あなた、その川を渡らないでのレビュー・感想・評価
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余命短いなか連れ添うおしどり老夫婦の切なさ
家に農作業の手伝いに来ている男性だと思ってたら親が連れてきた婿だった。
15歳で結婚したが、「君が大人になるまで待つよ」と夫は手を出してこなかった。17歳になって初めて自分から夫に抱きついた。というエピソードが微笑ましい。
年老いてもおそろいの韓服を着て微笑む二人。今時珍しい、こうありたいと思うような夫婦関係だった。
もっとも、おしどり夫婦の人生は順風満帆では無かった。12人子供をもうけて6人を病気などで亡くした。生きていた頃に買ってやれなかった可愛い新品の子供服をかって、あの世で着れるようにと火にくべる夫婦が切ない。
弱って行く夫をかいがいしく世話する妻。添い遂げるとは愛する人を看取ることでもあることを突きつけられる。あの世で着られるようにと夫の服を燃やす様が切ない。また天で夫婦仲良く暮らせる日が来ることを願ってやまない。
12人の子供を産んで、そのうち6人亡くしたという夫婦。そんな老夫...
12人の子供を産んで、そのうち6人亡くしたという夫婦。そんな老夫婦の誕生日には子供、孫たちが集まる。そこで兄弟げんかなんかがあるシーンも黙って撮り続けるカメラ。寂しげな雰囲気も伝わってくる。その直後に愛犬の死だ・・・若い犬だったのに。
服を燃やせば、あの世で着られる。じいさんが病気になって、服を燃やすばあさん。全体的に綺麗なチマチョゴリを着ているので映像的にも見ていられる。そしてじいさんの死。大往生なわけだが、ばあさんの愛情がいっぱい感じられる。
涙無しでは観られない、美しき夫婦愛の形。
初めて映画館で観たドキュメンタリー作品でした。公開前から評判で、否応無しに「観に行きたい!」と心を揺さ振られました。確かに、それほどまでの力がある作品だな、と感じました。
お互いを愛し、慈しみ合う…。心の底から大切にしたいと思う…。誰もがこうありたいと願って止まない理想を具現化したような夫婦の姿が、四季折々の山の風景と共に収められていました。
とある山奥で、ふたり切りで暮らす老夫婦。集めた枯れ葉を掛けてふざけ合ったり、ふたりで手を繋いで出掛けたり、とても仲睦まじい…。まるで、若い恋人同士のようで、微笑ましくなりました。
長年に渡って連れ添う中で、降り掛かって来た様々な困難を力を合わせて一緒に乗り越えて来たことがふたりへのインタビューを通して伝わって来ました。
楽しいときも悲しいときも、お互いを支え、励まし、助け合って生きて来たふたりの愛の形に心がどうしようもなく温かくなりました。
しかし、時の流れというものは、幸せをもたらすと共に、残酷なまでに容赦無い現実を運んでくるんだな、と。
病気によって夫がだんだんと弱っていく姿が観ていて辛くなりました。苦しんでいる姿を前に、何もしてあげられない無力感…。
どんなときも共に生きて来た、かけがえの無い人を失うことの辛さが、身に染みて伝わって来ました。
夫が天国に行っても服を着られるように、夫のお気に入りの服を火にくべる妻の姿に、涙を禁じ得ませんでした。
最期の瞬間まで、愛と感謝の心を持ち続けた妻…。ラストの夫の墓の前での慟哭が、この作品の全てを物語っているように感じました。
考えさせられる
結婚って何なのか
共に生きることの意味
そして相手への思いやり
お揃いの服を着て毎日ゆったり生活している姿
子供や孫、家族に囲まれて幸せそうな姿
幸せって一体なんだろう
人に囲まれてることなんだろうか。
女だって先に死なれたくないなぁ…
愛
映画館で観ようと思いながら間に合わなかったこの作品。
でも映画館で観なくて正解だったかもしれないと思うのは、後半の30分間ずっと哭き通しだったから。
いつも手をつないで、お揃いの韓服を着る老夫婦。その微笑ましいやり取りに思わず笑みがこぼれる。本当に心から愛し慈しみ合う夫婦の姿。
生まれる、ということはつまり、いつか死ぬということ。
死ぬということを含めて、生きるということ。
愛するということは育むということで、育むことで愛は栄えていく。
当然のことで、分かり切ったことで、だからこそうっかりと忘れてしまうようなことを、哭きながら思い出させてくれた作品。
私はまた明日から生きるために、この映画を見て哭きました。赤子が哭きながらこの世に生まれるようにして、私はたくさん哭いて、そして明日からまた生きるのだ、と感じました。
いつかくる別れの時に、涙が止まらないくらい愛している人のことを、大切に大切に、心から慈しんで生きて行こうと、心から思いました。
そういう映画です。
夫婦愛、普遍的且つ極めて個性的な。
結婚76年、89歳の妻と98歳の夫のドキュメンタリー。
フィクションではないという点が、胸を打つ。
だけど語り口が、とても物語らしく、ドキュメンタリーである事を忘れ、いつものように物語世界に没頭した。
14歳で妻は嫁ぎ、夫は妻が大人になるまで待つといって
何もしてこなかったそうだ。
そうして17歳になった時、妻は自分から抱きついた。
子どもは12人生まれたが、6人は幼いうちになくなった。
なくなった6人に天国で会えた時、渡してあげたくて、
夫婦は子供用の寝巻きを6着購入する。
歌をうたう夫に「あなたはなんて歌がうまいの、もっと歌って」とほめる。
耳に花を飾った妻に「とてもかわいい」とほめる。
せっかく集めた落ち葉を投げあい、じゃれる。
雪をぶつけ合って雪だるまを作る。
夜のトイレは怖いから外で待ってて、いることが分かるように歌を歌って。
2人は互いがいてこそ自分がなりたつ、依存とは違う必要性がある、そんな風に思えた。
こんなふうに愛しあえたら、どんなに幸せなんだろう。
2人に見える世界は、どんなものなんだろう。
少しでも知りたくて、想像力をめいっぱい働かせながら観た。
もちろん、いつかはくる別れが、そう遠くないという予感がある。
なんといっても夫は98歳だ。喘息を思わせる咳が酷くなる。痰の絡んだ咳。苦しそうだ。
その内、床に臥せるようになり、妻は死んだ後のことを考え始める。
夫の普段着を燃やすのだ。天国で着るものに困らないように。
夫亡き後の自分のことではなく、夫を案じていた。
夫が寝たきりになった後に、飼い犬が出産した。
そろそろ旅立つ夫と、生まれたての子犬が共にいることに、
なんと名をつけてよいか分からない感情を抱いた。とてもいい感情だった。
生まれたばかりのいきものは、泣きたい気持ちにさせる。
やがて夫は死に、妻は墓のそばで泣く。
雪の中、帰ろうとしては悲しみが沸き起こり、立っていられなくなってしゃがみこんで泣く。
彼女は感情が多いと思った。とりわけ夫に対しての感情が多い。感情の深さでは説明がつかない量がある気がした。
技巧がなく、夫婦の感情表現は稚拙とも言える。
悲しい、かわいそう、かわいい、つらい、うれしい。
悲しいからおいおい泣く、うれしいからはしゃぐ。
悲しみを避けようと努めるのではなく、ただ受け止め、悲しむ。
うれしさもしあわせも掴んだというよりは、ただあったのかもしれない。
きれいに生きようとして、避けているあれこれを受け止めた先に、
2人が味わった喜怒哀楽があるのかもしれない。
後期高齢者を不便な家で2人っきりにしておくなんて危ない、
とか、ユニットバスと屋内のトイレがいるよね、といった、
現代的に見るともっと快適な生活の小道具があるのでは、とも思ったりしたが、
そういうものを放棄しているから、2人はあんなに幸せなのかもしれない。
彼らの愛情の真贋は、疑う余地なく本物だし、多くの人が感動する性質のものだと思う。
けれどマネしようがない部分も多く、目指すところにするにはハードルが高いなと、思った。
愛を信じられない人は、この作品を見て、あるところにはあることを知るといいと思う。
世界で一番大切な人
映画を観たくて、いつもの劇場の上映スケジュールを確認していると見慣れないマイナーな感じのタイトルが、、、
なんだろうとPVを観てみましたが終わった時、自然と涙が頬をつたってました。
ドキュメンタリーは好きではないんですが、迷わずそのまま劇場へ直行です。
100歳近い老夫婦が暖かく無邪気で愛し合ってる姿が描かれていました。
この老夫婦を通して私は失った大切な人を思い出していました。
寝てる時に頬に優しく触れ、足をからめいつも一緒にいる。
時には水を掛け合い、雪を掛け合い、いたずらっ子の様に微笑む。
二人と同じ様に、自分達も過ごしてた。
もし、一緒にいられれば、この夫婦の様に歳を重ねられたのかなと思うと涙がこみ上げてきました。
私は今でも大切な人を思い出して、ときどき泣いています。
この夫婦は76年以上、連れ添ってきたのだから、別れの時の想いは計り知れません。
初めから終わりまで、たくさん泣きました。
今年、一番観てよかったと思える映画でした。
最後に残る愛された思い出
最初の雪の中のおばあさんの場面で、すでにおじいさんが亡くなっていることがわかる。
お互いを花で飾ってかわいいよなんて言い合っている、こんなことが80歳、90歳になってもできるんだ!と思った。
考えてみると当たり前で、大人は老人はこのようなものだという先入観を捨ててみればいいだけかも…
大切な人を大切と思い、実際に大事にする。
死んだ後残るのは、大事にされ愛された思い出だけ。
紡がれてきた夫婦愛に笑いそして号泣、号泣に疲れた。(しかし、病院の対応に疑問?)
幕が上がって最初の場面。「やばい。」ハンカチ持参だ!!と思った。最初の場面とラストが重なって
いて一つの小説ようになっている。「おばあさんの表情が実に素晴らしい。」の一言ではないだろうか。
二人の枯葉の掛け合い、雪だるまそしてペアルック。いつも手と手をつなぎ、夜明けトイレの前で待つ
おじいさん。映画が終わりに進んでいくうちにどんどん脳裏に蘇る。
しかし、最初と最後が繋がる。おじいさんが逝き、愛犬が訳の分からな犬によって妊娠。かわゆい
カワユイ6匹?の犬を産む。まるで輪廻転生のようで感動。
山並みと夫婦の映像が良かったです。
しか~し???
話が進んでいくうち、おじいさんの喘鳴(気管から鳴るゼーゼー音)が酷くなっていく。おじいさんの
死因は(推測だが)老衰だったのだろうかが
描かれていない。喘息を持病に持つ人間であれば誰しも必ずあの苦しい経験をする。地獄のような
苦しみである。(ちなみに、私は線香花火でも少し喘鳴になります。)
必要なしとして監督が編集した時点でカットしたのか。その点で、大きく評価が分かれると思われる。
韓国における病院の対応、「薬」さえ処方しないのは、疑問であるが点滴で症状を抑えるという症状がある。
これは死に際の場面で確認できた。あの時には、おじいさんの体力は、かなり落ちているはず。あれでは
遅すぎる。なぜもっと早急の対応をしなかったのか。
老いているという理由で「薬」も効かないという判断は正しいのだろうか。病院側の対応は疑問に感じた。
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