ダンケルクのレビュー・感想・評価
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悩乱
ノーラン作品であることを知らないで、観客が同じように評価できるのか疑問である。フィルム主義で極力CGを使わないリアリティを追求する姿勢はデジタル化が席巻する中で素晴らしいと思うが、今回の映画の本質が全く見えてこなかった。
陸、海、空のそれぞれの場面を中盤以降一つの物語に集約していくあたりからやっと全体像が見え始めてくるが、それまでは時間も位置関係もよく分からない。説明もほぼないため、予備知識だけではなく、歴史的背景、地理感が把握できてないと、観客がダンケルクに取り残される。
当初3万の救出予定が35万の奇跡の救出劇になったのもちゃんと理由とか説明は必要だったのではないか。ドイツ軍も包囲したはずなのに、空軍くらいしか出てこないし、そういう意味でのリアリティは全くない。確かにスピットファイアのリアリティはあったのかもしれないが、枝葉末節にこだわりすぎたのではないか、と思ってしまう。
106分というノーラン作品にしては珍しいコンパクトな作品。だけど、削りすぎて、ただの群像劇に止まってしまった感が否めない。
クリストファーノーランにしか描けない戦争映画
それぞれの時間
分かり辛いかも
砲弾ショック
とにかく圧倒的な映像と爆音の迫力が凄まじい!
戦場をかつてここまで克明に描いた作品があっただろうか。
作中で砲弾ショックと言う単語が出てきますが、実際の戦場では空爆などによる爆発音で、ショック状態になり精神的に不安定になってしまうそうです。
本作は映画のスクリーンによる圧倒的リアルな映像と爆音の音響で、観ている側も砲弾ショック状態に陥ってしまいそうでした。
ストーリーはほぼないに等しく、戦場の過酷な状況を、それぞれの視点で描いているだけなので、DVDなどで鑑賞してしまうとちょっともったいないですね。
映画館の大スクリーンと爆音で五感で体験する映画だと思いました
スピットファイアのプラモデルも欲しくなりました 笑
好きな時に眠れる幸せ
クリストファーノーラン凄え!!
画面は回りませんが、時間は複雑に絡み合います
第二次世界大戦の序盤、破竹の勢いで勝ち続けるナチスドイツの勢いに押された連合軍が、ヨーロッパ大陸から必死の撤退を行うダイナモ作戦を描いた作品。
『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』などの作品で、不思議な世界をCGを使わず欲しいままに映像にしてきた、クリストファー・ノーラン監督が描いた現実世界の話。
現実世界を描いた作品でも、クリストファー・ノーラン監督の映像は、やっぱりすごかったです。元々CGが嫌いで、可能な限りセットを組んで、実際の映像として描き出すと言うポリシーを持った監督ですが、そのポリシーはこの作品でも健在。空中戦も実際の飛行機で撮影されており、CGとは違う本物の迫力を感じました。
作品は、陸(波止場の脱出兵)、海(救出船)、空(戦闘機)の視点で描かれているんですが、ぞれぞれの時間軸が、陸は一週間、海は一日、空は一時間と、全然違うスケールになっています。ですが、スクリーン映像で見てみると、時間軸の違いは全く意識することなく、上手く絡み合って見事な映像作品に仕上がっているんですねぇ。今回は、画面が回転したりはしませんが、時間が絡み合っていました(笑)。
実際の結末は歴史が語っている訳ですが、映像ではハラハラドキドキ。新しいクリストファー・ノーランを見た気がします。
緊張感が素晴らしい
字幕版を鑑賞。ダンケルクはフランスの北側,ドーバー海峡に面した港湾都市の名前で,第2次大戦初期に連合国がナチスドイツに圧倒されて一時的な撤退を余儀なくされた時に,フランスに進駐した 40 万人ものイギリス兵を本国に撤退させるための困難な作戦を決行した場所であり,本作は史実に基づいた作品である。戦争映画といえば,先日「ハクソー・リッジ」を観たばかりであるが,流血シーンすらほとんどない本作は,息もできないほどの緊張感という点では,「ハクソー・リッジ」には及ばなかったものの,生き残ろうとする各兵士の張り詰めた緊張感では全く引けを取っていなかったと思う。
史実が元にあり,英国では知らぬ人もいないほどの有名な話であるため,いかにクリストファー・ノーラン監督でも勝手な脚色ができなかったためか,話の時系列を多少オーバーラップさせたり戻したりして脚本に奥行きを与えようと努力していたのが察せられたが,その試みはしっかり実っていたと思う。また,同盟国であるフランス兵に対する仕打ちが美化されずに描かれており,乗船を待つ長蛇の列を少しでも先に進もうとする涙ぐましい努力もそれぞれ見応えがあった。究極の状況に陥った時には誰もが我が身を最優先にし,他者を無慈悲に踏み台にするという状況も生々しく描かれていた。
そんな中で,計器の故障のため帰還するための燃料が読めない状況に陥りながら,自軍の兵士の命を一人でも救おうとドイツ軍機に決死の攻撃を仕掛けるスピットファイアのパイロットや,ドーバーを越えて自国軍人を一人でも連れ帰ろうとする数多くの小型船舶とその所有者たちの,愛国心みなぎる数々の台詞や態度に,骨太の英国人の姿を見せてもらった気がした。いつの時代でも,我が身を顧みずに他者のために行動する人がいなければ美談は生まれないのである。
役者は,敢えて有名人を排除してリアリティを出そうとしたような感じを受けるが,スピットファイアのパイロットには「インセプション」や「ダークナイト・ライジング」でノーラン作品への出演もあるトム・ハーディ,小型船舶の所有者に「ブリッジ・オブ・スパイ」でアカデミー助演男優賞を獲得したマーク・ライアンスが起用されてしっかり画面を引き締めていた。一方,主役級の兵士でもマーキングが不十分で,しかも重油まみれになって顔がわかりにくくなり,ほぼ誰が誰なのか分からなくなるというのは,こういう映画では致命的ではないかと思った。
音楽は大御所ハンス・ジマーで,感極まったようなテーマ曲もさりながら,登場人物たちの焦りや悲嘆など,感情の起伏をよく音楽化して聞かせてくれていたと思う。感情を抑えながら誇らしさに身が震えるようなテーマ曲は,エルガーの「エニグマ変奏曲」の第9変奏「ニムロッド」を感じさせるものがあり,「グラディエーター」でワーグナーに寄せて書いたジマーが,今作では英国に敬意を表してエルガーに寄せているような気がし,その試みは見事に成功していたと思われた。
「インセプション」や「トランセンデンス」「インターステラー」などの SF ものでは名の通ったノーラン監督が,なぜ本作の脚本まで書くほど気に入ったのかはよく分からないが,英国人としての血が騒いだのかも知れない。グロシーンを極力避けながら,あの緊張感を持続した手腕は確かだと思うが,自由に改変ができないという縛りは,彼らしさをかなり削いでしまったような気がする。ただ,それは彼独特の分かりにくさが減ったことも意味するので,私は評価したい。
(映像5+脚本4+役者4+音楽4+演出4)×4= 84 点。
ノーランの映像美は好き
ダンケルク・スピリット
無名の兵士たちの話
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