「単独作でこんなに高評価したの初めてじゃん。」マイティ・ソー バトルロイヤル alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
単独作でこんなに高評価したの初めてじゃん。
ハイ出ました初の高評価!バンザイ!マーベルファンでありながら、マーベル単独作に悉く低評価を積み重ねてきたこのハイパー高望みファンが通りますよ!!!!(大興奮)
『キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー』以降のキャプテン単独作に関しては、もうほぼアベンジャーズに呑み込まれて単独作とは言えなかったので別として。いやぁ今までのマイティ・ソーの作風からして、今作も大して期待してなかったんですが(失礼だな)、いきなり面白かったなぁ。
1作目はフツーーーな感じで、2作目はバトル…まあそんなもんだよなという感じ。が、今作はコメディ色が強く、過去作とガラッと雰囲気を変えてきました。何でこんなに雰囲気が変わったのかと思ったら、監督がタイカ・ワイティティだったのか…納得。
始まってすぐからギャグテイスト全開で、(見飽きないという意味で)この方向性は正解だったと思います。特別コメディが好きというわけではなく、ほとんど見たこともありませんが、MCUのストーリー全体がかなりシビアな展開になってきているなか、こういう緩急つけるのが上手い監督がここでワンクッションを入れてくれるのはありがたい。正直、今後ずっとシビアな展開を暗い気分で見守る時間が続くのか…と思ってたので…
ギャグを差し挟むタイミングが絶妙で、というのは以前『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』か何かの時にも書いた気がしますが、今作は『シビル・ウォー』よりかなり頻繁にギャグシーンが入ります。それでも全体のバランスを大きく崩すことなく、またシリアスな雰囲気の時はそれを損なうこともなく、纏まりのある1つの作品として仕上げているのは素晴らしい。
インタビューによると、どんどんアドリブを入れ、面白かったらどんどん採用!という自由な空気のもと作られたそうで、俳優陣がかなり生き生きして見えます。
そして面白いのが、俳優の表情…よく見てると、メインで喋ってる俳優の後ろで多分素だろうな…という感じでニヤーっと笑ってる俳優がいたり、微妙に笑いをこらえてるような顔をしてたり、そういうシーンをそのまま使っているところ。これが作品の雰囲気をぶち壊して駄作に成り下がらないのは、なかなか凄いことだと思います。
そして今作もいつもの顔ぶれで終わるかと思いきや、何とドクター・ストレンジが。前情報なしで見たので、ドクター・ストレンジ(のマント)が好きな自分はテンションが急上昇。
それから今作初登場のソーの姉、ヘラ!20年前からお顔が変わらないケイト・ブランシェット様ご降臨です。流石の演技でした。
身体どうなってんの?と思うくらいワイヤーアクションでもブレないし、定点カメラで真横から撮っても美しい姿勢を維持されてるんですけど…体幹もしかして鉄骨入ってる???
ソーやロキなんて「黙れ小僧!」の一喝で地球の裏まで吹き飛ばせそうなレベルの差を感じました。エエ。何十年もトップ張ってる人は違いますなあ…でも、あれだけの人を雇ったらもっと出番あっても良かったんじゃない?いやでも、ソーが主役だしな…
MCU全体から見た作品の立ち位置としては、恐らく次作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』への繋ぎの役割であり、そこに何もないのもアレだし…とヘラ様を出してきただけなのかなぁとか思ったりするんですが、それを感じさせないテンポの良さがありました。
ただ、日本語版のタイトル『マイティ・ソー バトルロイヤル』って…バトルロイヤルは仲間を集める通過点であって、そこまで重要なシーンではなかった気がするんですが。ちなみに原題は『Thor: Ragnarok』。全然ちげぇー!
バトルロイヤルといえば、こちらも今作初登場のヴァルキリー。かなり前にアメリカ本国で、「ヴァルキリーはコミックでは白人女性なのに何で黒人にしたんだ!」と文句が出たとか何とかいう記事を見たんですが、自分はこのヴァルキリー役の人、良かったと思います。
コミックのヴァルキリーはキリッとしたマッチョな白人だったんでしょうが、正直ハリウッド映画界は白人美女にばかりこだわり過ぎて、「アイコニックでキリッとしたマッチョな若い白人美女で、できれば他と契約してない演技力のある俳優」なんて条件で探そうとする時点で結構難しいと思うんですよね。既にいるキャラと雰囲気が被ってもいけないし。
今作のヴァルキリーは、俳優が決まってからそのようなキャラ設定にしたのか、キャラ設定を決めてから俳優を探したのかわかりませんが、あの作風で、あのキャラ設定で、ハリウッドでよく出てくるタイプの白人美女だったら合わなかった気がします。
あの作風にあのキャラ、だからあの俳優の「美女ってほどじゃない、でも笑うと何か愛嬌があって、他とは違うけど何が違うかわからない、上品過ぎず、でも下品になりすぎないナチュラルな魅力」が完全にマッチしていたと思いますね。ええ。
全体にビビッドな色合いというか、いつもの派手さは健在でしたが、ヴァルキリーの過去をざっとおさらい(?)するシーンが宗教画調だったのも、印象深かったです。あのシーンだけ完全に何世紀か前の油絵の色味で、合成技術なのか全部CGなのか知らんけど、あの表現凄いなあ…改めてディズニーの映像技術と、監督の発想力に脱帽でした。
ロキは可愛い可愛いとファンからのコールをよく聞きますが、今作はギャグシーンが多かったので、やはりギャグ要員だった気がします。相変わらずブラコンファザコン拗らせてますが、今回はドクター・ストレンジによって遊ばれて(?)、なかなかのキレっぷりで序盤から笑わせてくれます。可愛いかどうかは置いといて。
……いつも「ソーの単独作」と言いつつソー以外のキャラばっかり掘り下げてるのは勘弁してくれ。周りの方が何かキャラ立ってんだよ。
ソーは今回、色々冒険することになりますが、これも次作『インフィニティ・ウォー』に向けてなのかなーと思うと、次作は今までと比べてかなり大規模になるんですよね。自分はアベンジャーズシリーズは『エンドゲーム』から見始めた阿呆なので、何で宇宙に浮いてたかの謎が漸く解けそう。
いやー本当に、そろそろ単独作はもう全部すっ飛ばして『アベンジャーズ』だけ見て終わりにするか!?と考えてたんですが、見て良かったです。これであと単独作は残すところ『キャプテン・マーベル』のみとなりましたが、そちらも評価が高いようなので見ることにします。
『マイティ・ソー』シリーズ2作目まで見て、イマイチ…と思っていた人に、今作はぜひお勧めします。