「コング・サミュエル・クロウラー 南海の大決闘」キングコング 髑髏島の巨神 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
コング・サミュエル・クロウラー 南海の大決闘
タイトルもポスターも予告編もコテコテの
B級映画風にアレンジした日本版広告担当者の
選択を英断と呼ぶか蛮勇と呼ぶかはさておいて、
キングコングの故郷“スカルアイランド”を舞台に
繰り広げられる怒涛のアドベンチャー大作が登場!
2020年には『ゴジラVSコング』なる企画も予定されている
とのことで、その前哨戦という意味でも楽しみにしてました。
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劇中に登場するとある怪物のデザインについて、
本作の監督がインタビューで「『千と千尋の神隠し』
のカオナシや『エヴァンゲリオン』の使徒っぽいよな!」
と語った時には不安と苦笑いとが浮かんだものだが、
いざ映画が始まればそんな不安は
コングの鼻息とともに吹き飛ばされる。
オープニングから一切出し惜しみナシ!
モンスターもド派手アクションも満載で超楽しい!
島に入るなり突然のコング襲来&ヘリとの総力戦!
不時着したメンバーを次々と襲う危険な生物たち!
忌むべき怪虫が潜む竹林! 腐臭と骸骨だらけの死の荒地!
コングを崇める神秘の島民たち! 島のすべてを知る謎の男!
決死の探索を嘲笑うかのように不気味にざわめく密林の奥で、
我々はついに、島民を恐怖の底に叩き込む悪魔・
スカルクロウラーの姿をカメラに収めた!(我々?)
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まあこんな書き方だとB級映画臭プンプンだし
川口、藤岡どちらかのヒロシも出てきそうだが、
盛り沢山の内容を小気味よいテンポで繰り出し、
オマージュらしき描写もいたずらにアピールせず、
B級映画ファンのみならず誰もが楽しめる一級の
エンタメ映画に仕立てた監督の腕はかなりのものだ。
島に向かうまでの序盤は個性的なキャラや未知の
島への期待感を煽る展開で盛り上げてくれるし、
モンスターだけでなく特徴的なロケーションも
次々登場させるなどして、徹頭徹尾飽きさせない。
モンスターの巨大感を出しつつもスピーディで
キレのいいアクション演出もグッドだ。
炎越しに睨み合う画や巨大な太陽をバックに佇む
コングなどのケレン味たっぷりのカットにも燃える!
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さて、
この手の映画は人間側の存在感やドラマは希薄になりがち。
おまけに本作はモンスターだけでなく人間側のキャラも
多いので必然的に各人の登場時間は短めな訳だが、それでも1人1人の個性や背景はしっかり作り込まれており、
それを2時間弱でそつなくさばいた点も何気にスゴい。
特にサミュエル・L・ジャクソン演じる大佐の存在感は強烈。
ベトナム戦争からの撤退を命じられたばかりの彼は「戦争で
部下が命を失ったのは何の為だったのか」という念に
苛まれており、そこが後半の展開に上手く作用してくる。
部下想いの頼りになる男でありながら、終始
不穏な空気を漂わせる見事なキャラだった。
(「Die you mother fu…」には爆笑しそうになったけど)
ジョン・C・ライリー演じるマーロウ中尉も良い。
ユーモラスで素敵だし、日米合作のアレやら
船での別れやら最後のアレやらで泣かせる。
一人だけ色々と設定美味しすぎやしないか?
と思わなくもないが、ナイスなオジさんでした。
その二人が強烈な分、実質的な主演であるはずの
トム・ヒドルストンとブリ―・ラーソンの存在感が
やや薄く感じた点が残念。
ラーソンはコングとの2度の遭遇シーンは良かったが、
島へ来た動機や物語を経ての変化という点で物足りない。
ヒドルストンはクールかつヒロイックで好きだが、
彼が中心になる大きな見せ場が無い為にこちらもあと一歩。
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しかしまあ、
この映画の主演はやっぱキングコング。島を破壊する人間には
容赦しないが、自然に敬意を払う人間には優しいナイスガイ。
ラーソン演じるヒロインがコングに触れるシーン。
あの時の少し戸惑ったような表情が好き。
一族最後の生き残りであり、島の生態系を守るために
たった一匹で何十年も闘い続けてきたコング。
島民からは崇拝されていた彼だが、それは
畏るべき神としてであり、親愛の情とは程遠い。
だから彼はずっと孤独だったと思う。家族が死んでから
一度もあんな風に触れられたことはなかったろうと思う。
彼女を命懸けで守ろうとする理由なら、それだけで十分だろう。
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以上! 面白かった! キャラも見せ場も詰め込み
過ぎた感は無くも無いし、スカルクロウラーの
デザインはもっと強烈さが欲しかったが、
それでも大満足の4.0判定です。4.5判定でも良いかも。
そうそう、まだ未鑑賞の方は、
エンドロール後まで席をお立ちにならぬよう!
今からすんごい楽しみですわ、あっちの続編。
<2017.03.25鑑賞>
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余談:
コングが水辺で闘うアイツは『キングコング対ゴジラ』
へのオマージュかしら。モッシャモッシャ踊り食いされてたけど。
お久し振りです~。
ずっと更新されてなかったので、どうしたのかな?…と思ってましたが、このゴジラ映画風レビュータイトルに、おっ!と思って早速覗きに参りました(^^)
いや、もう、王道の怪獣映画でしたね!
まさに、“シン・キングコング”でした。
次の“四大怪獣 地球最大の決戦”、そして日米怪獣王の再戦…楽しみで仕方ありません(^^)
と言うか、2年先か…(>_<)
あのシーンは間違いなく「キングコング対ゴジラ」でしたね。
監督もほのめかしてました。