「スピンオフとしてこれ以上のものはない」ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
スピンオフとしてこれ以上のものはない
来ましたねえ、とうとう。遂に。ローグワンですよ、ローグワン。EP3とEP4の間を繋ぐスピンオフだッ!デススターの設計図を奪取する作戦にフォーカスを当てるぜッ!という事前情報が駆け抜けるやSWファンは勿論、映画ファンも騒然。
「マジで?そこやるの?」とワクワクもしたし、「いやでもちょっとニッチすぎね?こないだEP7やったばっかだべ?時系列バラかし過ぎて客がついてこれなくねえか?」と不安になったりもして。
ただね、その「客がついてこれるか?」は作り手がそこまで不安がってないというか、逆に「ついてこい!」という強気な姿勢というかね、それを強く感じました。EP4を観客が観ている!という前程で作ってます。これが初スターウォーズ!の人への目配せもあるっちゃあるんですけど、そこに重きはなくて、やっぱりファン向けなんですよ。
寧ろスピンオフ、て位置づけにしてしまっていいのか?ていう。いやこれ普通に正史でカウントしても良くね?と思ってしまうほどのクオリティ。マジにエピソード3.5で良かったんじゃないの?と。
まあ言ってしまえば後付け設定じゃないですか、キャラクターも作戦にしても。でもEP4のあらすじから「デススター設計図を帝国側から入手した、てサラっと流してるけどかなり無理めなプランだよなあ」とはファンもぼんやり感じてた訳で。そこを膨らませてここまで説得力持たせてるのが何より素晴らしいし、整合性もきっちりつけてる。EP4へとスムーズに繋げてるんですよね。だからEP4がまた観たくなる。好循環ですよ(分かんないですけど)。
あとはそうですね。スピンオフの強みを活かした部分というかな、今まではあまり描かれなかった帝国側の一般市民への残虐行為、ゲリラ紛争的な描写、それらを含めた“泥臭さ”が新鮮でした。正史のような表舞台の華々しさがなくて、反乱軍はジェダイの騎士が居ないとここまで脆弱か、という絶望感の中、けれど奮起する「裏方の美学」「影の努力」「知られざる真実」みたいなもんが垣間見れて。「反乱軍は正義ではなく、大義である」という視点もなかなかに斬新でした。
結論としては「スピンオフとしてこれ以上のものはない」んですよ。観てもらったら分かると思うんですけど、ラストはもう背筋がゾクゾクしましたよ。おおおお!EP4と繋がる!繋がるぞ!と。
正史のようで正史でない。スピンオフのようでスピンオフでない。絶妙のバランス。これは必見でございますよ。