOロボ グレンダイザー」と同じくらい。

また、同時にタカラから発売されたマグネットを使った合体ロボット玩具「マグネモ」も大ヒットし、「ミクロマン」や「トランスフォーマー」へと発展していく。「パシフィック・リム」(2013)も日本のロボットアニメの影響から生まれ、「機動戦士ガンダム」も当初は合体ロボットだったことを考えると、あらゆる"変身ロボット"は永井豪先生の”合体の発明"から始まっているとも言える。結果的に小学生に"合体!"と叫ばせた・・・大人教育である。

さて、本作は"鋼鉄ジーグ"の実写版ではなく、あくまでもモチーフにすぎない。犯罪を繰り返す、街のゴロツキが、とあるキッカケで無敵のパワーを身につけ、恋した娘の助言から正義に目覚めていくというもの。新人監督であるガブリエーレ・マイネッティの日本アニメ好きから生まれている。

チンピラのダメダメストーリーであり、ダメ男のヒーロー設定はアベンジャーズシリーズの「アントマン」(2015)に近いが、テイストがだいぶ違う。ハリウッドのアメコミ映画と比較してみると、その制作費のなさから、しょぼいと感じるかもしれない。しかし実は日本人の大好きな"勧善懲悪"でもあるのだ。更生した主人公設定でいえば、キムタクの「HERO」(2007/2015)もあり、また「タイガーマスク」のごとく、庶民目線のヒーローは、身を挺して正義のために戦う。

それが現代イタリア人の心に訴えるものがあったわけで、日本人として興味と共感を感じる。わかりやすい。

(2017/5/26 /ヒューマントラストシネマ有楽町/シネスコ/字幕:岡本太郎)

Naguy