劇場公開日 2016年8月11日

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栄光のランナー 1936ベルリン : 特集

2016年8月1日更新

「ナチスのための五輪」でヒトラーの鼻を明かした黒人アスリートがいた! 
オリンピックイヤーの“今”、目利きの映画ファンへ贈る良質な1本

「ヒトラーのオリンピック」にひと泡吹かせた伝説の金メダル・ランナーの半生を描く!
「ヒトラーのオリンピック」にひと泡吹かせた伝説の金メダル・ランナーの半生を描く!

1936年、ナチス政権下のベルリン・オリンピックで、人種差別にさらされながらも4つの金メダル獲得という快挙を成し遂げた伝説のランナー、ジェシー・オーエンスの戦いを描くヒューマン・ドラマ「栄光のランナー 1936ベルリン」が8月11日より全国公開。オスカー俳優ジェレミー・アイアンズウィリアム・ハートが脇を固め、俊英ステファン・ジェームスが偉大なる男を熱演した注目の1作だ。


かつて、ヒトラーにこれほど恥をかかせた男がいただろうか? 
ナチス政策や人種差別を《4つの金メダル》で覆したあるひとりの男の実話

数々の苦難を乗り越えて五輪に出場したオーエンスの活躍が、スタジアムを歓声に包む
数々の苦難を乗り越えて五輪に出場したオーエンスの活躍が、スタジアムを歓声に包む

1936年、第2次世界大戦前に開催されたベルリン・オリンピック。国威発揚のプロパガンダとしてナチス・ドイツに利用され、「ヒトラーのためのオリンピック」となるはずだったこの大会で、たったひとりの黒人アメリカ人選手が4つの金メダルを獲得してナチスの思惑を打ち壊し、ヒトラーの鼻を明かしたことを知っているだろうか。

実際のベルリン・オリンピック時のヒトラー(左)とオーエンス(右)の写真
実際のベルリン・オリンピック時のヒトラー(左)とオーエンス(右)の写真

その偉大なる陸上選手の名は、ジェシー・オーエンス。彼はいかにして人種差別と戦い、完全アウェイの地で歴史的な記録を樹立したのか。本作は、その激動の2年間を追った感動のヒューマン・ドラマだ。

才能を認められスポーツ名門校へと進学するが、人種差別の目にさらされてしまう
才能を認められスポーツ名門校へと進学するが、人種差別の目にさらされてしまう

アメリカ・オハイオ州の貧しい家庭に生まれ育ったオーエンスだが、走ることだけに関しては類いまれなる才能を持ち合わせていた。雨降る中も毎日の走り込みを欠かさない彼は、中学時代から数々の記録を樹立、家族の期待を一身に背負って、アメリカン・フットボールほか、スポーツの名門校であるオハイオ州立大学に進学する。

苦学生でもあったオーエンスを救ったのが、生涯の絆を築くコーチのスナイダー(右端)
苦学生でもあったオーエンスを救ったのが、生涯の絆を築くコーチのスナイダー(右端)

大学でオーエンスは、生涯に渡って親交を深めることになる名コーチ、ラリー・スナイダーとの運命的な出会いを果たす。24年のパリ五輪で代表になるチャンスを失った過去を持つスナイダーは、オーエンスの天才的な才能に驚喜し、何としても彼をオリンピックに送り出して金メダルを獲得させたいと熱望する。こうして、オーエンスの「世界最速への道」がスタートする。

ナチスへの批判を込めたボイコットを求める気運のなか、オーエンスの決断は?
ナチスへの批判を込めたボイコットを求める気運のなか、オーエンスの決断は?

オーエンスとスナイダーの鉄壁タッグの前に、大きな問題が立ちはだかる。「アーリア人種こそ最も優れた種」との人種主義を打ち出すナチス・ドイツに対し、五輪をボイコットすべきという議論が米国内に広がっていたのだ。しかも、オーエンスが出場を決めれば、自国内でも人種差別にさらされている黒人自身が、人種差別を認めることにもつながってしまう……。スポーツと政治のはざまで彼が下す決断から目が離せない。

疎遠となってしまった恋人との行く末、人種を超えたコーチとの関係性も描かれる
疎遠となってしまった恋人との行く末、人種を超えたコーチとの関係性も描かれる
これが五輪出場選手の“視線”──スタンドを覆い尽くす観衆に圧倒されるはず!
これが五輪出場選手の“視線”──スタンドを覆い尽くす観衆に圧倒されるはず!

いよいよベルリン・オリンピック本番。数々の苦難を乗り越えたオーエンスが立っている。360度、彼を取り囲むスタンドには、熱狂に包まれた大観衆。完全アウェイの状況下、アメリカ、そして黒人に対するヤジも飛び交うなかで、オーエンスは100メートル、200メートル、400メートルリレー、走り幅跳びの4種目に出場する。ヒトラー、そしてナチス・ドイツの思惑を完全に台なしにする痛快な活躍が、ついに始まるのだ。


リオの熱戦が高まる今こそ、映画ファンには《裏側》まで見てほしい! 
人種差別、政治対立、裏取引──これこそが「本当のオリンピック」!

いよいよ開幕するリオ・オリンピック。連日繰り広げられる熱戦の数々に、エモーショナルな感動を呼び起こされる映画ファンも多いはずだ。そんなオリンピック漬けになる「今」だからこそ、ぜひとも世界的な大会の裏で行われていることにも目を向けて欲しい。本作では、オーエンスが挑んだ競技の熱戦シーンに加えて、オリンピック開催にまつわるさまざまな事実も赤裸々に描かれる。過酷な人種差別の現実や、出場に向けての政治対立、そしてIOC(国際オリンピック委員会)会長として知られたアベリー・ブランデージがナチスに持ちかけられた裏取引──センセーショナルな「オリンピックの本当の姿」にも注目だ。

こんな理不尽が許されていいのか? 人種差別の実態の数々が登場する
こんな理不尽が許されていいのか? 人種差別の実態の数々が登場する

黒人がアメリカを代表してオリンピックに出場することが、どんな意味を持っていたのか。50年代から盛んとなる黒人の地位向上を求めた公民権運動より約20年も前を描くだけに、信じられないようなひどい仕打ちが登場し、こんな時代が本当にあったのだと改めて痛感させられる。そしてナチスが仕切った大会を象徴する、ユダヤ人選手に対する差別的な扱いも登場。見る者に、人間の普遍的な問題を問いかけることにもなっている。

「スポーツと政治は切り離されるべきか?」は現在にも通じる大きなテーマ
「スポーツと政治は切り離されるべきか?」は現在にも通じる大きなテーマ

ベルリン五輪出場については、出場するか否かの大きな政治的対立が米国内で渦巻いていた。米国五輪委員会のエレミア・マホニーはナチスの人種主義、ユダヤ人排斥に反対するためボイコットを主張。後のIOC会長アベリー・ブランデージは、「スポーツに政治を持ち込むべきではない」として五輪出場を主張していたのだ。果たして政治とスポーツは無関係なのか? 今なお議論が続く問題についても深く描かれている。

後のIOC会長、アベリー・ブランデージの“裏の顔”も見逃せない
後のIOC会長、アベリー・ブランデージの“裏の顔”も見逃せない

ブランデージは、スポーツの純粋性を保とうとIOC会長時代は徹底的にアマチュアリズムを貫いた人物としても有名だが、親ナチス的な言動でも批判を集めた。本作では、彼がナチスにユダヤ人選手を公正に扱うよう働きかけるさまも描かれているが、同時に、アメリカ国内のドイツ大使館建設をめぐる裏取引を持ちかけられる一面も登場する。ミュンヘン・オリンピックでテロ事件が起こった際にも、大会の継続を強行した豪腕で知られる人物。五輪の舞台裏で行われるきな臭い部分にも迫っているのだ。


TOHOシネマズシャンテ上映作=《シャンテ・ムービー》は良作映画の代名詞
評論家が語る──「オリンピック・イヤーに良質映画ファンへ贈る最高のプレゼント」

本作が上映されるメイン劇場は、東京日比谷の名劇場・TOHOシネマズシャンテ。映画ファンを魅了してきた数々の名作に連なる新たな1本として、今夏登場する「栄光のランナー」は、果たしてどうスクリーンに浮かび上がるのか。いち早く鑑賞した映画ライター、村山章氏が述べた。

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