ダゲレオタイプの女のレビュー・感想・評価
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黒沢清監督の円熟を感じさせる
黒沢清監督にとって初の海外作品ながら、意外なほど地に足が着いている。「日本人がフランスで映画を撮る!」という気負いがないように感じられるし、予備知識なしで観たら外国人の監督が作った外国映画だと思うだろう。
テーマは監督得意の幽霊ものだが、フランス郊外の古い屋敷が雰囲気ぴったり。音楽も情感があってしっくりとなじむ。
俳優たちの演技は基本的に抑制が効いている。折に触れ強い感情が表出するが、人物の熱量が上がったようには見えない。まるで死者に体温を奪われたかのように。
愛と芸術の「分かちがたさ」と「相いれなさ」という矛盾を抱えた関係は切なく、映画づくりにも通じる。
黒沢監督の円熟を感じさせる一本だ。
黒沢清が誘なう愛が行き着く先の物悲しい原野
愛する者を長時間拘束し続けるサディスティックな撮影方法に固執するカメラマン、そして、それに関わった人々が、生死の狭間すらあやふやな空間を形作っている。その間、映画は日常と非日常が織りなす、時に突発的な恐怖を観客に与えつつ、やがて、愛が行き着く先にある、あまりにも物悲しい原野へと突き進んでいく。日常の中に潜む恐怖の本質を丹念に掘り起こす生真面目さ、そして、恐怖を異次元へ転化させる洗練された感性は、どちらも紛れもない日本人気質。だからこれは、資本や配役や言語に関係なく、黒沢清の個性と立ち位置が際立つ文字通りの"黒沢映画"なのだ。
☆☆☆★★★ ※ 簡単なメモで 正直、前半1時間余りは少々たるい。...
☆☆☆★★★
※ 簡単なメモで
正直、前半1時間余りは少々たるい。だがそこを乗り越えた後半はワクワク感が止まらない。
まさに黒沢清節が炸裂する。
但し、大きな問題点として。高尚過ぎるのがまた何とももどかしい。
出来れば、『叫』等で垣間見せたいい加減さも期待していたんですけどね〜(^_^;)
2016年11月11日 シネマカリテ/シアター2
傑作ホラー
黒沢監督らしいホラー。ホラーの演出が地味ながら非常に濃厚でいい味が出てると思う。おそらく階段で落ちて病院に移動中に川でステファンが自殺してそれ以降は幻影だろうけど、あんまり特に怖い印象ではなく、地味にとても良かった。
等身大銀板写真に取り憑く女
フランス映画で黒沢清ホラー
さすがにちぃと長いのとステファンの演技力に難
マリーの華奢な身体と左右に細かく震える眼球はハマり役
筋弛緩剤がでてきてははんと。
教会で下手な約束しなければ、というオチ
フランスでの「怪談」
現時点での黒沢清の最高傑作ではないだろうか。
この人の映画は、いくつになっても学生映画のような映画が多く、妙な幼さを感じていたのだが、「トウキョウソナタ」あたりから、少し吹っ切れたようなキレを感じられるようになったと思う。
本作は、紛れもなく純粋にホラーであり、それもフランスの背景を持った「怪談」である。ヨーロッパの風景に落とされた「累が淵」であり、「牡丹灯篭」である。
特に黒沢の真骨頂である、「鏡」、「階段」、「後ろ」といった、美しくも恐怖のアングルの切り取りが冴えわたっている。
また、サスペンスも重厚で、芸術家のエゴ、野心を持った若者のエゴ・・といったリアルなところに、美しい怨霊が被さるのは、観ていてゾクゾクした。
正直退屈してしまったなぁ。
生者と死者のハザマを描いたいつものテーマで、死者と普通に暮らすのは岸辺の旅と似てる。
黒澤監督の世界観とか雰囲気ってフランスというか海外の映画とあってるんだろうなぁという気はする。
哲学的なセリフやくさいセリフも日本人が言うより違和感なく。
ダゲレオタイプへの執着と幽霊の家への執着がリンクしてるのかな?
難しかったです。
此処と彼岸の境界
主人公ジャンは世界最古の写真撮影法ダゲレオタイプの写真家ステファンの助手になり、彼の娘でモデルのマリーと恋仲になる。長時間モデルの身体を拘束する撮影から、ジャンはマリーを救おうとするが……。
黒澤清監督の、観る者を不安にするカメラワーク、此処と彼岸の境界を暗示する構図やショットなど、黒澤清監督の映像世界が存分に発揮された作品だった。どこからが現実でどこからが幻か、永遠と一瞬、生と死、主観と現実の曖昧さに、ずっと不安になりながら観た。
最後が分かりやすすぎたのがちと残念…。
この前観た黒澤清監督の『クリーピー 偽りの隣人』も、ダゲレオタイプの女も、どちらも主題は好きなのだが、最後が明快すぎて、監督の持ち味の後味の悪さが足りなかったのが、個人的には不満だった。
マリーの眼球の揺れが 気になったな... ここ最近の 岸辺の旅 ク...
マリーの眼球の揺れが
気になったな...
ここ最近の
岸辺の旅
クリーピーみたいに
お題は面白そうだし
期待して見ていくと
前半はなかなか良いんだけど
やっぱ
後半にかけてつまんなくなって
イマイチ感が否めない〜
映像は嫌いじゃないんだけど...
ダゲレオタイプってのも
後半関係なくなってるし(笑)
ダゲレオタイプ、ワキ役。
ダゲレオタイプばかりが宣伝されているから昔のお話かと思いきや…現代の話でした。ダゲレオタイプ、ほぼ活躍してないし。オープニングの電車のシーンから、あれ?って思ったけど全編こんな感じ。
まあ、内容は分からなくもないが結局は欲と自己愛の成れの果て…よく聞く話の様な…。
正直、眠気に負けるかと思った。
ダゲレオタイプ
ダゲレオタイプの写真に尽きる!!
が、それ程出てこないのが残念。
何故、モデルが妻からマリーに移った経緯が知りたい。
ダゲレオタイプでのモデルの苦しみの表現が不十分ではと
後半は謎解きがあるのかと思いきや・・・
思い込みばかりで今一つでした。
雰囲気抜群も長すぎるかな…
寒々とした空気感がよく伝わってくるし、無人の空間を何度も凝視するような絵づくりに感服。
なんでフランス?っていう単純な疑問も作品を体感すればすぐに監督がやりたかったようなことを漠然と掴めるような気がする。
ただ、日本映画にあるような生っぽさがやや欠けているような気がして、その分、恐怖感も半減していたように思う。絵があまりにも美しくなりすぎるからなのだろうか…
個人的にはもっとダゲレオタイプそのものを見たかった。あの写真だけで驚きで、なるほどこれはタイトルにするよなぁと納得したけれど、長すぎると思ってしまった。
ダゲレオタイプの等身大のカメラがドーンとあるだけで、もうザ・フライ...
ダゲレオタイプの等身大のカメラがドーンとあるだけで、もうザ・フライのテレポッドに見えて仕方ない。それらの機器、薬品がもうマッドサイエンティスト。
ゴースト描写はベスト版キヨシクロサワみたい。
とにかくコンスタンルソーの高速で動く目がね、とにかく凄くてこれは怪奇映画として真似出来ない凄さだと思います。
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