「道の名は。」10 クローバーフィールド・レーン ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
道の名は。
なぜか日常が突如として変貌するタイプの映画を欲する今日この頃。社会が崩壊していく恐怖をフィクションで迎え撃とうとする無意識のなせる技でしょうか。。
奇しくも前作「クローバーフィールド」は低予算のジャンル映画でありながらフィクションによる社会的ダメージの受容にも思えた意欲作。
これはだいぶ別物の続編ですが、公開当時ラジオでの町山さんの話によればハワードみたいなアメリカ人(終末論者)は実際いるという。
始まってしばらくすると、強烈に頭のいい人たちが作ってる、という印象。まず閉ざされたセットに限られた登場人物で予算はかからない。なのにサスペンスと登場人物の機転とで全然飽きさせない。
閉ざされた環境で人間がギスギスする「ミスト」とか「ナイトオブザリビングデッド」みたいな系統のシチュエーションだけど、人数も情報もさらにリミテッド。なのによくこれだけちゃんと引っ張れるなぁ。
自然とネタを明かした後のハードルも上がってしまうものの…そこは安定のJJ案件。
冒頭のタイトルの出し方が超スタイリッシュだっただけに、大半の呎を消化した後でまだタイトルの意味が全然わからない!と興奮したわけですが…あのオチにはさすがにモヤります。
終わってみれば主人公のドラマもちょっと軽いし、テーマ的なものも取ってつけた感が残るという平常運転のJJしぐさ。
とはいえ真ん中を過ぎるくらいまで確かに現実を忘れて没入できたので、100分という呎も含めて充分おつりが来る作品だと思います。
ついでに「ニュースルーム」ジムのジョン・ギャラガーJr.はエメット役にうってつけだったなあと思います。