「一本槍」バーニング・オーシャン Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
一本槍
企業倫理やガバナンスが問われた事故。何が問題であったかそれを省みるものを期待していたが、その掘り下げは浅い。脱出パニックエンターテインメントの要素の方が強く、それは残念なところ。
事故の原理は冒頭のコーラが噴き上げる単純な説明で終わってしまう。とりあえず下からの圧にセメントが負けてしまうと駄目らしい。負圧テストが一体何なのかも不明。Kill lineが無圧力であった考察もなし。工期遅延の要因にも触れることはなし。
無駄な会話は男の現場感を出すためか?肝心の話をしているのに割り込んできて邪魔。実際、責任者が経緯確認しているのに無駄話はしないだろうし、不在だった責任者が復帰後に仕事を始めるにあたって、それまでの経緯報告がないというのも謎。作業着を着ずに現場をウロウロ、軍手もつけない、防護メガネは?と安全装備も謎が多い。現場の杜撰な状態を示しているのか、そういう演出なのかも分かりづらい。
ディテールの描き方が雑だと、マルコビッチが代表するBPの姿勢が実態に沿ったものと信用してよいか疑問を持ってしまう。バードストライクで不吉感を出したり、少し演出がくどい。
パニックものとして押し切ろうとする展開はそれなりに楽しめたが、犠牲者も出し、甚大な環境被害を出した事故。それだけで語られては、腑に落ちないものがある。
カートラッセルは良かった。
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