「なんで密室サスペンスにしたのか意味不明なトンデモ展開」10 クローバーフィールド・レーン Fate number.9さんの映画レビュー(感想・評価)
なんで密室サスペンスにしたのか意味不明なトンデモ展開
前作と言われる「クローバーフィールド」を知らないまま、密室サスペンスとして見始めたので、ラスト15分のトンデモ展開には悪い意味で唖然。そりゃ単に戦争による化学兵器オチとか、未曾有の災害でしたとしてもつまらないから、どうオチを付けるつもりなのかと思っていたけど、まさかの宇宙生物オチ?そもそも手作りのペットボトルガスマスクとビニールシートで防げる程度の毒ガスで、あげく火炎瓶一本で倒せるような相手に軍隊がやられるとは思えないんだけど。
時間のほとんどは密室で飯食ったりゲームしたりしてるだけで、密室サスペンスとしての緊張感も薄く、「誰が嘘を付いているのか?」という疑心暗鬼に陥る心理の読み合いなどが何も無い。
結局、オチに関わる「外の世界がどうなっているか」だが、中盤を待たずに、皮膚の爛れた女が助けを求めて来る地点で、「戦争や災害などの異常事態が起こった事は確かなのだろう」と認識されてしまい(視聴者にとっても)、監禁相手と主人公の駆け引きを含む、「視聴者に対する虚々実々」こそがこの手の密室サスペンスの肝であるはずなのに、その謎が早々に機能しなくなってしまっている。まして前作を知っている人なら、尚更、外に出られない理由を知悉しているのだから、こんなサスペンス風味に脚色してある意味が分からないものになっている。だから主人公の女を脱出させるための理由付けも無理やり感が出てしまうし、一緒にいた男もまったく存在理由が無いまま退場するハメになるのだ。
前作の外伝的な位置づけなのかも知れないが、それにしては密室サスペンスとしても、SFディザスターとしても中途半端で、どっちをメインとして見せたいのか分からないものになっているのが致命的。個人的にこういう軸がブレている作品はやはり中途半端になりがちなので好きになれない。