「●本物の男が未来を創る。」栄光のランナー 1936ベルリン うり坊033さんの映画レビュー(感想・評価)
●本物の男が未来を創る。
人種差別と政治の確執といった時代背景の複雑さに立ち向かい、ベルリン・オリンピックで史上初の4冠を獲得したジェシー・オーエンス。その前年、彼は6つの世界記録を打ち立てている。わずか1時間の間に。
間違いなく天才なのに、素質におごらず、走れることに感謝している。理解者であるコーチの存在、そして家族の大切さをよく知っている。
それだけ、人種差別が激しい時代だったのだと思う。
ベルリンでは逆に、国内では考えられない好待遇を受けるが、ユダヤ人はその存在が認められない。
映画には描かれていないが、彼はオリンピック後も、国内では実績にともなう評価を長らく受けていなかったという。今でいえば、カール・ルイスやボルト以上の存在なのに。
それだけに、ルッツ・ロングにはホントに助けられたんじゃないだろうか。世界の広さよ。
ロングのその後は不遇だったけれど、2009年のベルリン世界陸上では、ふたりの子息たちが表彰式でプレゼンターを務めている。
映画では、そのへんの政治的な点について深く言及はしていないのだけれど、こうした偉大な先人たちが今を創ってくれていることに、深い感銘を受けた。
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