ポッピンQ : 特集
日本のアニメ文化をけん引してきた東映アニメ、60周年記念《ポッピンQ》公開直前
映画だけでは終わらない。公開前なのに、次々とプロジェクトが始動!
数々の謎に映画.comが迫る!
「ドラゴンボール」「プリキュア」シリーズで知られる老舗アニメ・スタジオ「東映アニメーション」の創立60周年記念作「ポッピンQ」が、12月23日に公開される。5人の少女たちの成長と冒険を、ダンスシーンたっぷりに描く今作。サイド・ストーリーがコミックで描かれたり、VRコンテンツがすでにあるなど、世界観の広がりは映画だけにとどまらない「ポッピンQ」プロジェクトを追う。
盛況のアニメイヤー2016年、最終章を飾るのは、東映アニメの全く新しい試み
映画.comも注目! 東映アニメならではのクオリティの追求──それが「ポッピンQ」
1956年に「東洋のウォルト・ディズニー」を目指して設立され、その後、数々の大ヒット・アニメーションを手掛けてきた東映アニメーション(旧・東映動画)が、記念すべき創立60周年を迎えた。日本のアニメーションに脚光が当たり、世界的に大きな人気を集めるきっかけとなったこのスタジオの誕生と成長は、日本アニメ界発展の歴史の大きな一部と言っても過言ではないだろう。
「君の名は。」「映画 聲の形」「この世界の片隅に」と大ヒット作が連続した16年のアニメ界、12月23日に登場するのが、この東映アニメーション渾身の作品。期待せずにはいられない。
60年代には「西遊記」等の製作のために、かの手塚治虫が参加したほか、スタジオジブリの宮崎駿監督、高畑勲監督が東映アニメーションの門を叩き、社員としてその腕を磨いたことでも有名。さらには「サマーウォーズ」「バケモノの子」の細田守監督も、ここからアニメーターとしてのキャリアをスタートさせている。
「銀河鉄道999」ほか松本零士原作作品(80年代)や、「キン肉マン」「聖闘士星矢」「ドラゴンボール」といった「少年ジャンプ」作品のアニメ化作(80~90年代)、「美少女戦士セーラームーン」シリーズ(90年代)、「プリキュア」シリーズ(00~10年代)と、大ヒット作を途切れさせたことのない老舗スタジオが、60周年を記念して総力を結集。一大プロジェクトとしてスタートさせるのが、この「ポッピンQ」なのだ。
[声優&クリエイター]+[テーマ性]×[世界観の広がり]
「ポッピンQ」は東映アニメの総力が詰まっている《集大成的作品》
大ヒット・アニメを長年送り出してきた東映アニメーション。「ポッピンQ」にも培ってきた成功のノウハウや技術力・表現力が詰めこまれており、その積み重ねによる「集大成的作品」となっていると言えるだろう。
今回は完全オリジナルの長編ストーリーで、全世界の時間をつかさどる不思議な世界「時の谷」に迷い込んでしまった5人の少女たちの成長と冒険が、華やかなダンスとキャッチーな音楽を交えて描き出されるのだ。
「プリキュア」「セーラームーン」など魅力的な美少女キャラクターを世に送り出してきた東映アニメ。今回は、キャラクター原案・黒星紅白(「世界征服~謀略のズヴィズダー~」)による、リアルな思春期の少女をクリエイト。もちろん声優陣も豪華。瀬戸麻沙美、井澤詩織、種崎敦美、小澤亜李、黒沢ともよがメインの5人のヒロイン役。メガホンをとったのは、「プリキュア」シリーズのEDダンスなどでCGディレクターを務めてきた宮原直樹。大きな話題となったCGによるダンスシーンが、さらにクオリティを高めているのに注目だ。
東映アニメーションが長年に渡って老若男女の幅広い人気を集めてきたのは、生み出される作品に成長や友情、正義や家族愛など、誰にも通じる普遍的なテーマ性が込められているから。今作でもそのテーマ性は濃厚。中学卒業を目前に控え、不安と悩みを抱えた5人の少女たちが、不思議な世界での冒険で本音をぶつけ合い、互いを助け、困難を乗り越えていく姿が描かれるのだ。特徴的なのは、“ポッピン族”というヒロインたちと心が通じているキャラクターたち。彼らの存在によって、少女たちの内面がクローズアップされるという今作ならではの魅力も見逃せない。もちろん、ポッピン族の声優たちも、田上真里奈、石原夏織、本渡楓、M・A・O、新井里美など豪華な面々が名を連ねているのだ。
映画・テレビシリーズの映像作品にとどまらないメディアミックス=コミックやグッズ等で世界観を広げていく試みも、東映アニメーション作品が長く愛される大きな理由だ。映画のストーリーでは描かれていない、各キャラクターの深堀りを、半年以上続けているWEBラジオをはじめ、KADOKAWA「コミックNewtype」、小学館「ちゃお」「ぷっちぐみ」でのコミカライズやノベライズによって行っている。しかし、「ポッピンQ」では、そのやり方にとどまらない。ゲーム展開もすでにリズムゲーム化を発表、さらに他作品とのゲームコラボも開始され、別次元でのヒロインたちも表現される。公開前で認知度も低いなか、着ぐるみによるショー展開や、ダンスシーンをVRコンテンツ化したイベント展開なども実施。映画が描いているのは「ポッピンQ」の世界のほんの一部。これははじまりのストーリーに過ぎないのだ(メディアミックスの詳細は下記を参照)。
“見た目”から受ける「あなたの予想」は裏切られる!
映画.comがひも解く「ポッピンQ」5つの謎
小説「キノの旅」などで知られるイラストレーターの黒星紅白が原案を務めたキャラクター・デザインや、主人公たちを助ける可愛い姿の「ポッピン族」が登場するなど、映像はかわいらしい雰囲気をかもし出しているが、作品を見れば、その第一印象は大きく裏切られる。もちろん、少女たちの成長と冒険を描く王道青春ストーリーが待っているのは間違いないが、一歩踏み込むと大きなミステリーが立ちはだかっているのだ。いち早く本編を鑑賞した映画.comが、本作に仕込まれた5つの謎を紹介しよう。
陸上部の伊純、勉強に打ち込む蒼、ピアノが得意な小夏、武道の名手あさひ、ダンスが得意な沙紀という5人の少女。「卒業を控えた15歳の中学生」ということだけが共通する彼女たちが、なぜ導かれたのか?
当たり前の日常から一歩踏み出しただけで、全く異なる世界へと移動してしまった5人の少女たち。全世界の時間をつかさどるという「時の谷」と呼ばれるその世界では、いったい何が起こっているのか?
「時の谷」に暮らす「ポッピン族」の正体もまた大きな謎だ。彼らは「ポッピン族は人間1人に対して1体が必ずつながっている」と言う。「同位体」と呼ばれる彼らは、なぜ人間とつながっているのか?
異世界へと導かれた少女たちの前に、ひとりの男が現れる。ポッピン族しか暮らしていないはずのこの世界で、主人公たちと同じ人間の姿をしている男。彼が明かす「時の谷」の正体と利点は本当なのか?
生まれも育ちもバラバラで、当初は気持ちもバラバラだった5人が、ひとつに力と思いを合わせてダンスを完成させようとする。しかし、そもそもなぜ彼女たちは踊らなければならないのか。そして、なぜ「ダンス」なのか?