「東映アニメ60年の好い所取りを狙ったかな」ポッピンQ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
東映アニメ60年の好い所取りを狙ったかな
雰囲気のあるポスターデザインをみて面白いかもと思ったので試写会に応募し、当選した次第。
当選してから知ったのは、異世界に迷い込んだ少女たちが、ダンスで世界を救うというハナシ。
むむむ、そんなハナシだったのかぁ・・・
高知・桂浜にある中学に通う小湊伊純(こみなと いすみ)は卒業間近の陸上部員。
秋の大会の短距離走で同級生に負け、悔しい思いをした。
両親は、間もなく東京に引っ越す。
悔しい思いを残したまま、東京などには行けない伊純は、ふとしたことから「時の谷」という異世界に迷い込んでしまう。
その「時の谷」では、「時の欠片」なるものが粉々になり、司る時に異変を来していた・・・
というハナシは、その後、伊純と同じ中学女子が異世界に迷い込み、一丸となって「時の欠片」を集め、ダンスによって「時」を修復する羽目となる、と展開する。
まぁ、ひとことでいえば、バカげたハナシ。
なんだけれども、意外と面白い。
面白く感じられた要素を取り出してみると、
1.卒業間近の中学女子→成人するための通過儀礼
2.異世界で司られる「時」→一見、自由になりそうな「時」は、非可逆的で、安易に過去は変えられない
3.異世界→一見、子どものおもちゃ(ぬいぐるみ)に模した世界だが、仁王に似た悪役造形など、和洋混交
4.ダンスで世界を救う→神に捧げる舞い、踊るのは巫女
となる。
たぶん、無意識の設定や造形なのだろうが、東映アニメーションの『白蛇伝』『わんぱく王子の大蛇退治』『太陽の王子 ホルスの大冒険』などの遺産(レガシー)と、『プリキュア』シリーズなどの新作のテイストが上手く融合している。
そういえば、異世界のぬいぐるみ然とした「ポッピン」の真の姿が、村上隆のアートデザインに似ているあたりも興味深い。
異世界に紛れ込む6人のうち5人が少女、ひとりが少年で、その少年がヒール役(悪役)といったあたりも興味深いが、悪役の動機が不明なのはちょっと減点。
少女たちが踊るダンスも、モーションキャプチャを基にしたCGでよく出来ているけれど、いかにもアイドル然としたダンスなので、ここいらあたりは、やはり子ども向けなのだろう。
まぁ、雅楽にあわせて幽玄に舞えば、それはそれで面白いのだけれど、観客動員は激減するだろうなぁ。
なんのかんのといろいろ言ったが、結構愉しめました。