劇場公開日 2017年1月21日

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「横浜は誰のもの?」新宿スワンII フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

横浜は誰のもの?

2017年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

スカウトが横浜に行って縄張りを広げる話

前作は嫌いじゃなかったのだが・・・

今作は何というか、全体的に熱がなかったように感じたし、勢いだけのスカスカな映画だったと思う。

物語がめちゃくちゃだし、役者の演技もまちまちで喧嘩の場面を要所要所に盛り込んでごまかされた気分だ。

そもそも、侵略者である主人公達が始めた戦争で、横浜側は防衛とその延長で侵略に踏みっ切った訳で、はっきり言って大義名分は新宿側には無い。
いかにも横浜側が悪いように見せているが、新宿側も勝手に縄張りを広げようとしたのだから悪いはずだ。

先輩方の因縁もよくあるすれ違い話で結局和解、薬物の話はうやむや、スカウト勝負も助っ人頼り、話の筋が一本あるようだが、一定の間隔で喧嘩シーンに入るのでどうでもよくなる。

なんでそんなに喧嘩しなきゃならんの?話し合いより拳で言う事聞かせるでいいのか?
取って付けた要素ばかりで感情移入の隙間がないし、個々の話が浅い、俳優陣も園子温だからなのか、演技がオーバーになり過ぎている気がした。
中でも、関役の深水元基と葉山役の金子ノブアキの演技が良くなかったように思う。
深水は前回はもっとましな訛りだったし、喧嘩屋のようで以外に頭の回る男としてかっこよかったのだが、今回は出番が多すぎるし、訛りが強くみてて違和感、行動も良くわからないのでこいつ何やってんだ?って感じだった。
金子ノブアキは前回では黒幕的な立ち位置で、信用成らない男だったのだが、今回は目を半開きにして不敵な笑みを浮かべる変な奴になり下がっていた。金子ノブアキは個人的に好きだったのだが、目半開きの表情は正直きつかった。

浅野忠信の演技もあんまりよくなかった。なかでも、サングラスして銃を持ってる場面はカッコ悪すぎて笑えた。あと回想時のロン毛もヤバかった。
スーツが紫で光沢があるのだが、殺し屋1の時と一緒だったのは少し嬉しかったが。

不満な面をあげたら切りがない。
見てよかったと思った点は、個性的なスカウト役の若手達だ、彼らはこの映画で顔を売ることが十分できたと思う、それぞれが爪痕を残そうとしていたのではないだろうか。
一番良かったのはハネマン役の中野裕太だ、出番も多いし横浜スカウトのリーダーに申し分ない存在感だった、綾野剛との掛け合いも堂々とできていたように思う。
個人的に中野はダニエル・ブリューリュに似ている感じがして、今後も注目したいと思った。

今作は物語としては大味だが、俳優陣は豪華だし喧嘩の場面も迫力があるので、細かい事を気にしない人、出演者のファンのための作品だと思う。
自分の中でアンチポルノの出来栄えに園子温の株が上がったのだが、今回は株を大きく下げてしまった。
監督の作家性や得意分野を生かしきれなかったし、相性がよくなかったのかも知れない。
この手の作品は三池監督に任せるべきだと思う。

劇中セリフより

「俺、それなんか好きかもッス」

やりたい事が一番いい

上の立場の者が行く方向に部下は従うしかない、たとえ嫌だとしても。正しい道、誰もが不満のない道を選べるようになりたい。

フリント