「ピクサーらしい 異世界」リメンバー・ミー Movieアパートさんの映画レビュー(感想・評価)
ピクサーらしい 異世界
オスカー作品賞受賞作品連発!
とはならないが、スターウォーズにmarvelも手中に収め、もはや完全に映画界の覇権を握っているディズニー
スターウォーズ ep9 はともかく marvelにしろそしてこのピクサーを中心とするアニメ部門にしろ 覇権を握れるのは金の力だけでは無い! と言わんばかりに高品質な娯楽作品を次々送り出してくる事には毎度驚かされる
そして今作も他の例に漏れず素晴らしい作品だった
まず弦を押さえる指の動きと弦を弾く手の動きにとにかく細心の注意が払われていたり、音楽を奏でる人やそれを聴く人たちの感情の流れが誠実に、滑らかに描かれていてとても良い
歌を人に届けるという夢を追い求めて大冒険を繰り広げてきた主人公がラスト歌う あの歌 の素晴らしさは、ひとえに 音楽 というものの力をキチンと緻密に描いていたからこその感動だった
あと、ピクサー作品でいつも感心するのは未知の世界のルール作りの巧みさ
オモチャの世界、虫の世界、モンスターの世界、魚の世界、果ては 頭の中の感情たちの世界 と様々な想像の世界を作ってきたピクサーだけど、いつも各作品を貫くとても大事なルールがあって、そのルールを軸に物語が進んでいく
今回は 死後の世界 にあるルールとして 忘れられてはいけない というのが設けられてるけど、凄いのが
こういうルールが
あぁ、もしこんな世界があればきっとこうにちがいない
という説得力としての機能だけじゃなくて、物語が語ろうとする一番大事なテーマとも密接に関わっている
こと
どの作品にも言えることだけど、ピクサーはいつも今自分たちが生きてる世界とは全く異なる集団の世界を緻密に作り上げた上で、最後は絶対そこで起こる出来事の全てが 今自分たちが生きている世界とリンクするような話にしている
ファンタジーな作品は、やりようによっては直ぐに 自分には全く関係のないお話 という位置付けを観る側にさせてしまうけど(だからこそ素晴らしい場合もあるが…)
ピクサーの作品はいつも、ものすごく深い場所で観る側に共感してもらわなければ というポイントに抜かりがないからこそ素晴らしいんだと思う
少し不満があるとすれば、このお話にあそこまで明確な悪役はいらなかったのではないか という所
死後の世界も割と楽しそうとはいえ あいつ のやった事は幾ら何でもちょっと悪すぎだし、そこまで行かなくてもこのお話は充分成立してた気もする
(ただまぁ あんなところであんなパーティなんかやってるやつなんて良い人間なわけがない という点は個人的に凄く溜飲が下がったが)
まぁいずれにしても、今のアメリカに相応しい
自分とは違う世界 の人々に想いを馳せ共感できる
そんなピクサーらしい素晴らしさに満ちた作品だった
今度は吹き替えでみようかな