だれかの木琴のレビュー・感想・評価
全29件中、21~29件目を表示
よくある退屈な日常を送る主婦の風景って感じでした。家族としか関わら...
よくある退屈な日常を送る主婦の風景って感じでした。家族としか関わらない日常から飛び出したくて誰かに認めたりしてもらい事は誰にでもあると思う。
DVDで十分のレベルでした。
常盤たか子熱演
ドラマ育ちの常盤貴子が40歳を超え映画女優を熱演しています。常盤貴子と池松壮亮がどう化学反応するのか楽しみでした。聞くところ二人とも東陽一監督の大ファンで念願がかなった形だそうです。
ご高齢の監督ながら演出はけっして古くさくはないです。ただ激しい展開が少ない作品なうえ、主人公の小夜子の素性もあまり詳しく描かれていませんし、見る側に感じろという意図が多く、映画慣れしていない人には勧めずらい作品かもしれません。脇役にも日本映画にかかせない、佐津川愛美、山田真歩、河井青葉とナイスなキャスティングをしてます。
もっと官能的な要素を多くし常盤貴子にもうひと脱ぎしてもらったら更に作品に厚みが出たと思います。
雑誌spaのインタビューを読みましたが、常磐貴子は今銀幕の世界を楽しんでますね。
女が美容室に行く時
中学生くらいになれば、女の子は一人で美容室に行くようになる。多くの店は指名制なので、年上の素敵なお兄さんにカットをお願いするうち、憧れた経験がある人は多いのではないか。中年になればなったで、年下の感じの良い男性スタイリストに髪の毛を触られるうちに恋愛感情を持つこともあるだろう。郊外に引っ越してきたばかりの専業主婦の小夜子が、美容師の海斗に執心していくのはよく理解できる。夫は働き盛り、娘も中学生でどうやら男の子の友達もいるようだ。生活には満足しているけれど、心を満たす何かを海斗に求めたのか。
美容師役の池松壮亮くん、好演。カットをする時の眼差しが,美容師のそれだ。中学生を子ども扱いせず、ストーカーの主婦を変なオバさん扱いしない。水泳やサイクリングをし、朝食もしっかり作り、コンテストを目指す、志のある若者だ。
私が好きなのは、海斗が恋人をなじる場面と、故郷の母親と電話で話す場面で、どちらも博多弁だ。海斗も故郷を離れ、孤独を抱えているのだろう。
どこにでも誰にでも起こりうる身近な出来事。
あれはストーカー。恐いよ、本人に悪意がないのだから。いや善意さえも感じてこない。気味の悪いくらい、心に血が通っていないのだ。そんな妻の小夜子(常盤)の心の変化のそもそもの元凶は、無関心のくせに、さも物分かりのいい夫のつもりの光太郎(勝村)だ。
付け狙われた海斗(池松)こそいい迷惑だわ。全然いい奴じゃないか。いつも池松(もちろんその役に)に嫉妬してしまうことが多いが、今回に限っては無条件に池松に同情してしまう。
もっとドロドロした不倫劇なのかと案じていたが、一安心。
だけど思い起こせば、これより小さな、よじれた人間関係なんて日常にいくらでもあるな。それらはちょっとしたきっかけでこの話と同等の出来事になり得るのか。気をつけよう。自分がまきこまれないように。
いや、いつのまにか自分がそういうことをしないようにか?
常識と日常・・
ATGと言う邦画威風があった70年代。俊英も82歳か・・・
現代アートに追いつけない彼が久々にメジャー的に(決してベタな中味ではないが)描き出す人間ドラマ。とにかく淡々と日常が描かれるんで万人向けではないが、舞台劇をそのまま観てる様な時間の流れは心地よい。話は原作未読だから、どうこう言えないが、シチュエーションに付き合う映画だろう。それぞれの心情の奥は文章でないと成り立たない流れ。
とにかく久しく観なかった普通の常盤貴子が凄くいい。訴える演技をするでもなく、動き回るわけでもない。90年代のトレンディ女優もまだまだ捨てたもんじゃない。池松壮亮とのやり取りも絶妙だった。静寂に危険な二人をぶち壊す佐津川愛美が、アクセントをつけ非凡なメロドラマに終わらせない工夫もある。
後半「ババア」問題の池松×佐津川のシーンは良かったっし、常盤×勝俣のメールでの和解は怖かった。ピントあわずの感は多少ありも良作の部類。
作品から抜け出せないほどの余韻
この映画には、
ぶっ飛んだキャラクターも
あり得ないほどの狂気も出てこない。
ごくありふれた家族の物語。
なかなか本音に向き合えない家族。
些細なすれ違いからストーカーを始める母。
夜の街に繰り出す父。
不安で涙が止まらない娘。
ありふれた日常のなかに、
誰もが抱えた不安、孤独、揺れ…
そんな感情があまりに自然に表現される。
映画が終わっても
なかなか現実に戻ってこれない、
中毒性を持ったお話。
心の隙間を埋める作業は止められない
主婦が美容師をストーカーするというお話ですが、ストーカー行為なのかどうか判断しかねるくらいの微妙なさじ加減…。
個人的にはヒリヒリ感が物足りないと思ったものの、これくらいがちょうどリアルで不気味なんだろうなあ。
専業主婦で母になると自分の存在が宙に浮いたようになるものとして描かれ、子供の純粋で冷静な対応で崩壊しかけた家族が元の形に戻っていく姿は、意外と他人事ではないのかもしれません。
旦那さんの愛が足りないから、美容師をストーカーするのではなく、もともと旦那さんでは足りない性質だったから次々に…
執念の果てにあるものは。
心の隙間にぽっかり空いた穴…。
その穴を埋めるのは、愛する旦那?
近所の美容師?
これは夫婦円満に見える家庭で起こった不気味なストーリー。
夫に触れられたいのに、触れてもらえず不満が溜まってゆく妻…。
そんな彼女の心の隙間を埋めたのは、近所の美容師の存在でした。
彼の優しい手つきと言葉に夢中になってゆく妻の姿。
美容師の何気ない言葉やメールに勘違いする彼女は、どんどん彼に依存するのでした。
端から見たらストーカー。
しかし、彼女には全くそんな気はなく、彼に親切に気軽に話しかけだだけ…。
犯罪すれすれのことであるにもかかわらず、それきに気が付かない彼女は鈍感なのか…。
それとも狂っているのか…。
彼女の姿に恐怖する傍ら、彼女の求める愛情と心の葛藤を理解したいとも感じてしまえる結末。
心に空いた穴が埋まらない限り、これから先も彼女の行為は繰り返され続けることでしょう…。
ラストの姿を見ていると、恐怖以上に同情や哀れみの念を感じてしまいました。
全29件中、21~29件目を表示