劇場公開日 2016年9月10日

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「常識と日常・・」だれかの木琴 フットさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5常識と日常・・

2016年9月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ATGと言う邦画威風があった70年代。俊英も82歳か・・・
現代アートに追いつけない彼が久々にメジャー的に(決してベタな中味ではないが)描き出す人間ドラマ。とにかく淡々と日常が描かれるんで万人向けではないが、舞台劇をそのまま観てる様な時間の流れは心地よい。話は原作未読だから、どうこう言えないが、シチュエーションに付き合う映画だろう。それぞれの心情の奥は文章でないと成り立たない流れ。

とにかく久しく観なかった普通の常盤貴子が凄くいい。訴える演技をするでもなく、動き回るわけでもない。90年代のトレンディ女優もまだまだ捨てたもんじゃない。池松壮亮とのやり取りも絶妙だった。静寂に危険な二人をぶち壊す佐津川愛美が、アクセントをつけ非凡なメロドラマに終わらせない工夫もある。

後半「ババア」問題の池松×佐津川のシーンは良かったっし、常盤×勝俣のメールでの和解は怖かった。ピントあわずの感は多少ありも良作の部類。

フット