「大好きな恋愛映画だー」ぼくは明日、昨日のきみとデートする あいわたさんの映画レビュー(感想・評価)
大好きな恋愛映画だー
福士蒼汰/小松菜奈の熱烈なファン以外・邦画嫌いにも観て欲しい、最高の恋愛映画でした。
当初はタイトルからストーリーが読め大丈夫かと心配していたし、序盤は単に甘いだけの退屈な映画だなぁと思っていたが。中盤以降の怒濤の切なさ。まさかあの序盤に伏線があったなんて。
原作もさることながら、三木孝浩監督が流石。描き方が上手いなぁ。小松菜奈の魅力・演技が抜群でした。福士蒼汰も良い役者になってきたなぁ、と思う。
(評価甘い?でも、福士くんを未だに大根と評す人が多く信じ難い。本当に観てる?俳優に限らずですが、人は年々成長するものです。)
2人の時間のすれ違いが表情・仕草に自然に表現されていて素晴らしかった。愛美目線で流すラストの演出が素晴らしく、終わってみたら過去最高レベルに切ない作品でした。
恋愛は2人で創り出すもの、それを改めて実感するストーリーだった。“失恋した”2人それぞれが、これまでの感謝を胸に“将来の”相手の幸せを願う。こういう恋愛が素敵です。
些末なタイムパラドックス=SFとしての欠点を指摘するなんて下らない評価は止めようじゃないか。時間のすれ違いという飛び道具により恋愛小説の普遍的なテーマを描き切った点がこの作品の真髄なのだから。
2回目を観たらきっと冒頭から泣いてしまうが、こんなに2回目を観たいと思った映画は過去に無い。
それにしても今年は三木孝浩作品が当たり年だった。青空エールといい本作品といい、冬の澄んだ空気が良く似合う美しい作品だった。色彩の鮮やかさは相変わらずだが、同じテイストにならず、それぞれ魅力的に描き切っていた。
加えて、三木監督の作品は尺の合わせ方が絶妙。人気の原作を使った“確実な”ヒット作が求められる昨今、尺のマズさにより原作の良さを相殺してしまう駄作が多い中で、これは映画監督として時代に必要とされた能力と思う。
小難しい分析をしてしまったが、とにかく良い映画だった。