「悩乱」ダンケルク TOKIESさんの映画レビュー(感想・評価)
悩乱
ノーラン作品であることを知らないで、観客が同じように評価できるのか疑問である。フィルム主義で極力CGを使わないリアリティを追求する姿勢はデジタル化が席巻する中で素晴らしいと思うが、今回の映画の本質が全く見えてこなかった。
陸、海、空のそれぞれの場面を中盤以降一つの物語に集約していくあたりからやっと全体像が見え始めてくるが、それまでは時間も位置関係もよく分からない。説明もほぼないため、予備知識だけではなく、歴史的背景、地理感が把握できてないと、観客がダンケルクに取り残される。
当初3万の救出予定が35万の奇跡の救出劇になったのもちゃんと理由とか説明は必要だったのではないか。ドイツ軍も包囲したはずなのに、空軍くらいしか出てこないし、そういう意味でのリアリティは全くない。確かにスピットファイアのリアリティはあったのかもしれないが、枝葉末節にこだわりすぎたのではないか、と思ってしまう。
106分というノーラン作品にしては珍しいコンパクトな作品。だけど、削りすぎて、ただの群像劇に止まってしまった感が否めない。
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